離職防止のため取り組みたいこと 大企業では管理職の教育が、中小企業では育成制度の構築・評価制度の見直しが上位【ALL DIFFERENT・ラーニングイノベーション調べ】
マスメディアン編集部 2025.05.16
- 人事
- 採用
ALL DIFFERENTおよびラーニングイノベーション総合研究所(R)は、2024年10月~2025年2月の期間で、企業の人事責任者・担当者302人を対象に意識調査を実施した。本リリースでは、人と組織の課題について調査・分析した結果を公表する。
東京商工リサーチの調査「全国企業倒産状況」によると、2024年の全国の企業倒産件数は3年連続で前年を上回り、11年ぶりに1万件を超える結果となった。アフターコロナ以降、急速に進んだAIなどの技術革新や歯止めのかからない物価高、トランプ関税の今後の影響など、さまざまな変化に対処するため企業がやるべきことは多岐にわたるが、競争力を維持・向上するためには優秀な人材の確保と知識・スキルの最大化が必要不可欠である。 本調査では、企業の持続可能な成長を目指し、組織の成長と従業員の幸福を支える人事部が、現在どのような課題を抱えており、何に取り組もうとしているか、意識調査を実施した。
東京商工リサーチの調査「全国企業倒産状況」によると、2024年の全国の企業倒産件数は3年連続で前年を上回り、11年ぶりに1万件を超える結果となった。アフターコロナ以降、急速に進んだAIなどの技術革新や歯止めのかからない物価高、トランプ関税の今後の影響など、さまざまな変化に対処するため企業がやるべきことは多岐にわたるが、競争力を維持・向上するためには優秀な人材の確保と知識・スキルの最大化が必要不可欠である。 本調査では、企業の持続可能な成長を目指し、組織の成長と従業員の幸福を支える人事部が、現在どのような課題を抱えており、何に取り組もうとしているか、意識調査を実施した。
調査結果の詳細
1.人事部として取り組みたいテーマ1位「人材育成・組織開発」、従業員数1001人以上の大企業は9割が回答
本調査では、企業の人事責任者・人事担当者302人に、人事部として抱えている課題や今後取り組みたいことなどの実態調査を行った。その結果を、従業員数が1~100人の企業(以下、「100人以下企業」と記載)、101~300人企業(以下、「101~300人企業」と記載)、301~1000人企業(以下、「301~1000人企業」と記載)、1001人以上の企業(以下、「1001人以上企業」と記載)に分けて分析した。
はじめに、人事部として取り組みたいテーマを質問したところ、「人材育成・組織開発」と回答した割合は、100人以下企業で87.9%、101~300人企業で86.7%、301~1000人企業で83.3%、1001人以上企業で92.3%となり、どの従業員規模でもトップとなった。特に、1001人以上企業では9割以上が回答している。
「評価制度」に関しては、100人以下企業、101~300人企業の半数以上が回答し、従業員規模の小さい企業において回答率が高まる傾向が見られた。一方、「労務管理」や「経営との連動性の向上」については、従業員規模の大きい企業で回答率が高まる傾向が見られた(図1)。
本調査では、企業の人事責任者・人事担当者302人に、人事部として抱えている課題や今後取り組みたいことなどの実態調査を行った。その結果を、従業員数が1~100人の企業(以下、「100人以下企業」と記載)、101~300人企業(以下、「101~300人企業」と記載)、301~1000人企業(以下、「301~1000人企業」と記載)、1001人以上の企業(以下、「1001人以上企業」と記載)に分けて分析した。
はじめに、人事部として取り組みたいテーマを質問したところ、「人材育成・組織開発」と回答した割合は、100人以下企業で87.9%、101~300人企業で86.7%、301~1000人企業で83.3%、1001人以上企業で92.3%となり、どの従業員規模でもトップとなった。特に、1001人以上企業では9割以上が回答している。
「評価制度」に関しては、100人以下企業、101~300人企業の半数以上が回答し、従業員規模の小さい企業において回答率が高まる傾向が見られた。一方、「労務管理」や「経営との連動性の向上」については、従業員規模の大きい企業で回答率が高まる傾向が見られた(図1)。

2.人材育成・組織開発を推進する上での課題、「現場社員の時間不足」「推進メンバーの時間不足」など、リソース不足への課題が上位を占める
