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約9割の企業がアップデートの必要を認識 企業文化に関するアンケート調査【月刊総務調べ】

マスメディアン編集部 2025.05.16

  • インナーコミュニケーション
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月刊総務は、全国の企業を対象に「企業文化に関するアンケート調査」を実施し、136名から回答を得た。約9割の企業が「自社の企業文化のアップデートが必要」と回答し、その重要性が広く認識されていることが明らかになった。
月刊総務は、全国の企業を対象に「企業文化に関するアンケート調査」を実施し、136名から回答を得た。調査結果の要旨は以下の通り。

調査結果の要旨

■9割以上が企業文化のアップデートは重要だと回答
企業文化のアップデートの重要性について尋ねたところ、「とても重要」と「やや重要」が合わせて94.8%となり、9割以上がその意義を認識していることが明らかになった(n=136)。
企業のアップデートの重要だと思う割合を示す図表
■約9割が自社の企業文化をアップデートする必要性を実感
自社の企業文化のアップデートの必要性について尋ねたところ、「とても必要」と「やや必要」が合わせて88.9%で、約9割がアップデートの必要性を感じていることがわかった(n=136)。
企業文化のアップデートが必要だと思うかを示す図表
<必要だと思う理由/一部抜粋>
・必要以上に伝統を重視しすぎることで、現代社会から置いていかれる懸念があるから。
・若い人にも魅力ある企業であると認識してもらう必要があるから。
・環境に合わせて変化・進化できない企業は衰退すると思うから。
・変化の激しい時代では、社員が迷うことが多くなるので、常に社内に求心力を働かせる必要があるから。
・軸となる部分を大きく変える必要はないが、社会の変化や時代の流れに合わせてより腹落ちする内容にするための見直しは必要であり、それが社員の意欲にもつながると感じるから。

<会社の文化で良いと思うところ/一部抜粋>
・経営層と従業員とのコミュニケーションは円滑にかつ遅滞なく行われて、情報共有ができているところ。
・従業員に何かあった際、親身になってくれるところ。
・社員のスキルアップやキャリア成長を支援するためのトレーニングや研修プログラムが充実していて、自己啓発を奨励し、学び続ける文化が根付いているところ。
・頑張りがきちんと評価されるところ。

<会社の文化で悪いと思うところ/一部抜粋>
・残業することが一義的に善とされているところ。
・理念に基づいた経営・事業計画立案・業務遂行がされていないところ。
・各役職における権限と責任があいまいで、権限移譲のしくみも進んでいないため、的確な意志決定をする管理職が少ない。
・実力はないが上に気に入られる人が昇進して、本当に努力している縁の下の力持ちが評価されない。
・ビジネスチャットツールやWeb会議システム、AIなどの新しいITツールに対して、抵抗感を示す者が多いこと。

