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働き方をアップデートする「WORK DESIGN AWARD 2021」グランプリは「休みやすい会社づくり」

マスメディアン編集部 2021.11.24

  • 働き方改革
SmartHRは、「WORK DESIGN AWARD 2021」の審査結果を発表した。グランプリには、好きな日に連絡なしで出勤・欠勤するシステムを採用した、パプアニューギニア海産のフリースケジュールの取り組みが選ばれた。

SmartHRは、働き方をアップデートした取り組みに焦点を当てる「WORK DESIGN AWARD 2021」の審査結果を発表した。

同アワードは、コロナ禍においてリモートワークが増えるなど働き方の形が大きく変化し、多くの企業や団体が新しい環境に合わせた取り組みを模索する中、これからの「働き方」や「働きやすさ」について考えるきっかけづくりを目的とするもので、今年が初めての開催。応募総数114件の中から、好きな日に連絡なしで出勤・欠勤するシステムを採用した、パプアニューギニア海産のフリースケジュールの取り組みがグランプリに選ばれた。

募集部門は、働く人の成長やキャリアアップにつながることを目指した「キャリア」、不要なワークプロセスの削減や必要なワークプロセスの開発を目指した「ワークプロセス」、性別・年齢・能力・国籍などに関わらず様々な人が心地よく働くための試み「ダイバーシティー&インクルージョン」など、計6部門。8月31日より、アワード特設サイトにて募集した。
受賞企業は以下の通り。

■ワークスタイル部門/グランプリ
パプアニューギニア海産
取り組み名:フリースケジュール

従業員が会社のことを嫌いでなくなること、自分の生活を大事に争いのない職場にすることを目指し、一人ひとりが満足できる働き方を実現すべく、職場環境の改善を実施。従業員全員と面談を繰り返した末に辿り着いたのが、好きな日に出勤ではなく、好きな日に休むことができる「休みやすい会社にする」ということであった。パート従業員のシフト制をやめ、好きな日に連絡なしで出勤・欠勤するシステムを採用し、工場営業時間の間は、出勤は1分単位、退勤は30分単位で自由。退勤時間は出勤時にホワイトボードにて申告、休憩も好きな時間に好きなだけとることができ、全てにおいて報告は禁止としている。時間に縛られないことで、子育て中の人や障害を持った人なども自分の生活を大事にすることができる働きやすい職場となった。2016年に出勤日・時間ともに自由にしてから誰も出勤しなかった日はなく、勤務形態による欠品もない。2020年は離職率0%であり、ベテラン従業員が増えることで作業効率・品質が向上した。現在23名のパート従業員全員に同システムを適用している。

■キャリア部門
パーソルキャリア
取り組み名:社員がつながり、成長を支援しあうコミュニティで社内を活性化。「タニモク」×「モクサポ」プロジェクト

コロナ禍によって、本格的にリモートワークが始まった中で、社員同士のコミュニケーションの減少や中途入社者の孤立など、「社員同士の関係性」に関する問題が組織で挙がってきた。そこで立ち上がったのが社員の有志で立ち上げたワークショップ「タニモク」とコミュニティ「モクサポ」という社内活性プロジェクト。「タニモク」は、3~4人で目標をたてあうワークショップで、目標をたててもらう人(=主人公)が現状を相手に伝え、相手は「自分だったら」という主観で主人公の目標をプレゼンする。主人公は得られたアイデアを用いて、具体的な目標をたてる。これにより、主人公は自分が気づかなかった目標や行動の選択肢が得られる。また、目標を立てあった社員同士が部門間を超えて目標を共有し、行動を支援するコミュニティが「モクサポ」である。2020年9月からスタートして参加者も増え、「タニモク」実施回数は延べ7回、2021年8月時点で「モクサポ」コミュニティメンバーは80名規模に。現在はタニモクを体験した社員が現場に持ち返り、全国で「タニモク」が自発的に開催されており、社員同士の支援のつながりによるパフォーマンスの向上や、今後のキャリアや働き方を考える機会を創出している。

■ワークスタイル部門
コミュニティサロン と和(社会起業家パートナーズ)
取り組み名:19種類の働き方

長時間労働、低賃金といった劣悪な労働環境により、早期離職や美容師自体を辞める傾向にある美容業の雇用環境の整備の遅れ問題に対して一石を投じるべく、19種類の雇用形態・給与体系を用意。独身、結婚、妊娠、産休・育休、子育て、親の介護など、女性のライフステージに合わせて、働き方は6カ月毎に変更が可能で、 19種類の働き方から、雇用形態・給与体系などを選ぶことができる。「土日勤務の有無」「1週間の出勤日数」「1日の労働時間」「給与」をフローチャートで作成することで、19種類の雇用形態・給与体系を分かりやすくしている。また、ノー残業デーの導入や施術終了20分後までに退社といった残業削減の取組み、勤務間インターバル制度等による働き方の改革、ボランティア休暇制度等による休み方の改革など、働き方改革・休み方改革・両立支援の三つの側面から雇用環境を整備。雇用環境の整備によって、社会的課題であるママ美容師・休眠美容師の雇用にも積極的に取り組んでいる。

