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HRデータ活用、経営戦略、人材マネジメント…これからのCHROの役割とは?【セミナーレポート】

マスメディアン編集部 2021.07.07

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マスメディアンは、 6月23日、慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 特任教授の岩本 隆氏を講師に迎え、経営者・人事責任者向けセミナー「<海外の最新潮流から解説>DX時代に求められる最高人材責任者(CHRO)の役割」を開催した。これからの人事責任者が経営において果たすべき役割について、その背景から、日本の産業人材政策について、また諸外国の状況や今後の展望まで、広範にわたり解説された。
マスメディアンは、 6月23日、慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 特任教授の岩本 隆氏を講師に迎え、経営者向けセミナー「<海外の最新潮流から解説>DX時代に求められる最高人材責任者(CHRO)の役割」を開催した。同セミナーには、64名の経営者・人事責任者が参加した。

主なテーマはタイトルの通り、これからの人事責任者が経営において果たすべき役割。その背景から、日本の産業人材政策について、また諸外国の状況や今後の展望について、広範にわたり解説された。主な内容は以下の通り。

・2010年代からの第四次産業革命、サービス業の拡大といった産業構造の変化により、従来のような財務諸表に基づく投資判断・経営判断が難しくなり、人材に代表される無形資産の評価が重視されるように。また、サービス業では、製造業と比較して、個々人による生産性が大きく異なる傾向があるため、人材の最適配置がより重要になる。これらを背景として、「ヒューマンキャピタル(人的資本)」という考えに注目が集まっている。

・さらに、HRテクノロジーの進化により人事・人材の情報をデータで扱えるようになったため、CHROが経営の議論に参加しやすくなった。つまり、人材戦略と経営戦略がより密接に連関するようになった。

・新規事業を実施する際には、「ビジネスに関する課題」と「組織・人材に関する課題」の双方を解決できるか、が議論されるように。

・また、コロナ禍を契機として職場におけるAIツールへの投資の加速が見込まれる。

・このような情勢において、産業人材政策として目指すべきは、「AIやロボット等を創り、新たなビジネスのトレンドを創出する仕事」をする人材を国内外から集積することとされている(*1)。そのため、個々の人材のポテンシャルを最大限に引き出し、パフォーマンスを最大化する「プロスポーツ型」の個々に寄り添った人材マネジメントがより一層求められるようになっている。

・これからは、人材マネジメントにROI(Return on Investment)の考え方を取り入れていくことが求められる。つまり、人材に投資(Investment)をして資産(Asset)とし、その資産から利益(Return)を得ること。製造業などの場合には、投資の金額=資産となったが、人材の場合は投資額と資産(人材)の価値が変動する可能性がある(比例しない)。人材投資によって社員が成長すれば、大幅なリターンも見込めるため、どのように・どこに投資するのかにはより難しい判断が必要とされる。その判断がCHROの役割である。

・また、今後、各企業のHRデータについては開示が進むと予測される。欧州では2018年から、米国では2020年11月から、それぞれ人的資本の開示が義務化されている。どの地域でも、国際標準化機構が設定した人的資本に関する情報開示のガイドライン「ISO 30414」準拠のHRレポートを公表する企業が増えており、日本でも大手企業を中心に追随する動きがある。

・企業内部でのHRデータ活用には、レポーティング→メトリクス&KPIsの設定→アナリティクス→モデリング の4つの段階がある。各企業には、一つ一つステップアップしていくことが求められる。

講義の後には質疑応答も実施。参加者からは、「経営戦略と連携しながら人事戦略の練れる人材こそCHROになるべきだと腑に落ちました」、「ISO 30414で制定されている測定基準を参考に、自社でも人材評価のわかりやすい数値化を推進していきたいです」などの感想が寄せられた。

同セミナーは、後日のアーカイブ配信を予定している。


*1:経済産業省 経済産業政策局「第4次産業革命への対応の方向性(領域横断型の検討課題:人材・教育)」(2016年1月)https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shinsangyo_kozo/pdf/005_04_02.pdf