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進まないDXにより約3人に1人が離職の可能性 2024年働き方に関する調査【Colorkrew調べ】

マスメディアン編集部 2024.06.14

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Colorkrewは、全国の会社経営者・役員・正社員・契約社員・公務員1000名を対象に、「2024年 働き方に関するアンケート調査」を実施した。約3人に1人が、進まないDXにより離職を考えるという、人材流出の恐れが示唆された。
Colorkrewは、経済産業省が示す「2025年の崖」のタイムリミットまであと半年となる2024年6月、全国の会社経営者・役員・正社員・契約社員・公務員1000名を対象に、日本の企業におけるDXの進捗状況などを明らかにするため、「2024年 働き方に関するアンケート調査」を実施した。

「2025年の崖」とは2018年に経済産業省が「DXレポート」で提示したキーワードである。これは、DXを推進できず国際競争力を失う問題を指しており、2025年以降に大きな経済損失が発生すると予測されることから、警鐘を鳴らす意味を込めて「2025年の崖」と呼ばれた。なかでも、過去の技術や仕組みで構築されている「レガシーシステム」が課題とされており、そのまま維持し続けると「データを正しく利活用できない」や、「サイバーセキュリティやシステムトラブルのリスクが高まる」などといった問題により、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じることが発表されている。しかしながら、本調査のレポートによるといまだ「レガシーシステム」から脱却できていない企業が多く見受けられる。

今回の調査結果からは「DXが進まないこと」によって、人材が企業から離れていく可能性が示唆された「DX離職(※1)」という状況や、知られざる苦悩を抱える中堅社員の存在が見えてきた。調査結果の要旨は以下の通り。

調査結果の要旨

1.進まないDXにもどかしさが募る一方、そもそもDXとは何かわからないの声が続出
■Q.あなたの職場でのDXの進行状況をどのように感じますか?
すでにDX化できている…6.1%
DX化に向けて積極的に取り組んでいる…14.4%
一部、DX化に向けて取り組んでいる…17.6%
DX化に向けた検討を行っている…8.6%
特に取り組んでいない…29.3%
わからない…24.6%

「すでにDX化できている」と答えたのは6.1%にとどまり、29.3% の「特に取り組んでいない」が一位に。続いて「わからない(24.6%)」がランクインした。一方で、職場におけるDXの必要性についてどのように感じているかという問いに対しては、「DXは重要」と答えたのは46.6%、 「どちらともいえない」が36.2%と上位をせめぎ合った。なお、DXは重要だと答えた方の中には「無駄な仕事が多すぎるので働き方改革、業務効率化、両方を実現するためにとても重要だと思う。(会社員/42歳)」というコメントも見られた。

重要性を感じながらも「進まないDX」にもどかしい気持ちを抱くひとがいる一方で、そもそも「DXが何か、わからない」というコメントが「どちらともいえない」と答えた回答者に、散見された。

2.職場のデジタル化や文化の変化に、顕著な世代間ギャップも
■Q.職場のデジタル化や文化の変化に対応できていると思いますか?
[若手社員(1998年~2002年生まれ)]対応できている…38.0% 対応できていない…26.0%
[中堅社員(1981年~1996年生まれ)]対応できている…29.3% 対応できていない…32.3%
[ベテラン社員(1965年~1980年生まれ)]対応できている…27.8% 対応できていない…35.3%

DXと密接に関わりがあるのが、「デジタル化」。各世代ごとに、デジタル化に対応できているか否か尋ねたところ、それぞれ一位になる数字が異なり、世代間ギャップが見えてきた。「対応できている」に、一番票が集まった若手社員からは「できている人は自分で調べるなどしている。できていない人は自分でどうにかしようとしていない。(正社員/26歳)」といった、辛辣なコメントが。逆に「対応できていない」に一番票が集まったベテラン社員からは、「年齢とともに、デジタル関係のことが面倒になってくる。特にセキュリティ強化のために手続きが増えているのが面倒。(正社員/58歳)」という理由から、新しいシステムを導入することに気持ちがのらないことが、わかった。

3.約3人に1人が「DX離職」か、DXが進まないことで忍び寄る人材流出
「働き方改善へとつながるDX化が進まないと離職を考えますか?」という問いについては、約3人に1人が「離職を考える」という結果が現れ、進まないDXによる人材流出の恐れが示唆された。

