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部下の成長を感じている管理職ほど、「即時フィードバック」を実践【ラーニングエージェンシー調べ】

マスメディアン編集部 2023.10.16

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ラーニングエージェンシーとラーニングイノベーション総合研究所は、6月19日から8月31日の期間で、484名の管理職を対象に「管理職意識調査」を実施。10月13日に、「部下へのフィードバック手法」に焦点を当てた分析結果を公表した。この調査から、部下の成長を感じている管理職ほど、「即時フィードバック」を実践していることがわかった。
ラーニングエージェンシーとラーニングイノベーション総合研究所は、6月19日から8月31日の期間で、484名の管理職を対象に「管理職意識調査」を実施。10月13日に、「部下へのフィードバック手法」に焦点を当てた分析結果を公表した。

この調査は、同社が実施する管理職向け研修の受講生を対象に、Web・マークシート記入式でのアンケート調査にて実施された(有効サンプル数484人)。調査結果の概要は以下の通り。

調査結果の概要

・フィードバック後の部下の行動に対して、約4割の管理職が「行動につながらない」と悩んでいる
・部下の成長を感じている管理職ほど、「即時フィードバック」を実践している
・部下の成長を感じていない管理職ほど「ネガティブフィードバックの場所」を気にする傾向あり
・8割以上の管理職が「対面・口頭」でのフィードバックを実施。部下の成長を感じている管理職は、「対面・口頭」に加え、6割が「チャットやメール」も活用
・フィードバック時、部下から「意見を傾聴すること」「納得感を醸成すること」を意識している管理職ほど、部下の成長を実感
・部下の成長を感じている管理職は、ポジティブフィードバックが多く、「フィードバックの意図」や「求める人材像」、「日頃の感謝」も伝えている

調査結果の詳細

1.フィードバック後の部下の行動に対して、約4割の管理職が「行動につながらない」と悩んでいる
10月5日に公表された同調査のレポート第1弾「部下へのフィードバックの実態編」では、7割の管理職が「部下に成長してほしい」と願う気持ちでフィードバックしていることがわかった。そこで、実際に部下は管理職の願い通りに成長しているのかを調べるため、フィードバック後の部下の行動について、どのような悩みがあるか質問した。その結果、43.6%の管理職が、部下に対して「自分の課題を認識してはいるが、すぐに行動につながらない」ことに悩みを抱えていることがわかった。
2.部下の成長を感じている管理職ほど、「即時フィードバック」を実践している
次に、フィードバックの違いにより、管理職の感じる「部下の成長度合い」に差があるのかを明らかにするため、フィードバックの頻度・場所・手法・内容と、管理職が感じる「部下の成長度合い」の関係を調査した。

まずは、「フィードバックの頻度」と「部下の成長度合い」の関係について見ると、部下が「非常に成長している」と回答した管理職は、44.4%が「即時にフィードバックをしている」ことがわかった。その割合は、「成長してない」と感じるにつれて低くなり、部下が「成長していない」と感じている管理職は14.3%で、「非常に成長している」と感じている管理職より30.1ポイント低い結果となった。
また、部下の成長度合いについて「成長していない」「わからない」と回答した管理職は、フィードバックの頻度を「特に決めていない」と回答する割合がそれぞれ28.6%、34.5%の結果となり、「非常に成長している」「成長している」と回答した割合に比べて高くなった。

