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管理職の5割が仕事を前向きに捉え、一般社員の約8割は「管理職になりたくない」と回答【JMAM調べ】

 2023.06.07

  • 業界動向
日本能率協会マネジメントセンターは、5月26日、管理職の実態に関するアンケート調査の結果を公開した。この調査から、管理職の56.4%が管理職という仕事をポジティブに捉えている一方、一般社員の77.3%が「管理職になりたくない」と考えていることがわかった。
日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)は、5月26日、管理職の実態に関するアンケート調査の結果を公開した。同調査は、2023年4月にインターネット調査で実施され、企業規模300名以上の管理職(課長・部長・本部長層)1072名、一般社員1116名を対象としている。

今回の調査から、管理職の56.4%(605名)が管理職という仕事をポジティブに捉えている一方、一般社員の77.3%(863名)が「管理職になりたくない」と考えていることがわかった。主な調査結果は以下の通り。

サマリー

・5割以上の管理職が、「今の仕事が面白く、管理職を続けたい」と感じている
・9割以上のポジティブ管理職が、「相手を尊重し誠実に行動」「変革や革新を実行」することを意識
・部下(一般社員)の7割以上が「管理職になりたくない」
・管理職になりたい理由1位は「報酬アップ」、なりたくない理由1位は「自分は向いていないから」
・管理職の役割について、ポジティブ管理職は「成長につながる」、ネガティブ管理職は「調整が多くて面倒」
・昇進前のマネジメント経験により、「管理職」の役割を疑似的に体験させることが重要

調査結果

5割以上の管理職が、「今の仕事が面白く、管理職を続けたい」と感じている
「今の仕事が面白い/面白くない」「管理職を続けたい/続けたくない」という設問の回答に応じ、回答者を四象限に分類した。その結果、管理職全体の56.4%は、「今の仕事が面白い」「管理職を続けたい」と感じている“ポジティブ管理職”であることがわかった。
ポジティブ管理職・ネガティブ管理職の割合
9割以上のポジティブ管理職が、「相手を尊重し誠実に行動」「変革や革新を実行」することを意識
「意識しているマネジメント行動」を聞いたところ、ポジティブ管理職の最多回答は「顧客・メンバー・関係部門・協力者などから信頼を得られるように、相手を尊重し誠実に行動している」となった。なお、ネガティブ管理職の最多回答も共通していた。
意識しているマネジメント行動
一方で、ポジティブ・ネガティブ管理職のギャップが大きかった項目は「抵抗や障害を乗り越えて、機会を逸することなく、変革や革新を実行している」で、41.9%の差が見られた(ポジティブ管理職87.9%、ネガティブ管理職46.0%)。次いで、「日頃から上位者に進んで協力し、必要な時に味方になってくれる関係性を築いている」が、39.9%(ポジティブ管理職91.4%、ネガティブ管理職51.5%)だった。

また、「コロナ禍で変えたマネジメント行動」について聞いたところ、ポジティブ管理職が最も重視した点は「問題意識を持って、情報収集し、変化の兆しや組織の進むべき方向を的確に捉えている」。これは、ネガティブ管理職とのギャップが最も大きい項目だった。

同社は、ポジティブ管理職は「人の信頼を獲得し、協力してもらえる関係づくり」「組織の進むべき方向を捉え、そのための革新を考える」ことを意識していると推測する。
コロナ禍で変えたマネジメント行動
部下(一般社員)の7割以上が「管理職になりたくない」
部下(一般社員)に対して、「今の仕事が面白い/面白くない」「管理職になりたい/なりたくない」を軸に四象限に分類した。その結果、約77.3%の部下が「管理職になりたくない」と回答した。
ポジティブ部下・ネガティブ部下の割合
2018年にJMAMが行った調査「JMAM管理職実態調査2018(n=566)」で同様に分類したところ、「管理職になりたくない」と回答した部下は72.8%だった。このことから、多くの一般社員に「管理職になりたくない」という傾向があると、同社は分析する。

管理職になりたい理由1位は「報酬アップ」、なりたくない理由1位は「自分は向いていないから」
「管理職を続けたい/続けたくない」「管理職になりたかった/なりたくなかった」で分類した。この結果から、もともと管理職になりたくないと感じていたネガティブな状態から、管理職を続けたいと感じているポジティブな状態に変化した管理職が16.7%いることがわかった。ネガティブな状態だとしても、後にポジティブ管理職に変わる余地があると考えられる。
管理職になる前となったあとの意識の変化
また、管理職になりたかった理由について、最も回答が多かったのは「報酬アップのため」。ポジティブ管理職がネガティブ管理職と比較して大きく上回っていたのは「自分の能力アップや成長のため」、ネガティブ管理職が上回っていたのは「会社や周囲から評価されたと思えるから」だった。
管理職になりたいと思っていた理由
この結果から、ポジティブ管理職は「能動的なモチベーション」で管理職になることを志向していたことがわかる。それに対して、ネガティブ管理職は「周囲からの見え方」などを考えており、モチベーションの感じ方に違いがあると同社は推測する。

さらに、管理職になりたくなかった理由で、全体で最も多い項目は「自分は管理職に向いていないから」(全体46.6%)で、ネガティブ管理職の41.0%、ポジティブ管理職の25.6%が回答。また、同様の質問を部下(一般社員)にも「管理職になりたくない理由」として聞いたところ、ネガティブ部下の53.0%が回答していた。このことから、管理職という仕事に前向きに取り組んでもらうためには、プレ管理職への動機づけや、自信を与えるための支援が必要と同社は推測する。
管理職になりたくなかった理由
管理職の役割について、ポジティブ管理職は「成長につながる」、ネガティブ管理職は「調整が多くて面倒」
実際に管理職になってみて、「管理職」という仕事にどのような印象を抱いたかを聞いたところ、ポジティブ管理職は「自分の成長につながった」(95.4%)が最多の回答だった。ネガティブ管理職は「調整が多くて面倒」(71.3%)が最多となった。
管理職になってみたことで感じた「管理職」という仕事への印象
ポジティブ管理職とネガティブ管理職の回答差が最も大きい項目は「チームマネジメントが面白い」(ポジティブ管理職86.8%、ネガティブ管理職20.8%、差:66.0%)。一方、回答率において両者の差が少なかったのは「プレーヤーとしての仕事の方が面白い」「調整が多くて面倒」「負荷に対し報酬が釣り合っていない」だった。

管理職になって感じるネガティブな側面は両者に共通している。それでも、管理職になったことで気づけた新たな魅力の方が上回ればポジティブな姿勢になり、負担の大きさにとらわれるとネガティブな姿勢になっていくと同社は分析する。

昇進前のマネジメント経験により、「管理職」の役割を疑似的に体験させることが重要
定性コメントで「管理職になる前に自分を一番成長させた経験」と「管理職に受けたかった支援や教育の内容」について聞いたところ、成長経験として最も多くあげられていた回答は「プロジェクトへの参画」だった。特に、新規事業や、部署外・社外との連携が必要とされるプロジェクトのリーダーとなって成功した経験が成長につながったと感じているコメントが多く見られた。

また、管理職になる前に受けたかった支援や教育の内容について、全体で最も多い回答は「マネジメント」であり、具体的にはチームやプロジェクトの運営、部下育成、タイムマネジメントといったものがあげられた。

このことから、部下層に、管理職になってからもポジティブに働いてもらうための支援として、権限を持って仕事を進めることや、人を巻き込むこと、巻き込んだ人をどう動機づけるかなどの疑似的な管理職経験を積んでもらうことが有効だと考えられる。そのためには、プロジェクトリーダーとして管理職に近い立場を任せる必要がある。