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新入社員300人に調査。短期離職を左右するのは「上司とのコミュニケーション」【ラーニングエージェンシー調べ】

マスメディアン編集部 2023.12.06

  • 新卒採用
ラーニングエージェンシーおよびラーニングイノベーション総合研究所では、2023年8月に社会人1年目の300名に対し、入社前後のギャップに関する意識調査を行った。ポジティブに感じる回答は「上司とのコミュニケーション」が最も多く、30.3%の新人が「想定よりもとてもフランクで話しやすい・フランクで話しやすい」とした。
ラーニングエージェンシーおよびラーニングイノベーション総合研究所では、2023年8月2日~8月7日の期間で、社会人1年目の300名に対し、入社前後のギャップに関する意識調査を行った。今回は「ギャップの実態」に関して、分析結果を公表する。

背景

2023年度の新入社員が入社し、半年以上が過ぎた。今や現場で戦力となりつつある新入社員だが、この半年間は生活環境の大きな変化や慣れない仕事と新たな人間関係に、入社前にイメージしていた理想と現実のギャップを感じながら業務に励んできたことだろう。昨年当社が実施した若手社員の意識調査の結果(※1)では、社会人1年目の7割が入社前後で「生活リズムや社会人としての考え方」にギャップを感じると回答。そのギャップを難しいと捉えた新人は「辞めたい・不安」の感情につながりやすい結果が明らかとなった。転職市場が活発化する中、若手社員の早期離職は採用・教育コストが水泡に帰するだけでなく、既存社員の業務負担の増加や企業のイメージダウンにも繋がるため、経営課題のひとつとして問題視されている。そこで当社では、社会人1年目の直面するリアリティショックを探るべく、今年も入社前後のギャップに関する調査を行った。

調査結果の概要

・「生活リズム・社会人としての考え方の習得」にギャップを感じる新人が約7割で最大
・ポジティブなギャップ、「上司とのコミュニケーション」が想定以上に話しやすいと回答する割合が最大
・ネガティブなギャップ、「生活リズムや社会人としての考え方」が想定以上に難しいと回答する割合が最大
・上司とのコミュニケーションのギャップを話しやすいと感じた新人は半数以上が「安心した」「嬉しい」と回答。一方、ネガティブに捉える新人の約24%は「会社を辞めたい」と回答

調査結果の詳細

1.「生活リズム・社会人としての考え方の習得」にギャップを感じる新人が約7割で最大
社会人1年目の新入社員(以下「新人」と記載)に対し、生活リズムや社会人としてのマナー、仕事の量や難易度、上司との関わりなど、9つの項目について、入社前後にギャップを感じたか質問した。結果、昨年と同様に全ての項目で約6割の新人が何らかのギャップを感じていることが明らかとなった。特に「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」は約7割もの新人がギャップを感じており、昨年同様最大の割合となった。次に「仕事の難易度(65.6%)」、「上司への悩み相談(65.3%)」が続いた。(図1)
2.ポジティブなギャップ、「上司とのコミュニケーション」が想定以上に話しやすいと回答する割合が最大
多くの新人が入社前の想定に対してギャップを感じていることがわかった。ここからは、そのギャップをポジティブに感じているのか、ネガティブに感じているのか、詳細を見ていく。

まずは、ポジティブに感じる回答(※2)を抽出したところ、「上司とのコミュニケーション」が最も高く、30.3%の新人が「想定よりもとてもフランクで話しやすい・フランクで話しやすい」と回答した。次に、26.7%が「上司からの仕事のアドバイス」を「とても細やか・やや細やか」と回答。「上司からのスキルアップのサポート」について「想定よりとてもサポートしてもらえる・サポートしてもらえる」が24.6%と続いた。上位3項目が上司との関わりによる項目となったことから、想定以上に上司とよい関係を築けていることをポジティブに捉えた新人が多いことがわかる。(図2)
3.ネガティブなギャップ、「生活リズムや社会人としての考え方」が想定以上に難しいと回答する割合が最大
次に、ネガティブに感じる回答(※3)を抽出した。結果、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」を「想定よりもとても難しい・やや難しい」と回答した割合が47.4%と最大の割合になった。次に「仕事の難易度」を「想定よりもとても難しい・やや難しい」と回答した割合が47.3%、「仕事の量」を「想定していたよりもとても多い・やや多い」と回答した割合が45.4%と続いた。学生と社会人の違いや社会人として初めて取り組む仕事の量や難易度について、ネガティブなギャップを感じる新人が多いことがわかる。(図3)
4.上司とのコミュニケーションのギャップを話しやすいと感じた新人は半数以上が「安心した」「嬉しい」と回答。一方、ネガティブに捉える新人の約24%は「会社を辞めたい」と回答
ここからは上司との関係性に焦点を当て、そのギャップをどのように感じているかを見ていく。

