マーケティング・営業戦略・広報・宣伝・クリエイティブ職専門の採用支援はマスメディアン【宣伝会議グループ】

  • HOME
  • ニュース
  • SDGsに積極的な企業は24.4%。最も力を入れる目標は『働きがいも経済成長も』【帝国データバンク調べ】

SDGsに積極的な企業は24.4%。最も力を入れる目標は『働きがいも経済成長も』【帝国データバンク調べ】

マスメディアン編集部 2020.07.14

  • SDGs
  • 働き方改革
帝国データバンクの調査によると、自社におけるSDGsへの理解や取り組みについて、企業の24.4%がSDGsに積極的だった。他方、「半数近くがSDGsを知りつつも取り組んでいない」という結果となった。なかでも力を入れている項目は、「働きがいも経済成長も」が27.1%でトップとなった。
帝国データバンクは、SDGsに関する企業の見解について調査を実施した。SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットにおいて、世界193カ国が産官学民などのステークホルダーとともに同意した「2030年アジェンダ」に掲載されている世界共通の目標である。採択から5年が経過しようとするなか、政府や行政機関のみならず民間企業の経営指針としても急速に注目を集めている。
自社におけるSDGs への理解や取り組みについて尋ねたところ、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は 8.0%となった。また、「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと 思っている」は 16.4%で、合計すると SDGsに積極的な企業は 24.4%で4社に1社という結果と なった。また、「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」(32.9%) が 3割超となり、「言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない」(14.8%)といった、SDGs の存在は認知しているものの取り組んでいない企業が半数近くにのぼった。
SDGs に積極的な企業を規模別でみると「大企業」は 34.9%で全体(24.4%)を 10.5 ポイント上回っている。しかし、「中小企業」は 22.1%、「小規模企業」は 19.0%となっており、大企業と比べて大きく下回っている。業界別では、『金融』が 41.5%で4割を上回ってトップとなったものの、その他の 8 業界は2割台となっている。 SDGsに取り組んでいる企業からは、「SDGsに取り上げられている項目は全て未来に私たち世代が引き継ぐべき目標。地球のためにという大目的で中小企業も含めて取り組むべきもの だと感じる」(電力制御装置製造、千葉県)や「まずは男女平等で働きがいのある職場など、足元の環境づくりからはじめたい」(その他の卸売、福井県)といった前向きな声があがっている。

一方で、SDGs に取り組んでいない企業からは、「SDGs は大変意義のある重要なことだとは理解しているが、会社の売り上げや利益につながるのかがよく分からない」(金属工作機械製造、岡山県)、「環境等を守るためには普通の設備よりも性能の高 い機材の導入や材料のコストも高くなる。そうしたことは資金力のある大企業と同じようにはできない」(不動産代理・仲介、埼玉県)といった意見が、中小企業を中心に多くあげられていた。
SSDGsで掲げられている17目標のうち、現在力を入れて取り組んでいる項目を尋ねたところ、目標の8つ目に掲げられている「働きがいも経済成長も」が27.1%で最も高かった(複数回答、以下同)。働き方改革など、既に注目されているテーマを含んでいることが一因とみられる。

次いで、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(15.9%)、「つくる責任つかう責任」(14.8%)、「気候変動に具体的な対策を」(14.7%)などが続いた。企業活動に結びつきやすい項目では取り組む企業も多いが、一方で「貧困をなくそう」(5.5%)や「飢餓をゼロに」(3.1%)は低位にとどまった。また、今後最も取り組みたい項目について尋ねたところ、「働きがいも経済成長も」が14.8%でトップとなった(単一回答、以下同)。次いで、「パートナーシップで目標を達成しよう」(6.0%)、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(5.6%)が続いた。

ただし、現在と今後のいずれにおいても「分からない」とする割合が高く、企業からは「具体的にどのあたりから目標として掲げるべきか分からない部分が多い」(コンクリート工事、長崎県)といった意見があげられている。
SDGsの達成に貢献することによって、どのような企業価値の向上に役立つと思うか尋ねたところ、「企業好感度」に関して企業の53.3%が『そう思う』(「非常にそう思う」と「ある程度そう思う」の合計)と考えていた。さらに、「社会的評価」が50.4%で5割を上回るなど、SDGsに取り組むことで社外からの見られ方に好影響があるとする意見が強い結果となった。

一方で、「世界ブランド」や「地域ブランド」では「どちらともいえない」「あまり思わない」とする割合が高い。また「株価等」に関しては、SDGsの達成で向上すると考えている企業は12.7%だった一方、企業の4割が「分からない」としている。
SDGsの達成に向けて地域や国際社会に付加価値を生むテーマについて、インパクトの大きいと考えるものを尋ねたところ、異能な地域人財の活用など「顧客・人財確保」が33.8%でトップとなった。次いで地域ワーク・シェアリング(複業化)などを含む「適正な労働時間・環境・内容」(30.0%)が3割台で続き、ヒトに関連する項目が上位にあげられている。

企業からは、「従業員の『働きやすさ』と『やりがい』が業績や社員の収入にきちんとリンクして経営させる」(広告制作、大阪府)や「地域雇用を創出し、生活・経済の活性化を図る」(回転電気機械製造、千葉県)などの声がみられる。

また、ゼロ・エミッションなどの「気候変動・環境汚染を起こさない原材料・生産工程」(24.6%)、ゼロ・ウェイストなどの「ゴミを出さない・全て資源で活用する原材料・生産工程」(22.2%)といった環境面に関する項目が続いた。企業からは「地産地消で全ての有機物も無駄をなくして完全循環型にすることで貢献する」(一般機械器具卸売、東京都)や「再生エネルギーや自然を利用した資源を活用して自然環境と調和し、バランスがとれた経済活動を行う」(森林組合、茨城県)といった意見があがった。
ビジネスの目的や企業理念など、企業経営上大切にしていることを1位から3位まで尋ねたところ、総合順位1では「顧客・従業員満足度」が総合ポイント3.32点となり、企業経営を行う上で最も大切にしている結果となった。「顧客・従業員満足度」は1位にあげた企業が45.6%、2位にあげた企業も32.1%でともに各順位で最も高い割合となり、3位も含めると企業の85.4%が企業経営上大切であるとしていた。また、「自社事業拡大」は総合ポイントが2.22点で2番目に高く、企業の約3割が1位と選択していた。「社会貢献」は総合ポイントが1.49点となっており、企業の27.6%が3位としてあげていた。

企業からは、「小さな会社ということもあり、持続的な成長として顧客、従業員満足度を高めることを第一に考えている」(紙製品卸売、群馬県)や、「従業員満足度を上げることで、従業員が地域で貢献し、地球環境にも貢献できるように繋がっていければいい」(事業サービス、石川県)といった、「ヒト」への注力に関する意見があげられている。
SDGsは政府や自治体を中心に展開されていたが、近年は民間企業においても積極的に関与する機運が高まっている。また、SDGsの目標達成への貢献によって新たなビジネスチャンスへのつながりや企業の魅力向上、それにともなう新たな人材の獲得など、さまざまな効果も期待されている。さらに、新型コロナウイルスにともなう社会・経済活動や新しい生活様式において、SDGsは感染拡大防止対策や企業の持続可能性に対する考え方としても有効と考えられている。

本調査は、TDB景気動向調査2020年6月調査とともに行われ、調査期間は2020年6月17日~30日、調査対象は全国2万3,681社で、有効回答企業数は1万1,275社。回答率は47.6%だった。