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2021年の日本のIPO件数は34%増、2006年以来最大の125件【EY調べ】

マスメディアン編集部 2022.01.17

  • 業界動向
EYの調査によると、2021年の世界のIPOの件数、調達額はともに年始から第4四半期まで過去最高記録を塗り替え続け、2021年全体で合計2388件のIPOが4533億米ドルを調達した。これは、前年比で件数が64%、調達額が67%の増加。日本でのIPO件数は34%増で、2006年以来最大の125件。
会計事務所のEYは、2021年のIPOに関する調査結果を発表した。世界のIPO市場は、2021年を前に先行きが不透明だったが、IPOの件数、調達額ともに年始から第4四半期まで過去最高記録を塗り替え続け、2021年全体で合計2388件のIPOが4533億米ドルを調達した。これは、前年比で件数が64%、調達額が67%の増加。

2021年は、新型コロナウイルスのワクチン接種開始、世界経済の回復、各国政府の景気刺激策が市場にもたらした高い流動性によって、世界のIPOに対する明るい見通しが年初から生まれた。2021年第4四半期は、IPO件数が2007年第4四半期以来、第4四半期としては過去最高となった。621件のIPOが1122億米ドルを調達し、2020年第4四半期と比較すると、件数が16%、調達額が9%の増加。

2021年は、世界のすべてのIPO市場で、件数、調達額ともに増加。特に、EMEIA(欧州・中東・インド・アフリカ)は最も大幅な増加を達成した地域で、IPO件数は前年比158%の増加(724件)、調達額は214%の増加(1094億米ドル)を記録した。Americas(北・中・南米)も引き続き好調で、528件(前年比87%増)のIPOが、1746億米ドル(78%増)を調達した。Asia-Pacific(アジア・パシフィック)における増加は比較的緩やかで、1136件(28%増)のIPOが、1693億米ドル(22%増)を調達した。

全世界をセクター別でみると、テクノロジーが、(2020年第3四半期より)6期連続でIPO件数の最高記録(611件)を更新。また、調達額も(2020年第2四半期より)7期連続で最高記録を更新(1475億米ドル)しました。テクノロジーの後を追うのがヘルスケアで、376件のIPOが、654億米ドルを調達した。僅差で3位となったのは製造業で、310件のIPOが、631億米ドルを調達した。

EY Global IPOリーダーのPaul Go氏のコメント
「2021年は、過去20年間で最もIPO市場が活況を呈した年でした。年初から、経済活動の回復、新型コロナワクチンの接種開始、各国政府の経済刺激策による高い流動性といった明るい見通しが広がり、IPOにとって大きな追い風になりました。しかし、第4四半期に入ると、新型コロナウイルスの新たな変異株であるオミクロン株の拡散不安、地政学上の緊張の継続、IPOの動きの鈍化および市場変動の拡大といった要因によって、こうした風向きに変化が現れました。IPOを目指している企業が、2022年にIPOを推し進めるにしても、あるいは当面見合わせるにしても、レジリエントな(強くてしなやかな)成長戦略と明確なESG(環境・社会・ガバナンス)計画を求める投資家の要求を満たす必要があります」

■2021年のAsia-Pacificの成長は緩やか
Asia-PacificにおけるIPO活動は2021年を通して安定したペースを維持し、前年比28%増である1136件のIPOが前年比22%増の1693億米ドルを調達した。好調ではあるが、AmericasとEMEIAが今年経験した過去最高のIPO活動と比較すると、控えめと言える。業種別では、テクノロジーが件数、調達額ともにトップとなり、通年で257件のIPOが454億米ドルを調達した。

中国周辺では、2021年第3四半期以降IPOが減速した。その原因の一つに、中国本土において、一定の基準に該当する、国境をまたぐIPO関連企業に対するサイバーセキュリティ審査要件が厳格化されたことがある。これに加えて、米国証券取引委員会(SEC)のガイドラインによって、米国の証券取引所に上場する外国企業は、SECと米国公開会社会計監督委員会(PCOAB)の検査規則に従わなければならないと規定されたことによって、米国上場を目指す中国企業の心理が冷え込んだ。この結果、複数の中国のメガIPOの計画が遅延または変更されました。中国周辺全体では前年比11%増である593件のIPOが前年比3%増の1228億米ドルを調達した。

EY Asia-Pacific IPOリーダーのRingo Choi氏のコメント
「Asia-PacificのIPO市場の成長速度は、2020年の猛烈なものから緩やかなものへとクールダウンしましたが、2021年後半はそれでもまずまずの水準を維持しました。中華圏では、IPOを目指す企業が新しい規制に適応する必要があり、これがIPO活動をスローダウンさせました。一方、その他の地域では、IPO活動が大幅に増加しました。今後、IPOを目指す企業は、規制の変更、地政学的問題、ESGがますます求められる傾向に迅速に対応できるよう、レジリエントな戦略を立てる必要があるでしょう」

■日本の状況
日本では、2006年以来1年間で最大のIPO件数となり、前年比34%増である125件のIPO件数、前年比97%増の65億米ドルの調達という結果となった。これは、株価が堅調に推移したこと、リスクマネーの増大によるスタートアップ企業への投資増大、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会をターゲットにした上場準備会社の増加、デジタル化の追い風を受けたスタートアップ企業の増加等が要因となっている。これらの要因は、2022年においてもプラスに寄与するとみられ、2022年も多数のIPO企業の創出が期待される。また、オーストラリアとニュージーランド、韓国、インドネシア、タイのIPO市場も活況だった。

EYJapan IPOリーダー兼EY新日本有限責任監査法人企業成長サポートセンターセンター長である齊藤直人氏のコメント
「2021年の新規上場社数が確定し、EY新日本は4年連続でIPO監査実績首位となりました。EY新日本では、2020年7月に「IPO認定者制度」を導入し、初年度445名をIPO認定者として認定しました。本制度を通じてIPO監査人材の育成を積極的に推進しています。これにより、さらなるIPO監査体制を強化し、IPO監査難民問題の解決を図れるよう努めています。今後も、長期的に世界および日本経済の成長ドライバーとなるスタートアップ企業に対して、高品質かつ高付加価値のIPO監査・支援を提供し、資本市場の発展に貢献していきます」

■2022年第1四半期の見通し:逆風に備えつつ、当面は高い企業価値評価をフル活用
新年に目を向けると、逆風と追い風の両方が見込まれ、それらがIPO活動に影響を与える可能性があるという。地政学的緊張、インフレリスク、景気の本格的な回復に水を差す新型コロナウイルスの新たな感染拡大と変異株の出現、こうした要因がすべて相まって影響を与えている。こうした状況にもかかわらず、比較的高い企業価値評価と流動性のおかげで、2022年におけるIPOのチャンスの扉は今のところ開いたままだ。より高い市場の変動が予想されるため、IPO候補企業は、IPO計画に遅延が出た場合に備えて、必要な資金調達を行うための代替案を準備しておき、柔軟に対応し続ける必要があるとEYは分析している。