3.部下の成長を感じられない管理職ほど「ネガティブフィードバックの場所」を気にする傾向あり
フィードバックする場所を気にかけているか質問したところ、「常に最適な場所を選ぶようにしている」と回答した割合が全体的に高くなった。特徴的だった項目は、部下が成長していないと感じる管理職ほど、「ネガティブフィードバックの環境」を気にする傾向にある点だ。部下が「成長していない」と感じている管理職は、「非常に成長している」と感じている管理職より、「ネガティブフィードバックの際に場所を選ぶようにしている」割合が15.1ポイント高くなった。
4.8割以上の管理職が「対面・口頭」でのフィードバックを実施。部下の成長を感じている管理職は、「対面・口頭」に加え、6割が「チャットやメール」も活用
フィードバックの伝達方法について尋ねたところ、「対面で、口頭伝達している」と回答した管理職が8割以上の結果となり、大部分の管理職が「対面&口頭」を意識していることがわかった。
また、部下が「非常に成長している」と感じている管理職は、94.4%が「対面で、口頭伝達している」結果となり、部下への成長を感じることが出来ている管理職ほど、この割合は高くなった。また、「非常に成長している」と感じている管理職の61.1%が、「チャットやメールなどで文書伝達している」と回答。その割合は「成長していない」と感じている管理職よりも46.8ポイント高くなった。「非常に成長している」と感じている管理職は、図2からも「即時フィードバック」する割合が高く、チャットやメールを使用してでも即時にフィードバックすることを意識している傾向がわかる。
5.フィードバック時、部下から「意見を傾聴すること」「納得感を醸成すること」を意識している管理職ほど、部下の成長を実感
次に、フィードバックで気を付けていることについて尋ねた。部下が「非常に成長している」と感じている管理職の6割以上が「部下の意見を傾聴すること」「部下の納得感を醸成すること」を意識していることがわかった。一方、「成長していない」と感じる管理職は「部下の意見を傾聴すること」は14.3%と低く、「部下の納得感を醸成する」には回答が集まらなかった。
6.部下の成長を感じている管理職ほどポジティブフィードバックが多く「フィードバックの意図」や「求める人材像」、「日頃の感謝」も伝えている結果に
最後に、フィードバックの内容について尋ねた。まずは、フィードバック時のポジティブとネガティブの割合を質問すると、部下が「非常に成長している」と感じている管理職は、55.6%が「ポジティブが多く、ネガティブが少ない」と回答した。この割合は、部下の成長を実感しているほど高く、「成長していない」と感じている管理職はわずか28.6%となった。

一方、「ポジティブが少なく、ネガティブが多い」と回答した割合は逆の結果となった。部下の成長を実感していない管理職ほど高い割合となり、「非常に成長している」と「成長していない」の差は23ポイントも広がる結果となった。さらに、部下の成長について「わからない」と回答した管理職は、フィードバックのポジティブ・ネガティブの割合も「特に決めていない」と回答する割合が44.8%と最も高くなった。
さらに、フィードバックで“心がけて伝えていること”を尋ねた。その結果、「事実や結果に基づく具体的な内容」を伝達する割合が、部下の成長実感に関わらず高いことがわかった。

特徴的だった結果は、部下が「成長している」と感じている管理職は「事実や結果に基づく具体的な内容(72.2%)」の次に、「フィードバックの意図や理由(66.7%)」「目的・目標や求める人材像(55.6%)」、さらに「日頃の感謝や努力への労い(50.0%)」を伝える割合が高いという結果だった。(図8)

まとめ

今回の調査から、部下の成長を実感している管理職ほど「即時フィードバック」を実践しており、その手法として6割の管理職が「対面・口頭」だけでなく「チャットやメール」も活用している実態がわかった。フィードバックは、時間が空いてしまうと状況が変わり、部下の記憶も曖昧になるため、対面にこだわらずタイムリーに伝達することが、部下の成長行動につながりやすい1つのポイントと同社は言及する。

また、部下の成長を実感している管理職は、部下の意見を傾聴し、納得感を醸成させるなど、部下に寄り添ってフィードバックをしている傾向にあることもわかった。ネガティブよりもポジティブな内容を伝えることが多く、なぜフィードバックをしているのか、部下にどのようになってもらいたいかと、会社の目的・目標と部下への求める姿を照合して伝達していることもわかった。

一方、部下の成長を実感していない管理職は、ポジティブよりもネガティブなフィードバックが多く、「簡潔にポイントを伝達すること」を重視する傾向にあることがわかった。この結果から、フィードバックは部下を「ほめる、認める」ことではなく、「改善点の指摘」をすること、という認識を持っている管理職が一定数いると同社は推測する。そのため、「即時フィードバック」よりも、ネガティブなフィードバックをするために最適な場所を事前に準備し、対面・口頭で実施することを重視していることが調査結果にも表れた。

このように、部下の成長を感じている管理職と、感じていない管理職では、フィードバックの頻度や内容に明確な違いがあることが明らかとなった。