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女性管理職の平均割合9.8%、過去最高を更新するも1割には届かず【帝国データバンク調べ】

マスメディアン編集部 2023.08.18

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帝国データバンクは、8月17日、女性登用に対する企業の意識調査(2023年)の結果を発表した。この調査から、女性管理職割合の平均は9.8%と、2013年以降の調査開始以来、最高を更新したことがわかった。一方で、2022年からの上昇幅は0.4ポイントにとどまっており、1割を下回る低水準が継続している結果となった。
帝国データバンクは、8月17日、女性登用に対する企業の意識調査(2023年)の結果を発表した。

同調査は、「TDB景気動向調査2023年7月調査」とともに行われたものだ。7月18日から31日の間、全国2万7768社を対象に実施し、有効回答企業数は1万1265社(回答率40.6%)となった。調査結果は以下の通り。

調査結果

(1)女性管理職割合の平均は9.8%と過去最高も1割に届かず
自社における管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を尋ねたところ、「30%以上」は9.8%と1割未満にとどまった。「20%以上30%未満」が6.4%、「10%以上20%未満」が8.6%、「10%未満」が25.9%だった。また、管理職が全員男性である企業(45.1%)は依然として4割を占めており、全項目のうち最も高かった。女性管理職割合の平均は9.8%となり、2013年の調査開始以降で最高を更新した。しかし、前年からの上昇幅は0.4ポイント増にとどまり、1割を下回る低水準が継続している結果となった。
女性管理職の割合を規模別に見ると、うち「小規模企業」が平均12.6%で最も高かった。他方「中小企業」は10.2%、「大企業」は7.5%となり、規模が小さい企業ほど女性管理職割合の平均は高い状況が続いている。また、従業員数別で見ても、従業員数「5人以下」の企業が平均15.7%で最も高かった。なお、2022年4月より「女性活躍に関する情報」公表の新たな対象となった従業員数「101~300人」の企業の女性管理職割合平均は前年から0.5ポイント増の6.5%となり、増加幅は全区分のうち最大となった。他方、同年7月より「男女間の賃金格差」公表の対象となった従業員数「301人以上」は同0.3ポイント増の7.8%だった。
業界別では「小売」が18.6%で、全体(9.8%)を8.8ポイント上回り、トップとなった。女性従業員が比較的多い業界であることが一因であると考えられる。次いで、「不動産」が16.2%、「サービス」が13.5%、「農・林・水産」が11.8%と上位に並んだ。一方で、現場での作業が多いことなどを背景に女性従業員が比較的少ない「製造」「運輸・倉庫」「建設」は低水準にとどまった。

(2)「女性管理職30%」の目標を達成している企業は9.8%に
政府が目標として掲げている「女性管理職30%」以上となっている企業は9.8%で、調査開始以降で最高となった。前年比0.3ポイント増となったが、依然として1桁台にとどまった。「女性管理職30%」以上となっている企業を規模別に見ると、女性管理職割合の平均と同様に「小規模企業」が15.7%と、最も高かった。
従業員数別で見ても、「5人以下」の企業が20.7%で最も高かった。なお、2022年7月より「男女間の賃金格差」公表の対象となった従業員数「301人以上」は同0.8ポイント増の4.8%となり、全区分のうち最大の増加幅となった。業界別に見ると、「小売」「不動産」が2割で上位となり、「製造」「運輸・倉庫」「建設」などは低水準にとどまった。

(3)女性役員割合の平均は13.1%と過去最高も、「役員が全員男性」の企業は依然半数を超える
自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合は平均13.1%と、2022年(12.7%)から0.4ポイント増加し、過去最高となった。一方で、役員が全員男性とする企業は53.0%と依然として半数を超えている。
(4)3社に1社が女性管理職割合の増加を見込む
自社における女性管理職割合が、現在と比較して今後どのように変わると考えているか尋ねたところ、女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる企業は32.9%となった。他方、「変わらない」は41.6%だった。女性役員については、今後「増加する」と考えている企業は13.4%となった一方で、「変わらない」は56.5%と半数以上を占めた。
従業員数別に見ると、「301人以上」では女性管理職割合が今後「増加する」と見込む割合が63.7%と全体を30.8ポイント上回った。女性役員割合についても全体より13.0ポイント高く、従業員数が多い企業ほど女性管理職が増加すると考える割合が高かった。

(5)女性活躍推進策、「公平な評価」が約6割でトップ。「男性育休取得推進」の上昇幅目立つ
女性の活躍推進のために自社で行っていることについて尋ねたところ、「性別に関わらず成果で評価」が59.0%でトップ、「性別に関わらず配置・配属」が48.2%と続き、男女平等に関わる項目が上位に並んだ。次いで、「女性の育児・介護休業を取りやすくする」が40.1%といった、女性に特化した働きやすい環境づくりに関する対応策が続いた。
また、男女問わず働き手の家庭と仕事の両立への支援となる「就業時間の柔軟化(27.8%)」や「時短勤務の対応(25.5%)」に取り組んでいる企業はそれぞれ4社に1社だった。他方、政府が特に強化している「男性の育児・介護休業の推進」は15.7%(2022年比3.1ポイント増)で前年からの上昇幅は全項目のうち最大となった。しかし、「キャリア開発・育成の充実」(7.3%)や「キャリアに関するモデルケースを提示」(2.6%)といった女性のキャリア支援となる項目はわずかな上昇にとどまり、低水準だった。

(6)男性の育休取得率は平均11.4%、特に従業員数「1000人超」の企業で高く
2023年4月より従業員1000人を超える企業を対象に男性の育児休業(以下、男性育休)取得率の公表が義務化された。また同年6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」では、それまで掲げていた男性育休の取得率の目標(民間企業)である「2025年までに30%」が「2025年度に50%、2030年度に85%」に引き上げられるなど、政府は男性の育児参加を促す取り組みを強化している。

そこで、自社の男性育休取得率について尋ねたところ、平均は11.4%となった。規模別で見ると、「大企業」が14.1%、「中小企業」が10.6%、うち「小規模企業」が8.6%となり、企業規模が大きいほど取得率が高い傾向にある。従業員数別でみると、現在取得率の公表が義務づけられている「1000人超」の企業が20.8%で最も高く、全体を9.4ポイント上回った。
なお、単回帰分析を用いて、各企業の「男性の育休取得率」と「女性管理職の割合」の関係を確認した。その結果、男性の育休取得率が上昇すると女性管理職の割合も上昇するという傾向が表れ、男性育休の取得促進を段階的に進めると、女性の継続就業や管理職を目指す意欲の向上、活躍できるフィールドの広がりなどを通じて、女性管理職の割合が高まる可能性が示された。