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従業員の43%がより良い賃金と就業機会を求めて転職を意識【EY調べ】

マスメディアン編集部 2022.05.11

  • 人事
アーンスト・アンド・ヤング ジャパンが、5月9日に発表した「働き方再考に関するグローバル意識調査2022」によると、43%の従業員が良い賃金と就業機会、柔軟性を求めて転職を意識するようになったことがわかった。
5月9日、アーンスト・アンド・ヤング ジャパン(以下、EY Japan)は、「EY働き方再考に関するグローバル意識調査2022(※)」の結果を公開した。
※本調査は、英アーンスト・アンド・ヤング(以下、EY)が実施し、4月20日に発表。

本調査は、22カ国・26産業セクターにわたる1500名を超すビジネスリーダーと、1万7000名以上の従業員を対象に実施した。多くの国がCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックから回復するなか、従業員は雇用主に対して大きな影響力を持ち、潜在的な雇用主に対する希望事項が変化しつつあることがわかった。

今回の調査から得られた主な知見は下記の通り。

1.より高い賃金の追求が、柔軟性に対する欲求を上回る
本調査によると、転職の主な動機は「より高い給与」となった。世界の多くの国で起こった記録的なインフレにより、転職を考えている3分の1以上(35%)が「昇給」を希望し、25%は「今後のキャリア」を考えているためと回答した。調査対象の従業員の42%が、「昇給」がスタッフの離職改善の鍵であると回答する一方、企業の18%しかそれに同意していない。

昨年の同調査では、多くの従業員の転職のきっかけは「柔軟な働き方」が中心となっていた。しかし、現在は大半が既に何らかの形で柔軟性を提供する企業で働いており、それほど大きな影響力はなくなっていることが判明した。また、新しい仕事にリモートワークの柔軟性を求めたのは19%のみで、福利厚生プログラムが転職のきっかけになると回答したのは17%のみとなった。

なお、調査対象国のさまざまな年齢別の結果では、米国のZ世代とミレニアル世代の従業員は、今年転職を考えている割合が最も高く(53%)、セクター全体ではテクノロジーとハードウエア分野で最も離職願望が高い(60%)。

EYアジアパシフィック ピープル・アドバイザリー・サービス 日本地域代表 パートナーの鵜澤慎一郎氏は、本調査には日本から約1,000名の従業員、30名のビジネスリーダーが参加していると言及。グローバルトレンドとの比較から、「日本は世界と比べて、コロナ禍を変革の契機と捉えていない、柔軟な労働環境の提供ができていない」など、弱気で慎重な姿勢が明らかになったと述べた。経済活動やコミュニケーションに関して「自粛から再開」に既にかじを切り始めている国々に追いつくためにも、日本企業には一層の変革努力が求められる。

2.文化と生産性に関する見方の変化
従業員は、転職願望は根強くあるものの、企業文化については比較的明るい見方をしているという結果となった。企業文化が改善されたと考える従業員は、COVID-19パンデミックが始まって以降48%から61%に増加した。

同時に、自社の企業文化に自信がある企業は77%から57%に低下している。さらに、従業員は新しい働き方によって生産性が向上したと考えている一方、離職率の上昇により、企業側の生産性に対する自信は損なわれているのが現状だ。

3.スキルの向上と人材の格差
企業の58%は、将来のビジネスニーズに適合させるため、人材とスキルの戦略を立てることが重要であるとしている。また、74%は、極めて重要または希少なスキルを持つ従業員については、他国から雇用し、どこからでも勤務できるようにする準備があると回答。企業の5分の1以上(21%)は、スキルを構築する機会を改善することが離職改善に役立つと考えている。

4.職場出勤への圧力
柔軟な勤務体制へ移行しているにもかかわらず、企業の22%は、従業員が週5日職場に出勤することを望んでいると回答した。従業員側のリモートワークへの抵抗は薄れ(34%から20%)、多くの従業員(80%)は、少なくとも週2日はリモートで勤務したいと回答している。

5.新しい働き方で文化と生産性を高める
本調査は、「楽観的な」雇用主の32%が文化と生産性の両方の改善に成功していることを明らかにした。それは、リーダーが会社の問題や外部の慣行、戦略について共通の理解を持っていることを明確にすることで、成功を実現していることを示している(93%)。 

これらの企業が成功の原動力として挙げているそのほかの要因には、ハイブリッド勤務(90%)、職場のアメニティーへの投資(39%)、職場のテクノロジーの強化(45%)、従業員のエンパワーメントと自律性の向上(44%)などがあげられた。対照的に、他の企業は様子見を続けているか、選択的な措置のみを取っている。

EY業務再構築リーダーのRoselyn Feinsod氏は、企業の上位3分の1が、「給与」「キャリア機会」「柔軟性」に関する異なる立場にうまく対応していると言及。彼らは「抵抗」から「復興」に移行しており、それが企業と従業員の双方にメリットをもたらしている。企業は、従業員を維持し、信頼を与え、総賃金やキャリアパス、柔軟性を考慮したパッケージを提供し、市場の懸念とリスクとの均衡を図るよう努める必要があると述べた。