■Q.あなたが思う会社に求めるDXとはどのようなものですか?
1位:データやデジタル技術を活用して、より効率のよい業務プロセスへ改善されること(23.9%)
2位:データやデジタル技術を活用して、既存にある古いシステムをより使いやすいものへ変化させていくこと(16.4%)
2位(同列):データやデジタル技術を活用して、より正しい評価をされる職場になること(16.4%)
4位:データやデジタル技術を活用して、既存のビジネスモデルを変革させていくこと(14.8%)
5位:データやデジタル技術を活用して、ストレスの軽減される働き方改革が進むこと(11.9%)

また併せて、DXに求めることを尋ねると「データやデジタル技術を活用して、より効率のよい業務プロセスへ改善されること(23.9%)」が、最も高い結果に。既にDXを取り入れているという会社に勤めるひとは「適度にデータのデジタル化が進んでおりトラブル解決の度に改善策が色々提案されるようになった。(公務員/56歳)」という、ポジティブな言葉が寄せられた。

4.中堅社員が頭を悩ます、「名もなき仕事™(※2)」の内容が明らかに
次に同社では、DXの導入傾向やデジタルへの順応力を踏まえ、より具体的にどんな部分で「業務改善」が必要かを深掘りすべくデータを分析。昨今話題となっている「若手社員」と「ベテラン社員」の間で生じる「ジェネレーションギャップ」 によって「中堅社員」が抱える「名もなき仕事™」や苦悩が見えてきた。

【中堅社員に聞いた、ベテラン社員と若手社員との狭間で困ったことや驚いたエピソード】
・日々の庶務的作業に対して(若手に)「それって私がやらなきゃいけないんですか?」と言われたこと。(正社員/33歳)
・若手社員がどれだけ仕事が遅くて雑でも、やめてほしくないからと注意や教育を放棄し、何かあった時は私が責められていた。(正社員/28歳)
・上司から私の名前を出していいから、と直してほしいところ業務改善を伝えるよう言われたが、部下はその上司を好んでおらず、改善するどころか火に油を注ぐ形となった。(正社員/34歳)
・上司から教わったやり方をそのまま教えないと怒られる。一人一人に合ったやり方があると思うので、 要点をおさえていれば自己流で良いと伝えるのがダメだ、と言われる。(正社員/37歳)
・若手社員の仕事の進捗をまめに確認し、報告するよう頼まれ、自分の仕事が疎かになった。(派遣・契約社員/35歳)

続いて、働いている人であれば誰もが一度は経験する、サービス残業や休日出勤について、「仕事が終わらなければ、仕方ないか」と尋ねたところ、仕方なし派についたのはベテラン社員の35.3%と最も高く、仕事が終わらなくても、休日出勤はすべきでないという意見を最も持っているのは、若手社員の44.5%という結果に。

また、その間で調整する中堅社員からは「休みがちな若手に1年目は有給が数日しかないと伝えると、有給は無限にあると思っていたと言われました。(正社員/39歳)」という回答があった。 上記のような回答から、若手とベテランの狭間で困惑する中堅社員がいることが明らかになっただけではなく、データ上でも異なる価値観に向き合う職場のリアルが見られた。

■Q.仕事が終わらなければ、サービス残業や休日出勤も仕方ないと思いますか?
[若手社員(1998年~2002年生まれ)]あてはまる/ややあてはまる
…26.0% どちらとも言えない…29.5% あまりあてはまらない/あてはまらない…44.5%
[中堅社員(1981年~1996年生まれ)]対応できている…27.0% 対応できていない…33.5% あまりあてはまらない/あてはまらない…39.5%
[ベテラン社員(1965年~1980年生まれ)]対応できている…35.3% 対応できていない…35.3% あまりあてはまらない/あてはまらない…33.0%

■Q.自分でなくてもよいと思える仕事は、極力避けていますか?
[若手社員(1998年~2002年生まれ)]あてはまる/ややあてはまる…37.0% どちらとも言えない…28.5% あまりあてはまらない/あてはまらない…34.5%
[中堅社員(1981年~1996年生まれ)]あてはまる/ややあてはまる…25.5% どちらとも言えない…42.0% あまりあてはまらない/あてはまらない…32.5%
[ベテラン社員(1965年~1980年生まれ)]あてはまる/ややあてはまる…22.3% どちらとも言えない…42.0% あまりあてはまらない/あてはまらない…35.8%

具体的には「自分でなくてもよいと思える仕事は、極力避けているか」という質問に対しては、37%と「当てはまる」傾向を一番見せたのは、若手社員だった。一方で、ベテラン社員は、「どちらとも言えない(42%)」というジレンマや、「当てはまらない派(35.8%)」が多く見受けられ、時代変化によって乖離が生じる。

