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8割の求職者が採用動画を視聴! 20代は「仕事内容」、30代は「社風」を重視【moovy調べ】

マスメディアン編集部 2025.12.11

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moovyは、採用動画のトレンドに関するアンケート調査を実施した。本調査によると、採用動画は求職者の8割が視聴するほど採用活動に不可欠なツールとなっている。また、求職者は動画を通じて「職場の雰囲気」や「1日の流れ」など、企業のリアルな情報を求めていることが判明した。
moovyは、直近1年間で就職・転職した20代から40代の345名を対象に、採用動画のトレンドに関するアンケート調査を実施した。今回は、その結果の一部を抜粋する。

なお、事前のスクリーニング調査では、直近1年で就職・転職をした人の約8割が「採用動画を1本以上視聴した」と回答し、採用動画が広く活用されている実態も確認できた。以下は、その視聴経験者345名を対象とした調査の結果である。

調査サマリー

サマリー

採用動画の視聴は1位 YouTube、2位 採用サイト。ただし、世代によって差も

採用動画を視聴した場所
採用動画を視聴した場所については、1位がYouTube(41.2%)、2位が採用サイト・ホームページ(40.3%)となった。

採用動画を積極的に求める層は、自らYouTubeにアクセスしている可能性がある。また、各種SNSは30%程度に留まっていることから、SNSのように情報が流れていく場所ではなく、採用サイトのような比較・検討に必要な情報が集中している場で採用動画を視聴する傾向にあるのではないかと考えられる。
採用動画の視聴場所の調査結果
一方、世代別に見ると、20代では「X(旧Twitter)」が34.5%まで伸び、30代では「採用サイト・ホームページ」が46.4%まで上昇。40代では「YouTube」が47.7%まで伸びるなど、世代によって視聴されている場所に差があることも伺える。

特に採用したいターゲットに合わせて、アプローチする場所を検討する必要がありそうだ。

動画だからこそ見たい内容は『1日の流れ』『職場の雰囲気』『入社理由』。企業が制作している動画とのギャップが鮮明に

視聴したいテーマ
“動画だからこそ見たい”内容と、”実際に見た”内容に関する回答を比較すると、特に「1日の流れ」(8.7pt)、「職場の雰囲気」(4.0pt)、「入社理由・決め手」(2.9pt)について、供給に対してニーズが上回っている状態であった。
視聴したいテーマの調査結果
これら3つの項目はいずれも、「どのような1日を過ごすのか」「どのような人たちと、どのような雰囲気で働くのか」といった自分が働くイメージを、求職者が具体的にするために必要な情報である。このことから、採用動画においては、形式的な会社説明よりも、等身大かつ具体的な情報への需要が高いことが伺える。

企業概要や事業内容は求人票やコーポレートサイトでも把握しやすい一方で、こうした「日常」「社員の人となり」「雰囲気」などは、動画だからこそ伝わりやすい領域である。

そのため、供給が追いついていないということは、「入社後ギャップを避けたい」「自分に合うかを見極めたい」というニーズに、十分には応えきれていない可能性がある。

年代別では、20代では「仕事紹介・やりがい」や「会社・事業紹介」などの仕事面の関心が高く、30代以降になると「職場の雰囲気」や「オフィスツアー」などの働く環境面の関心が高い傾向に

年代で違う結果
さらに「動画だからこそ見たい」と思うテーマを年代別に比較したところ、20代〜40代でニーズの傾向が大きく異なることが明らかになった。

特に、各年代が重視する情報には特徴的な濃淡があり、求職者ターゲットに応じた動画設計の必要性が一層浮き彫りとなった。

20代は「仕事紹介・やりがい」「1日の流れ」「会社・事業紹介」など、働くイメージの全体像をつかむための情報をバランスよく求める傾向があり、自身の希望と一致するかを重視して動画を視聴していることが伺える。