■創業10年以上の企業の4割近くが、ミッション・ビジョン・バリューを見直したことがない
創業10年以上の企業に対して、ミッション・ビジョン・バリューの見直しを行ったか尋ねたところ、38.3%が見直したことがないと回答した(n=120/創業10年以上の企業)
ミッション・ビジョン・バリューの見直し経験の有無を示す図表
■ミッション・バリューの浸透施策は「企業理念・ビジョンの見直し」が最多。約3割は何も実施したことがない
ミッション・ビジョン・バリューの浸透施策については、「企業理念・ビジョンの見直し」が38.2%で最多、「社内イベント・ミーティングの強化」31.6%、「価値観や行動指針の策定」30.1%が続いた。一方で「実施したことはない」との回答も27.9%あり、施策実施のばらつきが見られた(n=136)。
ミッション・ビジョン・バリューの浸透施策を尋ねる図表
■企業文化の影響は「エンゲージメント向上」が最多
企業文化が組織運営に与える影響について尋ねたところ、「従業員のエンゲージメント向上」が75.0%で最多、次いで「会社のブランド力の強化」53.7%、「離職率の低下」41.2%が続いた(n=136)。
企業文化が組織運営に与える影響を示す図表
■企業文化アップデートにおける総務の役割は「社内コミュニケーションの促進」が最多
企業文化のアップデートにおいて総務部門が果たすべき役割について尋ねたところ、「社内コミュニケーションの促進」が71.3%で最多、「人材育成の支援」43.4%、「企業理念の浸透」39.7%が続いた(n=136)。
企業文化のアップデートにおいて総務部門が果たすべき役割を示す図表
■企業文化アップデートのために取り組んでいる施策は「社内表彰制度」が最多、3割近くは未実施
企業文化アップデートのために現在実施している施策について尋ねたところ、「社内表彰制度」が41.2%で最多、「社内報の発行」34.6%、「従業員満足度調査の実施」27.9%が続いた。「取り組みをしていない」と回答した人は27.2%だった(n=136)。
企業文化アップデートのために現在実施している施策を示す図表
■効果実感が高いのは「定期的な全社ミーティング」
実施している施策の効果について尋ねたところ、「定期的な全社ミーティング」が最も効果を実感していることがわかった。
企業文化に関する実施施策の効果を示す図表
■企業文化アップデートの課題は「経営層と従業員の意識の乖離」
企業文化アップデートにおける課題について尋ねたところ、「経営層と従業員の意識の乖離」が68.4%で最多、「部門間の連携不足」52.9%、「施策の効果測定の難しさ」39.7%が続いた(n=136)。
企業文化アップデートにおける課題を示す図表
■評価指標として最も多いのは「従業員満足度」。36.0%は評価指標なし
企業文化に関する評価指標について尋ねたところ、「従業員満足度」が38.2%で最多、「離職率」31.6%、「業績指標」21.3%が続いた。「指標はない」とする回答も36.0%あり、評価軸の不在が課題であることも明らかになった(n=136)。
企業文化に関する評価指標を示す図表
■総務に求められるスキルは「コミュニケーション能力」「変革推進力」「分析力」
企業文化のアップデートを成功させるために総務部門に必要なスキルについて尋ねたところ、「コミュニケーション能力」64.0%、「変革推進力」58.8%、「分析力」51.5%が上位となった(n=136)。
企業文化のアップデートを成功させるために総務部門に必要なスキルを示す図表
■企業文化醸成のためのツールは「社内報」「従業員満足度調査ツール」など
企業文化醸成に用いている手法・ツールについて尋ねたところ、「社内報」が33.8%、「従業員満足度調査ツール」が31.6%で上位を占めた。一方、「使用しているものはない」との回答も28.7%に上っており、活用に温度差が見られた(n=136)。

社内報:33.8%
従業員満足度調査ツール:31.6%
社内SNS:22.8%
オンライン会議システム:17.6%
eラーニングプラットフォーム:16.9%
カルチャーブック:12.5%
ピアボーナス:5.9%
その他:2.2%
使用しているものはない:28.7%

総評

今回の調査では、約9割の企業が「自社の企業文化のアップデートが必要」と回答し、その重要性が広く認識されていることが明らかになった。背景には、価値観や働き方の多様化に加え、「このままでは時代に取り残される」「若手人材に選ばれなくなる」といった危機感も見られた。一方で、施策の実施状況にはばらつきがあり、「何も実施していない」「評価指標がない」といった課題も存在する。

特に注目すべきは、企業文化のアップデートが「エンゲージメント向上」や「離職率低下」などの経営成果と密接に関係していると多くの企業が捉えている点である。企業文化が単なる「雰囲気」ではなく、戦略的な資産として見なされ始めている兆しと言える。

とはいえ、「経営層と従業員の意識の乖離」や「部門間の連携不足」といった構造的課題がアップデートを阻む要因となっており、今後は継続的な対話と可視化による文化形成が鍵となる。