労務DX後も残る「名もなき業務」、繁忙期には60%の担当者が1日1時間以上を消費【SmartHR調べ】
マスメディアン編集部 2026.04.13
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SmartHRは、労務管理システム導入済みかつ従業員数51名以上の企業に勤務する労務管理者および従業員1790名を対象に、「『名もなき業務』実態調査(2025年12月)」を実施した。本調査では、多くの企業で年末調整や労務手続きのシステム化が進む一方で、従業員への周知・確認・問い合わせ対応・督促といった『名もなき業務』が依然として担当者の時間を奪っている実態が明らかになった。特に、店舗・工場・配送スタッフなどのノンデスクワーカーを抱える企業では、企業と従業員の情報伝達に構造的な課題が浮き彫りになっている。

調査背景
近年、多くの企業において人事労務領域のDXが加速し、手続きのペーパーレス化やクラウド化が標準となりつつある。しかし、実務の現場では、システム導入後も依然として管理部門の業務負荷が軽減されないという課題が散見される。その要因の一つとして注目されているのが、正式な業務として定義されにくい「従業員とのやり取り」や「周知・督促」といった、人事労務における『名もなき業務』の存在である。特に、労働人口の減少に伴う生産性向上が喫緊の課題となるなか、年末調整などの大規模なイベント時だけでなく、日常的な申請内容の修正依頼や認識合わせ、就業規則や社内制度等従業員からの問い合わせ、さらにはPCを保有しないノンデスクワーカーへの情報伝達において、情報の「つながらなさ」が組織全体の停滞を招く要因となっている。手続きそのものはデジタル化された一方で、その前後で発生するコミュニケーションが依然としてアナログな手法に依存していることが、管理部門と従業員双方の時間を奪う構造的な非効率を生んでいる。
こうした現状を踏まえ、すべての従業員が自ら必要な情報にアクセスし自律的に業務を遂行できる「自走型組織」への転換に向けて、新たな社内コミュニケーションの在り方を模索すべく、人事労務における『名もなき業務』の実態と、それが組織の生産性やガバナンスに与える影響の客観的把握を目指し本調査を実施した。
調査結果サマリー
・労務担当者の約半数が「1日3回以上」の業務中断を経験問い合わせ対応や督促などの「名もなき業務」が本来業務を分断し、生産性を低下させている実態が判明
・問い合わせの88%は「マニュアル等を見れば解決できた内容」
労務担当者は「調べるのが面倒」と推測、従業員の本音は「記載内容がわかりにくい」
・繁忙期、担当者の約6割が「1日1時間以上」を従業員とのやり取りに費やす
年末調整等の繁忙期には、入力作業以上に「不備確認」「修正依頼」等のやり取りが疲弊の最大要因に
・PCを持たない従業員との「伝達の壁」、69%が現場責任者へ口頭伝達・中継を依頼
「伝言ゲーム」によるタイムラグやセキュリティリスクが課題、現場中間管理職に負担が集中
調査結果
(1) 労務担当者のうち49%の担当者が1日3回以上の業務中断を経験労務担当者の49%が、通常期であっても「1日3回以上」の業務中断を経験している。この傾向は繁忙期にさらに深刻化し、中断が1日3回以上にのぼる割合は70%にまで達している。

中断を引き起こす要因の第1位は「従業員からの突発的な問い合わせ対応(88%)」であり、次いで「未提出者への督促・リマインド(59%)」が挙げられる。

年末調整においても、労務担当者を疲弊させる要因は「提出書類の不備確認や修正依頼(67%)」という『名もなき業務』であり、「システムへのデータ入力/転記作業(29%)」「税額の計算作業(23%)」といった入力・計算作業を大きく上回る結果となっている。

(2) 問い合わせの88%は「自己解決」が可能な内容
労務担当者が受ける問い合わせのうち、計88%が「マニュアルや規定を見ればわかる」内容だった。
労務担当者が受ける問い合わせのうち、計88%が「マニュアルや規定を見ればわかる」内容だった。

この事象に対し、担当者の58%は「(従業員が自分で)調べること自体が面倒」と推測しているが、従業員は「記載内容がわかりにくい(41%)」や「マニュアルの所在がわかりにくい(31%)」といった情報の到達性・アクセシビリティ課題を理由として多くあげており、担当者の推測と従業員の本音には乖離があることが確認できる。

(3) 繁忙期には60%の労務担当者が1日1時間以上の「やり取りコスト」を費やす
業務上のやり取り(問い合わせ・督促等)に費やす合計時間として、通常期で31%の担当者が1日1時間以上を割いている。
繁忙期になると、1日1時間以上を費やす担当者は60%まで増加する。
業務上のやり取り(問い合わせ・督促等)に費やす合計時間として、通常期で31%の担当者が1日1時間以上を割いている。
繁忙期になると、1日1時間以上を費やす担当者は60%まで増加する。

(4) PCを持たない従業員との「伝達の壁」、69%が現場責任者への口頭伝達・中継を依頼
労務担当者の63%は、店舗や工場などで社用PCを持たない従業員とのやり取りを行っている。
労務担当者の63%は、店舗や工場などで社用PCを持たない従業員とのやり取りを行っている。

PCを持たない従業員への伝達手段を問う設問では、主な連絡手段は「現場責任者への口頭伝達・中継依頼(69%)」が最多で、次いで「個人の携帯電話(30%)」や「掲示板(27%)」などが続く。

これらの手段に対し、83%の担当者が「一人とやり取りするだけでも時間と手間がかかる」課題を感じており、さらに「本人が内容を確認・理解できたか把握できない」と感じる割合も83%に達している。

調査概要
調査名:『名もなき業務』実態調査(2025年12月)調査期間:2025年12月19日〜12月22日
調査方法:インターネット調査
有効回答:労務管理システムを導入済みで、従業員数51名以上の法人にお勤めの経営者・役員、会社員(20〜69歳の男女)かつ、「労務管理業務にメインで従事」、または「バックオフィス業務に従事していない従業員」かつ、社内での問い合わせを1年以内に経験したことがある方計1790名
※構成比は小数点以下を四捨五入(合計して100%にならない場合がある)