5.コロナ禍を踏まえて、若手社員とベテラン社員の溝が加速か
2023年5月にコロナが5類感染症に変更となったことをきっかけにして、2024年は出社に切り替えた企業が増えてきた。今回の調査データでは、コロナ禍での巣篭もり生活がゆえに、対面のコミュニケーションに慣れない若手と、長年出社が義務付けられていたベテラン社員との間で生じている2つのデータに注目した。

■Q.自由な働き方とは、「好きだ」と思う仕事だけをやることだと思いますか?
[若手社員(1998年~2002年生まれ)]あてはまる/ややあてはまる…35.0% どちらとも言えない…32.5% あまりあてはまらない/あてはまらない…32.5%
[中堅社員(1981年~1996年生まれ)]あてはまる/ややあてはまる…20.5% どちらとも言えない…45.3% あまりあてはまらない/あてはまらない…34.3%
[ベテラン社員(1965年~1980年生まれ)]あてはまる/ややあてはまる…10.8% どちらとも言えない…44.3% あまりあてはまらない/あてはまらない…45.1%

まず、大きく意見が別れたのは「自由な働き方とは『好きだ』と思う仕事だけ、やることか否か」という問いである。そう思うと答えた若手社員が35%に対して、ベテラン社員の45.1%がそう思わないと回答する結果になった。

また、その実態を裏付けるように「お昼休憩も取らず汗水垂らし働けという上司と、始業ギリギリまで来ず仕事量も少ない若手社員の狭間で、面倒事は常に自分に押し付けられていた。(正社員/28歳)」という、価値観ギャップによって仕事が増えたことを嘆く、中堅社員の回答も見られた。

■Q. オンラインミーティングが手軽で楽である、と思いますか?
[若手社員(1998年~2002年生まれ)]あてはまる/ややあてはまる…43.5% どちらとも言えない…34.5% あまりあてはまらない/あてはまらない…22.0%
[中堅社員(1981年~1996年生まれ)]あてはまる/ややあてはまる…34.0% どちらとも言えない…43.0% あまりあてはまらない/あてはまらない…23.0%
[ベテラン社員(1965年~1980年生まれ)]あてはまる/ややあてはまる…26.5% どちらとも言えない…44.8% あまりあてはまらない/あてはまらない…28.8%

続いて、「オンラインミーティング」の価値観に関する設問では、オンラインミーティングの方が「手軽で楽である」と回答したのは、若手社員43.5%が全体で最も高く、一方でベテラン社員は「どちらとも言えない」が一番高い傾向にあった。

一方で、中堅社員にとっては若手社員からの相談内容が困りごととして多く見られ、「会議が伸びて予定があるので、帰宅して良いかと言われた。(公務員/41歳)」や「(若手が)体調が悪くて休みたい事を、上司に言うタイミングをはかってほしいと頼まれた。(正社員/28歳)」といった声が上げられた。

また、「会社の飲み会」問題については、今回の調査結果では、ベテラン社員の方が、部下との飲み会はあまり好きではないということが見受けられた。

■Q. 会社の上司を含めた飲み会は好きですか?
[若手社員(1998年~2002年生まれ)]あてはまる/ややあてはまる…33.5% どちらとも言えない…27.0% あまりあてはまらない/あてはまらない…39.5%

■Q. 会社の部下を含めた飲み会は好きですか?
[ベテラン社員(1965年~1980年生まれ)]あてはまる/ややあてはまる…28.3% どちらとも言えない…23.3% あまりあてはまらない/あてはまらない…48.5%

考察

時代の流れと共に変化する職場環境によって、埋まらないコミュニケーションの溝を一因に、円滑に進まない仕事が発生し、中堅社員の肉体的、心理的負担が増えてきていることが今回の調査で見受けられた。 その背景があるため、中堅社員の回答でも数ある項目の中で、「効率のよい業務プロセスへ改善」へとつながるDXを求めている声が1位に上がったと同社は考えている。

調査概要
調査名称:Colorkrew「2024年 働き方に関するアンケート調査」
調査手法:インターネットアンケート
対象:全国の会社経営者・役員・正社員・契約社員・公務員1000名
調査期間:2024年4月11日~12日
調査主体:Colorkrew

※1:DX離職とは、DXの導入が遅れることで起きる弊害と、正しく運用されていない中途半端なDXの導入により社員が会社を離れることと定義した同社による造語
※2:名もなき仕事™とは、同社の定義する、人にこんな仕事をしていると伝えづらい、スキマ仕事のこと