就活ハラスメント防止対策、10社の取り組み事例集を公開

厚生労働省は、3月7日、企業10社の協力のもと、就活ハラスメント防止対策の取り組み事例集を公開した。

「就活ハラスメント」とは、「就職活動中やインターンシップ中の学生等に対するセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント」のことを指す。厚生労働省の調査「令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査報告書」では、約4人に1人が就活ハラスメントの被害に遭っているという結果も出た。企業にとっても、社会的信用の低下やそれに伴う応募の減少、従業員の働く意欲の低下により生産性に悪影響が及ぶなど、さまざまなリスクが生じる問題だ。

労働施策総合推進法及び男女雇用機会均等法に基づく指針には、就活ハラスメント防止措置が望ましい取り組みとして明記されている。同事例集では、企業10社の協力のもと、就活ハラスメント防止対策としての具体的な取組の例を掲載。これから対策を始めようと考えている企業や、より踏み込んだ対策を講じようと考える企業での活用を想定している。

各社取り組み事例のポイントは以下の通り。

■就活ハラスメント対策 好事例（1）：大林組
・迅速な就活ハラスメント対策の行動規範策定
・学生と会社を守る採用活動の仕組みづくり
・継続的な研修で就活ハラスメント対策を学習
・ハラスメント対策室を中心とした社内の環境づくり

■就活ハラスメント対策 好事例（2）：ニッポンハムグループ
・社会の動向を敏感に察知し対策に着手
・長年培ってきたコンプライアンスを大切にする風土
・啓発冊子の活用や勉強会などを通じた意識醸成
・法令遵守に向けた全社的な取り組み  

■就活ハラスメント対策 好事例（3）：積水化学工業
・就活ハラスメント対策として個人情報の一部を非開示
・人権尊重と就活ハラスメント注意事項を面接官にレクチャー
・コンプライアンス問題の発生を防ぐ全社的な取り組み

■就活ハラスメント対策 好事例（4）：ジャックス
・オリジナル学習教材と毎月のeラーニングで根付かせるコンプライアンス意識
・毎年、誓約書に署名し、法令遵守の大切さを確認
・採用活動に参加する社員や面接官向けに「就職対応ハンドブック」を作成・活用

■就活ハラスメント対策 好事例（5）：アイスタイル
・就活ハラスメントを防止するため「宣言」に参加
・「オワハラ」も含めた就活ハラスメント対策の実施
・コンプライアンス意識が自然に浸透している社内風土

■就活ハラスメント対策 好事例（6）：日本たばこ産業
・全従業員を対象に就活ハラスメントのeラーニングを実施
・面接官や選考イベント参加社員に対してeラーニングの内容を復習
・行動規範などで就職活動中の学生へのハラスメント禁止を明記

■就活ハラスメント対策 好事例（7）：ニップスシステムセンター
・国の制度を活用した採用活動
・就活ハラスメント対策としての「公正な採用選考」の宣言
・オンライン採用活動で、就活ハラスメントのリスクが低減
・職場の環境づくりが採用実績の向上に貢献

■就活ハラスメント対策 好事例（8）：東京電力
・就活ハラスメントを分析して、問題の核となる要因を抽出
・共通要因にもとづいてリクルーター向けの研修を実施
・面接員には公正な採用選考の観点から適切な質問内容にフォーカスした研修を実施

■就活ハラスメント対策 好事例（9）：住友生命
・迅速な意思決定と情報共有、事例研究で対策に着手
・社内向けと学生向けにそれぞれ対策を実施
・根底にあるのは、人権を大切にする社内風土

■就活ハラスメント対策 好事例（10）：三井物産
・オワハラ専用の相談窓口を開設
・具体例を紹介する「オワハラ事例紹介動画」