8割以上の人事部が「人材育成・組織開発」を今後取り組みたいテーマと考えていることが明らかとなったが、人材育成・組織開発を推進する上で、具体的にどのような課題があるのか。
従業員規模別にトップの回答を紹介する。100人以下企業、101~300人企業、1001人以上企業では「現場社員の現業が忙しく、育成に割ける時間(育成施策を受ける時間)がない」が最も多く、それぞれ55.2%、70.8%、66.7%が回答した。301~1000人企業では「人材育成・組織開発を推進するメンバーの人手、時間が不足している」が最多となり、56.0%が回答した。従業員規模に関係なく、人や時間のリソース不足に関する課題がトップとなる結果が出た。
また、規模による違いも見られた。100人以下企業では「効果的な人材育成・組織開発の方法がわからない」「人材育成・組織開発がレベルアップしていない」といった、取り組み方や解決方法に関する項目の回答が他の規模より高くなった。一方、101~300人企業、301~1000人企業、1001人以上企業では「部署によって育成への意識や取り組みに差がある」と半数以上が回答し、規模の大きな企業が直面しやすい課題が浮き彫りとなった(図2)。
8割以上の人事部が「人材育成・組織開発」を今後取り組みたいテーマと考えていることが明らかとなったが、人材育成・組織開発を推進する上で、具体的にどのような課題があるのか。
従業員規模別にトップの回答を紹介する。100人以下企業、101~300人企業、1001人以上企業では「現場社員の現業が忙しく、育成に割ける時間(育成施策を受ける時間)がない」が最も多く、それぞれ55.2%、70.8%、66.7%が回答した。301~1000人企業では「人材育成・組織開発を推進するメンバーの人手、時間が不足している」が最多となり、56.0%が回答した。従業員規模に関係なく、人や時間のリソース不足に関する課題がトップとなる結果が出た。
また、規模による違いも見られた。100人以下企業では「効果的な人材育成・組織開発の方法がわからない」「人材育成・組織開発がレベルアップしていない」といった、取り組み方や解決方法に関する項目の回答が他の規模より高くなった。一方、101~300人企業、301~1000人企業、1001人以上企業では「部署によって育成への意識や取り組みに差がある」と半数以上が回答し、規模の大きな企業が直面しやすい課題が浮き彫りとなった(図2)。

3.人事部の関心テーマ、300人以下企業では「採用」、301人以上企業は「教育研修体系の構築・運用」がトップの結果に
次に、人事部が関心を寄せているテーマを調査した。その結果、100人以下企業および101~300人企業では「採用」、301~1000人企業および1001人以上企業では「教育研修体系の構築・運用」がそれぞれ最多となった。
また、従業員規模が大きい企業ほど、「タレントマネジメント」「障がい者雇用」「HRテクノロジーの導入」「ウェルビーイング、健康経営」への関心が高い傾向が確認された。さらに、301人以上の企業では「女性活躍推進」「人材アセスメント」「リスキリング」への関心も、他規模と比較して高い傾向にあった。
一方、1001人以上企業は「メンタルヘルス対策」「コンプライアンス対策」「経営計画の策定」への関心が他の規模の企業よりも低い結果となった(図3)。
次に、人事部が関心を寄せているテーマを調査した。その結果、100人以下企業および101~300人企業では「採用」、301~1000人企業および1001人以上企業では「教育研修体系の構築・運用」がそれぞれ最多となった。
また、従業員規模が大きい企業ほど、「タレントマネジメント」「障がい者雇用」「HRテクノロジーの導入」「ウェルビーイング、健康経営」への関心が高い傾向が確認された。さらに、301人以上の企業では「女性活躍推進」「人材アセスメント」「リスキリング」への関心も、他規模と比較して高い傾向にあった。
一方、1001人以上企業は「メンタルヘルス対策」「コンプライアンス対策」「経営計画の策定」への関心が他の規模の企業よりも低い結果となった(図3)。

4.離職防止・定着のために取り組みたいこと、中小企業は「育成制度の構築」「評価制度の見直し」、大企業は「上司・管理職への教育」と回答する傾向に
人事部が社員の離職防止・定着のために取り組みたい内容を尋ねた結果、100人以下企業では「育成制度の構築」が46.1%、101~300人企業では「育成制度の構築」「評価制度の見直し」がともに50.5%だった。301~1000人企業では「育成制度の構築」「上司・管理職への教育(ハラスメント対策など)」がともに56.5%、1001人以上企業では「上司・管理職への教育(ハラスメント対策など)」が53.3%と最も多かった。
また、1001人以上企業では「育成制度の構築」「評価制度の見直し」「給与・報酬制度の見直し」などは他規模よりも回答割合が低い一方、「キャリアパスの明確化」「社内文化・組織風土の改善」への関心は高くなった(図4)。
人事部が社員の離職防止・定着のために取り組みたい内容を尋ねた結果、100人以下企業では「育成制度の構築」が46.1%、101~300人企業では「育成制度の構築」「評価制度の見直し」がともに50.5%だった。301~1000人企業では「育成制度の構築」「上司・管理職への教育(ハラスメント対策など)」がともに56.5%、1001人以上企業では「上司・管理職への教育(ハラスメント対策など)」が53.3%と最も多かった。
また、1001人以上企業では「育成制度の構築」「評価制度の見直し」「給与・報酬制度の見直し」などは他規模よりも回答割合が低い一方、「キャリアパスの明確化」「社内文化・組織風土の改善」への関心は高くなった(図4)。

まとめ
本調査から、人事部は企業の従業員規模を問わず、取り組みたいテーマの第1位として「人材育成・組織開発」を挙げていることが明らかとなった。企業規模別に回答結果の概要と、そこから読み取れる傾向を以下に整理する。
【100人以下企業】【101~300人企業】
「人材育成・組織開発」を推進する上での課題は、現場社員が育成に割ける時間の不足や、推進メンバーの人手・時間不足が上位に挙がった。「採用」が関心テーマのトップであったことも踏まえると、300人以下の企業ではリソース不足が顕在化していると考えられる。
また、離職防止・定着の取り組みとして「育成制度の構築」や「評価制度の見直し」が挙がる一方、「人材育成・組織開発がレベルアップしていない」「効果的な方法がわからない」といった課題も多く見られた。つまり、取り組むべきテーマは明確であるものの、効果的な施策や手法が不明確なまま足踏み状態にあると推察される。
【301~1000人企業】
最大の課題は「推進メンバーの人手・時間不足」であり、次点に「部署による育成への意識や取り組みの差」が続いた。「教育研修体系の構築・運用」が関心テーマのトップとなり、社内リソースを活用しつつ統一的な育成制度の整備を進めようとする姿勢が見受けられた。 また、離職防止・定着の取り組みとして「育成制度の構築」と並び「上司・管理職への教育(ハラスメント対策など)」が上位に挙がった点も特徴的である。
【1001人以上企業】
「人材育成・組織開発」への取り組み意欲は9割超と高水準であった。課題としては「現場社員が育成に割ける時間の不足」「部署間の育成意識や取り組みの差」が挙がっている。
また、「教育研修体系の構築・運用」に加えて、「タレントマネジメント」「デジタル活用」「障がい者雇用」「女性活躍推進」「人材アセスメント」「コンプライアンス対策」「キャリア開発」など、多様なテーマへの関心が高いことが特徴的である。
離職防止・定着に向けては、「上司・管理職への教育(ハラスメント対策など)」に加えて、「キャリアパスの明確化」「社内文化・組織風土の改善」への関心が強く、働きがいや働きやすさ、ひいては従業員エンゲージメントの向上に結びつけようとする意図が窺える。
【100人以下企業】【101~300人企業】
「人材育成・組織開発」を推進する上での課題は、現場社員が育成に割ける時間の不足や、推進メンバーの人手・時間不足が上位に挙がった。「採用」が関心テーマのトップであったことも踏まえると、300人以下の企業ではリソース不足が顕在化していると考えられる。
また、離職防止・定着の取り組みとして「育成制度の構築」や「評価制度の見直し」が挙がる一方、「人材育成・組織開発がレベルアップしていない」「効果的な方法がわからない」といった課題も多く見られた。つまり、取り組むべきテーマは明確であるものの、効果的な施策や手法が不明確なまま足踏み状態にあると推察される。
【301~1000人企業】
