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従業員の「身体の健康」以上に「心の健康」を重要視する経営者は1.4倍【ノストライフ調べ】

 2022.06.09

  • 働き方改革
ノストライフは、社長500人を対象として行った「人的資本経営の視点からの健康経営アンケート調査」の結果をまとめ、6月7日に、「従業員を大切にする健康経営の実態と展望」として公表した。調査結果をもとに、従業員の「身体の健康」以上に「心の健康」を重要視する経営者は1.4倍に及ぶことがわかった。一方で、従業員の健康に役立つ施策が実際に継続できているかという課題はあり、企業がイニシアチブを持って従業員のコンディショニングケアを展開することが重要と言及した。
ノストライフは、社長500人を対象として行った「人的資本経営の視点からの健康経営アンケート調査」の結果をまとめ、6月7日に、「従業員を大切にする健康経営の実態と展望」として公表した。

5月13日、経産省から人的資本経営を提唱する「人材版伊藤レポート2.0」が公表されるなど、企業が持続的に成長するために「従業員を大切にする経営」への注目度が高まっている。そこで、本調査を実施し、日本の経営者が抱く「従業員を大切にする経営」の実態と展望をまとめた。調査概要は以下の通り。

【調査結果サマリー】
1.【認識】:従業員の健康は重要な経営課題。企業にとってのメリットよりも従業員ファーストを優先。
2.【方向】:ウェルビーイングの実現を重要視。企業と従業員の共通の健康目標をつくりPDCA活動を展開。
3.【課題】:内容も予算措置も、一過性ではない、本質的な健康経営の制度・施策の導入が課題。

【調査概要】
1.【認識】:従業員の健康は重要な経営課題。企業にとってのメリットよりも従業員ファーストを優先。
「あなたの会社での従業員の健康に対する位置づけ(重要性)」について聞いたところ、78.2%の社長が、従業員の健康は企業として取り組む重要なテーマであると認識している。内訳としては、約4割(38.9%)の社長が、経営者が率先して取り組む攻めの経営(オフェンス)の重要テーマであると認識していた。「法令遵守(20.8%)」や「人事労務管理(19.1%)」といった守りの経営(ディフェンス)の重要テーマであるという認識の約2倍の結果となった。
続いて、「あなたの会社での健康経営への認識と取り組み」について聞いたところ、57.5%の社長が、健康経営を理解し、自社での取り組みを展開しているという結果となった。
従業員規模が大きい企業ほど積極的な取り組みを展開し、「健康経営認定取得を目指す(23.6%)」という傾向が高いことがわかる。その背景として、資本市場への情報開示事項のなかで健康経営への取り組みが本格化していく傾向にあることが関連していると思われる。なお、従業員規模が小さい企業のなかには、「ほとんど知らない(34.9%)」という企業もあり、規模による温度差があることがわかった。

「企業が健康経営に取り組む目的・メリット」についての回答では、「企業価値やブランドイメージの向上(34.4%)」や「企業業績の向上(28.5%)」のように、「企業にとってのメリット」を追求する意識よりも、「従業員満足度の向上(51.0%)」「従業員の健康意識の向上(44.4%)」のように、「従業員ファーストの意識」が先行していた。

2.【方向】:ウェルビーイングの実現を重要視。企業と従業員の共通の健康目標をつくりPDCA活動を展開。
従業員の健康を維持・増進するために重要視している生活習慣とその重要度についての調査では、「食事」「運動」「睡眠」といった「身体の健康」に係わる要素よりも、「心の健康」を重要視していることがわかった。
「非常に重要視する」という回答の比較では、「身体の健康」よりも「心の健康」を1.4倍重要視している。また、「身体の健康」よりも「人とのかかわり」を1.1倍重要視していることがわかった。一方、従来型の「不健康な生活習慣の改善」は、「ある程度重要」という認識に留まる。このことから、健康とは、単に「病気ではない」「弱っていない」ことではなく、「肉体的にも精神的にも社会的にも、トータルに満たされたコンディショニングの状態(=ウエルビーイング)」であることを重要視していることがわかった。

そして、ウェルビーイングに向かって健康経営を進めて行く際に企業として率先すべきことは、「経営者のコミットメント(47.3%)」のもと、「企業と従業員との健康目標の共有(30.1%)」をはかり、「従業員の健康を大事にする仕組みづくり(28.2%)」を導入していくことと考えられている。
健康経営は、「従業員の健康の維持・増進」と「企業業績の向上」の両立を目指す経営上の重要な制度・施策として、情報に基づいたPDCA活動を展開することが重要だ。

調査結果からは、「定期健康診断の実施率(58.4%:非常に重要視している)」「総労働時間数・残業時間数(36.7%)」「ストレスチェックの結果(34.8%)」をモニタリングすべき情報として重要視していることがわかっている。
DXの流れを受け、HR Tech(人事領域におけるデータ活用)が加速している昨今では、「エンゲージメントサーベイ(従業員の企業に対する満足度・関わり合いの深さを定期的にスコアリングする意識調査)」「パルスサーベイ(簡易な意識調査)」「健康状態を測定するアプリ」など、多様なデータが溢れている。しかし、まずは身近にある健康関連データである「健康診断」「労働時間」「ストレスチェック」をきちんと活用することが重要と言える。

定期健康診断やストレスチェックは、労働安全衛生法の要請により「実施」することが求められているが、そうして得たデータの「活用」を徹底することが重要だ。身近な健康関連データを活用して、「企業と従業員との健康目標」を共有化して、定期的なサイクルでPDCA活動を展開していくことが求められる。

3.【課題】:内容も予算措置も、一過性ではない、本質的な健康経営の制度・施策の導入が課題。
本調査では、実態として、企業が積極的に健康経営の制度・施策を展開できていないとした場合の課題についても調査を踏まえて言及している。「従業員の健康に役立つ施策を用意しても、従業員が利用・継続しないと思うことは?」という設問には、「忙しくて時間が取れない(38.7%)」「自分は大丈夫(32.9%)」「やりたい人がやれば良い(27.0%)」などの回答が上位に並んだ。
実際にこうした回答を寄せる従業員こそが、企業として最もケアすべき重要な対象者になる。健康が大事であることがわかっていながら、結果として後回しにせざるを得ない従業員や、健康への関心が低い従業員こそが、心身の健康を病んでしまうリスクを抱えている予備軍であり、企業として積極的に関与すべき対象者だ。

一過性の健康イベントや、従業員一人ひとりが自分の好みで福利厚生サービスを選ぶ「カフェテリアプラン」では、「企業にとって最も重要な資産(資本)である従業員」の健康を、企業がイニシアチブを持って継続的に維持・増進することは難しい。従業員の健康が、企業と従業員にとって重要な経営課題であることが従業員にしっかりと伝わる、本質的・継続的な改善活動としての制度・施策が求められる。

なお、企業がイニシアチブを取って健康経営を推進するための制度・施策に、どれぐらいの予算を向けるべきかという点では、安ければ安いほど良い(一人当たり月額1000円未満)という認識は低かった。「1000円~5000円未満(48.0%)」「5000円以上(30.6%)」といった予算規模が、「人的資本経営の要である従業員への投資」としての相応の水準として考えられている。