■ワークプロセス部門
GMOインターネットグループ
取り組み名:さよなら印鑑キャンペーン

GMOインターネットグループは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、在宅勤務体制に移行し、在宅勤務期間中にグループ各社の従業員を対象としてアンケートを実施した。その結果、押印手続きのために出社をする、「ハンコ通勤」の事態が多くあることが判明した。このような背景を受け、業務効率化やリモートワーク支援、電子契約の普及・発展を推進するため、「さよなら印鑑キャンペーン」と題し、脱ハンコに対する賛否の意見や“無駄ハンコ”についてのエピソードを募集する『みんなの“無駄ハンコ実態調査”2020』を実施。脱ハンコについて考えるきっかけづくりを行った。また脱ハンコの実現を後押しすべく、グループ会社のGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供する電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」を活用した官民への支援を実施。民間企業に対しては、最大1年間の「電子印鑑GMOサイン」の無償提供を開始。官公庁・自治体に対しては、「さよなら印鑑~1億総デジタルプロジェクト~」と題して、同サービスを最大1年間無償提供するキャンペーンを実施。結果として、「さよなら印鑑キャンペーン」では最終的に約8万6000票の投票数を集めるなど、脱ハンコに関する大きな反響を得ると共に、「電子印鑑GMOサイン」の提供を通じて日本の80自治体・企業31万社(2021年9月)の脱ハンコ実現をサポート。

■ニューカルチャー部門
株式会社キャスター
取り組み名:実在しない人事担当「遠藤ひかり」が業務を遂行

毎月多数の新入社員が入社する関係で、人事担当者宛には入社時の契約や就業規則について、毎回同じような質問が繰り返されていた。多くの内容がマニュアル化できており、テンプレートをもとにした対応で事足りていた。そのような中、同じことを発信するのに、担当者は一人でないといけないのか?という疑問が出てきた。こうした課題に対し、実在しない架空の人物を設定し、複数名が運用するという手法を実施。実在しない架空の人物「遠藤ひかり」を設定。複数人の人事担当者がこの「遠藤ひかり」アカウントを運用し、人事の契約・更新手続き等の窓口業務を担当した。社内ではいつの間にかその実情を知る人もいれば、知らぬままの人もいた中、2021年4月にこの内容がウェブメディアに掲載されたことで、反響を呼び、会社運営において、一人の人格を複数名で運用する手法は合理的であるなどといった意見が上がった。担当者が休暇時や退職した場合も、継続的に一定の質を保った対応が可能であるほか、人格を持たせることで心理的安全性を担保し相談のハードルを下げ、情報の一元管理につなげている。

■ニューカルチャー部門
株式会社リブセンス
取り組み名:Q by Livesense

取り組み前、従業員に「事業部愛」はあったが「会社愛」はあまりなく、会社としてのアイデンティティを改めて確立する必要があった。時を同じくして、それまで芳しい成果を上げられずにいた広報ブログを改善したいというニーズがあった。広報チームでどのようなメディアを目指すか話し合い、さまざまなオウンドメディア事例を参考に、目指したい姿について検討した。バズを目指さず、読まれやすい字数などのセオリーも捨て、等身大で伝えること。それから「リブセンスを」紹介するのではなく「リブセンスによって」紹介することを目指し、2020年12月、問い続ける時代の企業ブログ『Q by Livesenese』をローンチした。縦書き、長文、写真なしというスタイルで、会社から見える社会課題について読者に問いを投げかけるコンセプトの企業ブログができあがった。社内外からの反響は大きく、一記事あたりの平均PV数は約10倍に。また、記事を読んだ従業員から「こういうメディアがあることが、私がここで働いている理由」といった声も寄せられ、従業員自身が「働く」ことの意味を再発見しつつある。

■エンプロイーベネフィット部門
株式会社ガイアックス
取り組み名:従業員が事業部を法人化し、株式・オーナーシップを持つ「カーブアウト・オプション制度」

従業員がどれだけリーダーシップを発揮しても、経営のオーナーシップを持つことは難しく、労働のリターンを十分に享受できずに社員が退職する課題や、社内では意思決定権やスピード感を得られず経営スキルが育ちにくいという課題に対し、全事業部のリーダーやメンバーが自らの意志で事業を法人化できる独自の制度「カーブアウト・オプション制度」を作り導入。事業リーダーが申請すれば、事業を子会社化することができ、また、事業メンバーに対して全株式の50%のストックオプションが付与される「会社に所属しながらにして自分の事業を一部自分の会社にできる」制度。同オプションの活用により、事業部を運営するチームメンバーは株式の少なくとも3~4割を所有できる。さらに議決権の所有や第三者からの資金調達はもちろん、報酬を配当か給与にするかの決定に至るまで、事業に関する全ての意思決定を事業部で行うことも可能に。この制度の活用が進み、メンバーのオーナーシップの高まり、メンバーの働きがい、モチベーション、キャリアや金銭的報酬においてベネフィットがもたらされ、アントレプレナーシップをもつ社員が、退職ではなく社内起業を選択するように。2020年に同制度を活用したアディッシュ株式会社が東証マザーズに上場、2021年にEDGE株式会社が資金調達によりMBOするなどの成果につながっている。

■ダイバーシティー&インクルージョン部門
株式会社オリィ研究所
取り組み名:分身ロボットカフェDAWN ver.β

「すべての人に社会とつながり続ける選択肢を」をテーマに、ALSなどの難病や重度障害で外出困難な人々が分身ロボットの遠隔操作を行い、カフェのサービススタッフとしての就労にチャレンジするプロジェクト。開発された「分身ロボットOriHime」は、老若男女・障害の有無を問わず操作ができ、外出困難状態であっても就労を可能にする。カメラ・マイク・スピーカーという入出力装置に加え、身振り手振りという非言語をも使いこなし、このジェスチャーが生み出す「リアクション」は、話者同士が離れた空間に居てもあたかもそこにいるかのような「存在の手触り」を作り出している。2018年より「働き方改革とは働かせ方改革なのである」という信念のもと、テクノロジーによって「動けないが働く意欲がある人々」を「動けないが働ける人々」にする実験とチャレンジを繰り返し、合計4回のテストを経て、2021年6月、常設店の開店に至った。重度障害者に一時的な雇用の場を作るばかりではなく、カフェでの勤務経験を買われて一般企業へと就職するケースも多数生むモデルケースとなった。