まずは、上司との関係性をポジティブに感じた新人の回答傾向を見ていこう。ポジティブなギャップとして最大の割合となった「上司とのコミュニケーション」では、64.2%が「安心した」と回答し、次に55.2%が「嬉しいと思った」と続いた。半数以上の新人が、上司のことを想定よりも話しやすいと感じ、安堵している様子が伺える。次に、「上司からの仕事のアドバイス」を想定よりももらえたと感じた新人の割合は、49.3%が「安心した」、31.3%が「嬉しいと思った」「成長の機会と感じた」と続いた。「上司からのスキルアップのサポート」では、40.3%が「安心した」、37.3%が「成長の機会だと感じた」、32.8%が「嬉しいと思った」と続く結果となった。業務上における上司との関係では、安堵や嬉しさだけではなく成長しようという意思につながっていることが見てとれた。(図4)
次に、上司との関係性をネガティブに捉えた新人の回答傾向を見ていこう。「上司とのコミュニケーション」を想定よりも話しにくいと感じた新人は、「会社を辞めたくなった」と回答する割合が23.9%と最大の割合になった。「上司からの仕事のアドバイス」「上司からスキルアップのサポート」も同様に、「会社を辞めたくなった」が26.8%、23.9%と、他項目と大差をつける結果となった。(図5)
上司との関係性を「話しやすい」とポジティブに捉える新人は、嬉しさ・安心を感じ、成長意欲も高まることがわかったが、逆に「話しにくい」とネガティブに捉える新人は、離職意向が高まることが明らかとなった。

まとめ

今回の調査結果より、2023年入社の新入社員も昨年同様6割以上が入社前後に何かしらのギャップを感じていることが明らかとなった。特に「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」は最大のギャップを感じる結果となり、昨年同様、多くの新人がつまずくポイントと考えられる。

「上司とのコミュニケーション」における入社前後のギャップは、想定よりも話しやすいとポジティブに感じる割合が高く、「嬉しい」「安心」と捉える傾向にあることが明らかとなった。さらに、業務においてアドバイスやスキルアップのサポートをしてもらうと「成長意欲が高まる」こともわかった。一方で、上司との関係を、想定よりも話しにくいとネガティブに捉える新人は、「会社を辞めたい」と考える傾向があり、新人にとって上司の影響力の高さが見受けられる。

社会人1年目は、想像以上に会社に馴染むのに時間やストレスがかかり、理想と現実の狭間で悪戦苦闘している。入社前後のギャップを乗り越え、成長意欲をもち続けて働くことができるかは、上司とのコミュニケーションが鍵といえるだろうとラーニングエージェンシーは考察している。

調査概要
調査対象者:22~34歳の社会人1年目である就労者
調査時期:2023年8月2日~8月7日
調査方法:調査会社によるインターネット調査
サンプル数:300人

※1:2022年度 若手社員の意識調査(社会人1年目)
※2:各ギャップ項目に対し、想定よりも簡単、仕事量が少ない、上司と話しやすい、アドバイスが細やか、相談しやすい、サポートがあるといった回答層をポジティブと設定
※3:各ギャップ項目に対し、想定よりも難しい、仕事量が多い、上司と話しにくい、アドバイスが細やかではない、相談しにくい、サポートがないといった回答層をネガティブと設定