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昇給に対する圧力が高まると同時に「大量離職時代」も継続【PwC調べ】

 2022.05.30

  • 業界動向
PwCは、世界の労働力に関する調査「Global Workforce Hopes and Fears Survey」の結果を発表した。本調査から、従業員の5人に1人が今後12カ月以内に転職する可能性が高いと回答。「大量離職時代」は今後も続く見込みだ。
PwCは、5月25日、世界の労働力に関する調査「Global Workforce Hopes and Fears Survey」の結果を発表した。今回は、過去最大規模となる44の国と地域から52195人を対象として調査が実施された。

本調査によると、従業員の5人に1人が今後12カ月以内に転職する可能性が高いと回答した。「大量離職時代」は今後も続く見込みだ。また、35%が今後12カ月以内に昇給を求めていくとの結果が出ている。賃金上昇圧力が最も高いのはテクノロジーセクターで44%の回答者が昇給を求めており、最も低かったのは公共セクターの25%だった。

■調査サマリー
・スキルを持つ人々が力を行使し、世界の労働力は分裂。
・5人に1人が、今後12カ月以内に転職する可能性があると回答。
・3分の1以上が昇給を求めているが、仕事での充実感も同様に重視している。
・高いスキルを持つ従業員は、昇進や昇給を求め、また上司に話を聞いてもらえていると感じている傾向が強い。一方、スキルが不足している従業員は職場でのそのような力を持っていない。
・社会的な課題を職場で話題にすることはネガティブではなく、自分たちにポジティブな影響を与えていると感じる回答者は、そうでないと感じる回答者より30ポイント以上多かった。
・意見の異なる人同士が効果的に働くためのサポートを会社が提供しているとした回答者は30%にとどまる。

■調査結果
転職の主な動機は、昇給(71%)、やりがいのある仕事をしたい(69%)、自分らしく働きたい(66%)が上位3位を占めている。また、半数近く(47%)が、働く場所を選択できることを優先している。今後12カ月以内に転職先を探す可能性が高いと回答した従業員は、現在の雇用主に満足していない傾向があり、転職の意思がない人と比較すると次のような差が見られた。

・仕事にやりがいを感じる割合が14%ポイント低い
・職場で自分らしさを発揮できていると感じる割合が11%ポイント低い
・経済的な報酬が公平であると感じる割合が9%ポイント低い

社会課題を議論することは職場において日常的なことになっている。
雇用主からのサポートは不足しているが、従業員たちは議論することの恩恵を感じている

今回の調査結果によると、従業員の65%が社会的・政治的課題について同僚と頻繁に、あるいは時々話し合っており、その中でも若い世代の従業員(69%)とエスニックマイノリティ(民族的少数者)(73%)の回答がより大きいことが分かった。ビジネスリーダーは、分断につながる可能性のある課題を職場に持ち込むことに神経質になることもあるが、その影響は結果的にポジティブに作用している。職場で社会的・政治的な問題について話をしている人の79%が、その議論から少なくとも1つのポジティブな結果を得たと回答した。

一方で、41%が社会課題に関する議論がネガティブな結果を生んだとの回答もあり、雇用主がなすべきことは、オープンな会話のメリットを確保しつつ、ネガティブな影響を最小限に抑えるような状況をつくり出すことだ。いずれの数字も、自身がエスニックマイノリティであると考える人々の回答はより大きな数字となっている(肯定的84%、否定的59%)。

このような議論は、ポジティブな結果を確保するための組織側からの積極的な取り組みはほとんどないにもかかわらず、行われている。異なる意見を持つ人々と効果的に働くためのサポートを会社が提供していると答えた従業員は、わずか30%だった。

また、従業員は経済、気候問題、社会課題に対する雇用主の影響に特に関心を持っていることもわかった。従業員の半数(53%)は、雇用主が環境に与える影響について透明性を確保することが重要だと感じている。また、3分の2(65%)は健康と安全についての透明性確保が極めて重要と感じており、経済的影響についての透明性が60%、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みが54%と続いた。

スキルを持つ従業員は自分が強い立場にあると感じる傾向にあり、職場での不平等が拡大
今回の調査では、さまざまな面で労働力が分断していることが浮き彫りになった。経済的な報酬が公平であると回答した女性従業員は男性従業員より7ポイント低いにもかかわらず、昇給を求める女性従業員は男性従業員より7ポイント低くなっている。また、女性従業員が昇進を求める割合も男性従業員より8ポイント低く、上司が自分の話に耳を傾けてくれると感じる割合も男性従業員より8ポイント低いことから、昇進の要望が聞き流されることが多くなっていることがうかがえた。また、世代間にも大きな違いがあり、Z世代は仕事への満足度が低く、今後3年間で自分の役割がテクノロジーに取って代わられることを懸念している割合が、ベビーブーマー世代の2倍に上っている。

労働力の分断の最も重要な要因の1つはスキルだ。高く評価されるスキルを持つ従業員とそうでない従業員との間には大きな差ができている。調査結果によると、需要の高いスキルを持つ人(調査対象の29%が自国で不足しているスキルを持っていると認識)の方が、仕事に満足し(70%:52%)、上司に話を聞いてもらっていると感じ(63%:38%)、生活費の支払い後によりお金が手元に残る(56%:44%)傾向にある。

このスキルギャップを埋めるべく、会社はアップスキリングや昇給を通じて現在の労働力に投資していると従業員は回答している。それに反して、自動化やアウトソーシング、新規採用に重点的に取り組むと回答する従業員は少ない傾向となった。