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賃金引き上げには、事業ポートフォリオ改革の繰り返しが必要【生産性本部調べ】

 2023.07.03

  • 業界動向
日本生産性本部は、6月30日、生産性に関連した同本部の調査や統計データを取りまとめた初の年次報告「生産性年次報告2022」を公表した。同年次報告では、座談会「人材を生かす賃金制度」の議論についても取りまとめている。この議論では、賃金引き上げには、事業ポートフォリオ改革の繰り返しが必要と言及された。
日本生産性本部は、6月30日、生産性に関連した同本部の調査や統計データを取りまとめた初の年次報告「生産性年次報告2022」を公表した。

同年次報告は、日本の生産性向上に不可欠なイノベーションを起こす環境づくりに向け、調査・提言を行っている「イノベーション会議」の活動を中心に、人材投資の指標として重要性が増している生産性の現状についてのデータを取りまとめ、提供するものだ。

特に、イノベーション会議の報告では、「人材を生かす賃金制度」をテーマとした座談会の様子や、同会議コアメンバーによる「生産性と賃金」をめぐる論点の考察、2022年12月に速報版を公表した「人材を生かす賃金」に関するアンケートの分析結果(全体版)を掲載し、賃金制度の課題や解決の方向性について多面的に検討している。

「生産性年次報告2022」の主な特徴は以下の通り。

(1)賃金引き上げには、事業ポートフォリオ改革の繰り返しが必要
・人事制度全体の改革に取り組んだ企業の人事責任者・エコノミスト・人事コンサルタントを交えた座談会を実施し、日本の賃金制度の現状と課題、その背景などを議論。
・賃金を引き上げるには、まず賃金のベースを底上げし、その人件費を負担するために事業ポートフォリオを繰り返し組み替えて生産性を高めることが必要。
・その上で、重要な人に対してはさらに賃金を支払うこと、そして、事業ポートフォリオ改革のたびに労働市場から必要な人材全員を採用するよりも、内部人材をいかに変え続けていくかという課題に取り組むことが必要。

(2)同本部コアメンバーによる生産性、物価、賃金についての考察
・近年の賃金動向として、年功給、職能給、役割給といった賃金制度とは関わりなく、幅広い企業が物価高騰の中での従業員の生活安定を考慮している(亜細亜大学経済学部教授 茨木秀行氏)。
・賃金の持続的な引き上げを実現しようとすれば、低迷が続く日本経済の生産性向上という積年の課題の解決が求められる(一橋大学経済研究所特任教授 森川正之氏)。
・賃金上昇がやる気を引き起こし、それが生産性を上昇させるという面から、上げられるときには賃金を上げられる体制をつくり出すことが重要である(東京大学大学院経済学研究科教授 柳川範之氏)。

(3)「人材を生かす賃金」アンケート調査:約9割の企業が「人への投資」を重視
・重要度が高い投資分野について、複数回答で聞いたところ、「従業員への投資」が90.3%と9割を超え、「人への投資」を重視する企業は多い。
・教育・研修(OFF-JT)において重視していることは、「将来の経営層の育成」が65.2%と3分の2近くを占める。「自己啓発の支援」は50.3%。