一方、30代以降では「職場の雰囲気」「1日の流れ」「オフィスツアー・現場ツアー」が高く、入社後の働く環境面を確認するミスマッチ防止の視点が強く見られた。

年代別に差はあるものの、20代〜40代で共通して高いニーズが見られたのは「1日の流れ」「職場の雰囲気」「入社理由」といった等身大の働く日常に関する情報であった。これらは求人票では得にくい、動画ならではの判断材料であり、応募・選考の意思決定に大きく影響していると考えられる。

この結果から、採用動画は「1本ですべての求職者をカバーする」ものではなく、年代やキャリア段階に合わせて複数の動画を用意することが効果的であることが示唆された。求職者が「自分に近い誰か」を見つけられるよう、働く日常・職場の空気感・社員の声など、リアルで具体的な情報を年代別に最適化して発信する重要性が高まっている。

視聴のピークは比較検討~応募段階。意思決定の鍵となる「リアルさ」 を見せることが重要

視聴タイミング
採用動画を視聴したタイミングについては、「比較検討段階(58.0%)」、「応募段階(49.3%)」が上位であった。

この結果から、企業や業界に関心をもったタイミングや、応募をするか否かを悩んでいる段階で活用されたことが分かる。そのため、他社との違いや自社らしさを踏まえて、「1日の流れ」などの具体的な判断材料を提示することが鍵となりそうだ。

また、採用動画は「認知獲得のためのツール」と捉えられがちだが、本調査では情報収集段階でも39.1%、面接段階でも33.6%、内定段階でも15.1%が視聴したという結果となった。

つまり、『採用動画は最初の認知だけでなく、比較検討から応募、さらには内定承諾に至るまで、就職活動・転職活動のプロセス全体を通して参考にされている』ことが分かる。

応募や内定承諾といった重要な局面ほど、「自分が働くイメージが持てるか」「他社と比べてどこが違うのか」という検討の一助となる具体的な情報が求められる。

採用動画は、こうした“最後の一押し”となる判断材料を提供できるツールであり、今後ますます重要性が高まっていくと考えられる。

動画の長さはショート動画が好まれる傾向に。しかしターゲットや企業の認知度に応じて動画の長さを使い分ける必要も

動画の長さ
採用動画の視聴しやすい長さについて、全体としては1分未満のショート動画が好まれる傾向にあるものの、企業の認知度や選考段階によって差が出る結果となった。

志望度が高い企業では「1分以上」が45.5%が最多、まったく知らない企業では「30秒以上1分未満(30.4%)」が優位となった。
動画の長さの調査結果
特に志望度による差が顕著だったのは、「情報収集段階」である。情報収集段階で「1分以上」の動画を視聴したいと回答した人は、まったく知らない企業に対しては29.6%だったが、志望度が高い企業については58.5%に上った。

以上のことより、認知度が低い段階では1分未満のショート動画で注意喚起し、志望度が高まる面接フェーズでは、1分以上の動画で理解・納得を促すといった、ターゲットと状況に応じた「動画尺の最適化」が成果向上の鍵となる。

「親近感」と「真面目さ」がプラスに。演出よりも中身が重要

志望度への影響
動画でよくみられる特徴が志望度にどのような影響を与えるかについて、特に志望度によい影響があると回答されたのは「親近感を感じる動画(38.3%)」次いで「真面目さを感じる動画(33.3%)」であった。

「親近感」と「真面目さ」は相反するものとも捉えがちだが、どちらか一方ではなく、カジュアルとフォーマルの両方が同時に叶えられるとよい要素であることが伺える。

一方で、コメディ色の強さやAIアバター・合成音声の利用などの特徴については、「志望度が下がる」という回答も一定数見られたものの、いずれも約半数が「どちらでもない」と回答した。このことから、多くの求職者にとっては、演出よりも動画の内容が自身の判断材料になるかが重要であると考えられる。

採用動画のトーン設計においては、まず「親近感」と「真面目さ」を土台とし、そのうえで自社のカルチャーに沿った演出を加えることで、広い層に受け入れられやすい可能性が高いと考えられる。