最大の課題は「推進メンバーの人手・時間不足」であり、次点に「部署による育成への意識や取り組みの差」が続いた。「教育研修体系の構築・運用」が関心テーマのトップとなり、社内リソースを活用しつつ統一的な育成制度の整備を進めようとする姿勢が見受けられた。 また、離職防止・定着の取り組みとして「育成制度の構築」と並び「上司・管理職への教育(ハラスメント対策など)」が上位に挙がった点も特徴的である。
【1001人以上企業】
「人材育成・組織開発」への取り組み意欲は9割超と高水準であった。課題としては「現場社員が育成に割ける時間の不足」「部署間の育成意識や取り組みの差」が挙がっている。
また、「教育研修体系の構築・運用」に加えて、「タレントマネジメント」「デジタル活用」「障がい者雇用」「女性活躍推進」「人材アセスメント」「コンプライアンス対策」「キャリア開発」など、多様なテーマへの関心が高いことが特徴的である。
離職防止・定着に向けては、「上司・管理職への教育(ハラスメント対策など)」に加えて、「キャリアパスの明確化」「社内文化・組織風土の改善」への関心が強く、働きがいや働きやすさ、ひいては従業員エンゲージメントの向上に結びつけようとする意図が窺える。
考察(企業規模別に人事が取り組むべきと考えられること)
【100人以下企業】【101~300人企業】
慢性的な人手不足を抱える中堅中小企業では、管理職が業務で手一杯となり、人材育成に十分な時間を割けない傾向が強い。限られたリソースの中で採用・育成の優先順位を高め、取り組みを強化する必要がある。
まずは、管理職が人材育成の重要性を理解し、業務管理や権限委譲のスキル向上を通じて、育成時間を確保できるよう支援することが必要である。
次に、教育研修の効果を高めるために、対象者の選定にも工夫が求められる。特に、新任リーダーなど新たな役割を担う社員から研修を開始することで、行動変容を引き出しやすく、組織全体の育成意識の醸成にも寄与する。
【301~1000人企業】
多角的な事業展開や拠点の分散により、部門間の縦割りが生じやすく、育成への意識や実践内容にばらつきが見られる。 この課題に対応するためには、まず育成制度や評価制度を全社統一で整備する必要がある。これにより、どの部門の社員であっても公平かつ一貫した評価・育成を受けられる体制を構築できる。
さらに、制度の策定・運用を担う推進役のスキルアップが不可欠である。制度設計能力や、現場を巻き込んで制度を浸透・定着させるスキルを高めることで、制度の実効性が高まり、部門間のばらつきも軽減できる。
【1001人以上企業】
「人材育成・組織開発」への関心が高まっている背景には、上場企業に義務付けられた「人的資本の情報開示」の影響があると考えられる。人材戦略や育成方針の透明性が強く求められるようになったためである。 採用難や離職率の上昇といった人材課題が深刻化する中、人事部門が対応すべき領域は多岐にわたっており、企業としての優先課題を見極め、着実に推進することが重要である。
特に「経営と人材戦略の連動性」を強化し、たとえば新規事業の立ち上げを経営の柱とするならば、必要なスキルを持つ人材の確保や、それに対応する人事制度の設計が求められる。こうした制度が企業のビジョンや中期経営計画と整合していなければ、戦略の実現は難しい。 継続的に施策を機能させるには、人事機能の強化とともに、全社的な連携体制の構築が欠かせない。自社の優先順位を明確にし、限られたリソースを有効活用しながら取り組むべきである。
また、企業規模に関わらず共通して取り組むべきテーマは、社員の離職予防と定着である。そのためには、採用・育成・評価の仕組みを見直し、三者の連動性を高めることが、社員の成長を支える組織構築の鍵となる。
調査概要
調査対象者:同社サービスを活用している企業の人事責任者・人事担当者
調査時期:2024年10月~2025年2月
調査方法:Webでのアンケート調査
サンプル数:302人
属性:
(1)業種
鉱業、採石業、砂利採取業 1人(0.3%)
建設業 6人(2.0%)
製造業 66人(21.9%)
電気・ガス・熱供給・水道業 3人(1.0%)
情報通信業 79人(26.2%)
運輸業、郵便業 10人(3.3%)
卸売業、小売業 42人(13.9%)
金融業、保険業 8人(2.6%)
不動産業、物品賃貸業 5人(1.7%)
学術研究、専門・技術サービス業 14人(4.6%)
生活関連サービス業、娯楽業 1人(0.3%)
教育、学習支援業 6人(2.0%)
医療、福祉 2人(0.7%)
複合サービス事業 2人(0.7%)
サービス業(他に分類されないもの) 40人(13.2%)
その他 17人(5.6%)
(2)企業規模
100人以下企業 102人(33.7%)
101~300人企業 109人(36.1%)
301~1000人企業 46人(15.2%)
1001人以上企業 45人(14.9%)
・各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としている。
・構成比などの数値は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がある。
慢性的な人手不足を抱える中堅中小企業では、管理職が業務で手一杯となり、人材育成に十分な時間を割けない傾向が強い。限られたリソースの中で採用・育成の優先順位を高め、取り組みを強化する必要がある。
まずは、管理職が人材育成の重要性を理解し、業務管理や権限委譲のスキル向上を通じて、育成時間を確保できるよう支援することが必要である。
次に、教育研修の効果を高めるために、対象者の選定にも工夫が求められる。特に、新任リーダーなど新たな役割を担う社員から研修を開始することで、行動変容を引き出しやすく、組織全体の育成意識の醸成にも寄与する。
【301~1000人企業】
多角的な事業展開や拠点の分散により、部門間の縦割りが生じやすく、育成への意識や実践内容にばらつきが見られる。 この課題に対応するためには、まず育成制度や評価制度を全社統一で整備する必要がある。これにより、どの部門の社員であっても公平かつ一貫した評価・育成を受けられる体制を構築できる。
さらに、制度の策定・運用を担う推進役のスキルアップが不可欠である。制度設計能力や、現場を巻き込んで制度を浸透・定着させるスキルを高めることで、制度の実効性が高まり、部門間のばらつきも軽減できる。
【1001人以上企業】
「人材育成・組織開発」への関心が高まっている背景には、上場企業に義務付けられた「人的資本の情報開示」の影響があると考えられる。人材戦略や育成方針の透明性が強く求められるようになったためである。 採用難や離職率の上昇といった人材課題が深刻化する中、人事部門が対応すべき領域は多岐にわたっており、企業としての優先課題を見極め、着実に推進することが重要である。
特に「経営と人材戦略の連動性」を強化し、たとえば新規事業の立ち上げを経営の柱とするならば、必要なスキルを持つ人材の確保や、それに対応する人事制度の設計が求められる。こうした制度が企業のビジョンや中期経営計画と整合していなければ、戦略の実現は難しい。 継続的に施策を機能させるには、人事機能の強化とともに、全社的な連携体制の構築が欠かせない。自社の優先順位を明確にし、限られたリソースを有効活用しながら取り組むべきである。
また、企業規模に関わらず共通して取り組むべきテーマは、社員の離職予防と定着である。そのためには、採用・育成・評価の仕組みを見直し、三者の連動性を高めることが、社員の成長を支える組織構築の鍵となる。
調査概要
調査対象者:同社サービスを活用している企業の人事責任者・人事担当者
調査時期:2024年10月~2025年2月
調査方法:Webでのアンケート調査
サンプル数:302人
属性:
(1)業種
鉱業、採石業、砂利採取業 1人(0.3%)
建設業 6人(2.0%)
製造業 66人(21.9%)
電気・ガス・熱供給・水道業 3人(1.0%)
情報通信業 79人(26.2%)
運輸業、郵便業 10人(3.3%)
卸売業、小売業 42人(13.9%)
金融業、保険業 8人(2.6%)
不動産業、物品賃貸業 5人(1.7%)
学術研究、専門・技術サービス業 14人(4.6%)
生活関連サービス業、娯楽業 1人(0.3%)
教育、学習支援業 6人(2.0%)
医療、福祉 2人(0.7%)
複合サービス事業 2人(0.7%)
サービス業(他に分類されないもの) 40人(13.2%)
その他 17人(5.6%)
(2)企業規模
100人以下企業 102人(33.7%)
101~300人企業 109人(36.1%)
301~1000人企業 46人(15.2%)
1001人以上企業 45人(14.9%)
・各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としている。
・構成比などの数値は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がある。