応募を見送った理由は、「自分に合わない」「信頼性に欠ける」「判断材料が足りない」が上位に。動画は“見極め”に使われている

応募を見送った理由
採用動画を視聴しても、応募に至らなかった・ためらった主な理由については、「自分向けでないと感じた(35.7%)」、「信用しきれない・盛っている印象(29.0%)」、「判断材料が足りない(28.1%)」が上位3位となった。一方、「応募に至らなかった・ためらったことはない」は2.9%に留まった。

これは、採用動画が見極めツールとして十分に活用されていることを示している。視聴者は「自分が働く像が描けるか」「信頼できる根拠があるか」などを確認しており、それらが曖昧だと応募を見送る可能性があると考えられる。

企業には、動画の役割を“魅力づけ”だけでなく、“見極めの後押し”まで含めて設計することが求められる。(1)内容を具体的にする、(2)根拠を明示する、(3)情報を最新にする、という3点を意識することで、採用候補者の判断に必要な情報や安心感を提供できる可能性が高まる。

就職活動・転職活動中、8割が採用動画を視聴。2~3本視聴が最多動画視聴有無・視聴本数

直近1年間で就職活動または転職活動を行った人のうち、何本の採用動画を視聴したかについて、2本(34.2%)、3本(25.5%)との回答が過半数を占めた。接触回数が限られるからこそ、1本ごとに明確な目的と役割を持たせることが重要だということを示唆している。

また、視聴者に興味を持って見てもらうためには、年齢やポジション、職種、志向性などを分けて複数本を組み合わせて、その中から求職者自身が動画を選択できるようにしておくことも必要である。

まとめ

本調査により、採用動画が就職・転職活動における重要な判断材料として広く活用されている実態が明らかになった。

就職・転職活動者の8割が採用動画を視聴する時代となり、特に「比較検討段階(58.0%)」と「応募段階(49.3%)」での視聴希望が高まっている。採用動画はもはや、企業の魅力を一方的に伝えるだけのものではなく、求職者が応募・内定承諾を判断するための"見極めツール"として機能している。

しかし、求職者が「動画だからこそ見たい」内容と、企業が実際に提供している内容にはズレが生じている。「1日の流れ」「職場の雰囲気」「入社理由」といった等身大で具体的な情報の供給はニーズを最大8.7ポイント下回る一方、「見たことがある」内容は「会社説明・事業紹介」が中心となっており、求職者が求める"リアル"が十分に提供できていない状況である。

加えて、1回の活動で視聴される動画は2〜3本という結果が明らかになった。この限られた接触機会のなかで、1本1本の動画に明確な役割を持たせる必要がある。「親近感」「真面目さ」を基調としたトーン設計が、求職者の意思決定を支援する鍵となる。

さらに、応募に至らなかった理由として「自分向けでないと感じたこと」が上位に挙がった。自分ごととしてイメージしながら視聴してもらうためには、職種やキャリアレイヤーの異なる社員などさまざまな役割の人物に出演してもらい、視聴者ごとに「自分に近い誰か」の姿を見つけられるように設計することも重要である。

求職者にとって採用動画は、企業の"良い面"だけでなく"自分との適合性"を判断するための重要な材料である。企業には、(1)内容を具体的にする、(2)根拠を明示する、(3)情報を最新に保つ、という3点を意識した動画制作が求められる。これらを継続していける運用体制を整えることで、採用動画を戦略的な採用ツールとして活用していくことが採用成功のヒントとなりそうだ。
調査概要
調査名称:採用動画のトレンド調査2025
調査主体:moovyによるインターネット調査(ジャストシステム社『Fastask』利用)
調査期間:2025年9月18日〜同年9月27日
有効回答:直近1年間で就職活動・転職活動の経験があり、採用動画を1つ以上見たことがある20代〜40代の345名
※年代詳細:20歳~29歳:145名/30歳~39歳:112名/40歳~49歳:88名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない。