6割の企業で「不足」と「過剰」が同時発生、人材ミスマッチの構造が顕在化【アビームコンサルティング調べ】
マスメディアン編集部 2025.11.17
アビームコンサルティングは、日本の企業内における人材ミスマッチの実態を明らかにするため、人事・経営企画部門に所属する管理職500名を対象に調査を実施した。
本調査により、約6割の企業で「人材不足」と「人材過剰」が同時に発生しているという、企業内の構造的な人材ミスマッチの実態が明らかになった。この背景には、事業変革のスピードに対して人材の配置や育成が追いついていないという現実がある。さらに、将来を見据えた能力開発や流動性を高める仕組みが不足していることも、ミスマッチを深刻化させる要因となっている。特に、働き盛り世代の能力が十分に活かされていない企業が半数にのぼるという結果は、人的資本の活用における大きな機会損失を示している。
こうした課題を打開するには、企業の将来の競争力を左右する「ケイパビリティ(組織として獲得すべき能力)」を起点に、人材の育成・配置を再設計する発想が不可欠と同社は分析した。
・約6割の企業が部署や職種によって人材が足りない一方で余っているという矛盾を抱える
・特に30代では約7割、40代でも半数以上の企業で需給のアンバランスが発生しており、働き盛り世代の活用に課題があることが浮き彫りに
(2) 【質のミスマッチ】8割の企業で「アンダースペック」または「オーバースペック」人材が発生
・約8割の企業で従業員が職務要件を満たしていないか、逆にオーバースペックで、人材を活かしきれていない状況が発生
・特に30代・40代では、オーバースペックが半数近くの企業で確認されており、適所適材の限界が見え始めている
(3) 【報酬のミスマッチ】8割の企業で「過大」または「過小」報酬が発生
・約8割の企業が従業員に対して報酬が実力や役割に見合っていないと回答
・特に40代・50代は報酬が成果を上回る傾向が、30代・40代では逆に報酬が成果を下回る傾向が見られる
本調査では、企業における人材ミスマッチの実態を「量(需給)」「質(能力・スキル)」「報酬(処遇)」の3つの視点から分析、これらのミスマッチが経営戦略や人的資本投資にどのような影響を及ぼしているかを明らかにした。従来の人材マネジメントの枠組みでは対応しきれない課題が浮き彫りになり、企業が新たな視点で人材の最適化に取り組む必要性とその方向性を示すことを目的としている。
企業の約9割が「人材不足」、約6割が「人材過剰」と回答しており、年齢別では30代・40代に不足が集中し、過剰は50代に加え40代でも広がっている。
本調査により、約6割の企業で「人材不足」と「人材過剰」が同時に発生しているという、企業内の構造的な人材ミスマッチの実態が明らかになった。この背景には、事業変革のスピードに対して人材の配置や育成が追いついていないという現実がある。さらに、将来を見据えた能力開発や流動性を高める仕組みが不足していることも、ミスマッチを深刻化させる要因となっている。特に、働き盛り世代の能力が十分に活かされていない企業が半数にのぼるという結果は、人的資本の活用における大きな機会損失を示している。
こうした課題を打開するには、企業の将来の競争力を左右する「ケイパビリティ(組織として獲得すべき能力)」を起点に、人材の育成・配置を再設計する発想が不可欠と同社は分析した。
■調査結果概要
(1) 【量のミスマッチ】6割の企業で「不足」と「過剰」が同時発生・約6割の企業が部署や職種によって人材が足りない一方で余っているという矛盾を抱える
・特に30代では約7割、40代でも半数以上の企業で需給のアンバランスが発生しており、働き盛り世代の活用に課題があることが浮き彫りに
(2) 【質のミスマッチ】8割の企業で「アンダースペック」または「オーバースペック」人材が発生
・約8割の企業で従業員が職務要件を満たしていないか、逆にオーバースペックで、人材を活かしきれていない状況が発生
・特に30代・40代では、オーバースペックが半数近くの企業で確認されており、適所適材の限界が見え始めている
(3) 【報酬のミスマッチ】8割の企業で「過大」または「過小」報酬が発生
・約8割の企業が従業員に対して報酬が実力や役割に見合っていないと回答
・特に40代・50代は報酬が成果を上回る傾向が、30代・40代では逆に報酬が成果を下回る傾向が見られる
■背景
日本企業では、人手不足が深刻な経営課題として注目される一方で、同一企業内に人材が余っている部門が存在するという矛盾が起きている。これは、組織構造や人事制度に起因する慢性的な人材の過不足=構造的なアンバランスが広がっていることを意味する。DXやAIの導入により業務プロセスが急速に変化する中、ジョブ型人事制度やスキルの可視化といった取り組みも進んでいるが、現場レベルでは適所適材の人材配置や能力活用が十分に機能しておらず、流動性の向上につながっていないケースが多く見られる。本調査では、企業における人材ミスマッチの実態を「量(需給)」「質(能力・スキル)」「報酬(処遇)」の3つの視点から分析、これらのミスマッチが経営戦略や人的資本投資にどのような影響を及ぼしているかを明らかにした。従来の人材マネジメントの枠組みでは対応しきれない課題が浮き彫りになり、企業が新たな視点で人材の最適化に取り組む必要性とその方向性を示すことを目的としている。
■調査結果詳細
(1) 【量のミスマッチ】6割の企業で人材不足と過剰が同時に発生。30代では7割、40代でも半数以上の企業で需給ミスマッチが発生企業の約9割が「人材不足」、約6割が「人材過剰」と回答しており、年齢別では30代・40代に不足が集中し、過剰は50代に加え40代でも広がっている。

61%の企業で「人材不足」と「人材過剰」が同時発生しており、いずれも発生していない企業はわずか5%にとどまるなど、構造的なミスマッチが広く浸透している実態が明らかになった。

人材不足と過剰が同時に発生しているのは40代が最多で、次いで30代となっており、30代では約7割、40代でも半数以上の企業で需給ミスマッチが生じていることから、働き盛り世代の人材が十分に活用されていない実態が可視化された。

(2) 【質のミスマッチ】8割の企業で職務要件に対してアンダースペックまたはオーバースペックが発生。特に30代・40代では能力が活かしきれていない状態が半数近くの企業で発生
企業の約9割で職務要件に満たないアンダースペック、約8割でオーバースペック人材が発生しており、特に30代・40代の働き盛り世代で能力が活かしきれず、社内の流動性の低さが浮き彫りになった。
企業の約9割で職務要件に満たないアンダースペック、約8割でオーバースペック人材が発生しており、特に30代・40代の働き盛り世代で能力が活かしきれず、社内の流動性の低さが浮き彫りになった。

(3) 【報酬のミスマッチ】8割の企業で、従業員の能力や役割に対し報酬が過大または過小となる報酬ミスマッチが発生
企業の約8割で、成果と報酬が一致しない報酬ミスマッチが発生しており、特に40代・50代は報酬が成果を上回る傾向が、30代・40代では逆に報酬が成果を下回る傾向が見られ、ジョブ型制度の導入が進む中でも年功的な運用が残ることで、人材の滞留や配置の硬直化を招いている実態が明らかになった。
企業の約8割で、成果と報酬が一致しない報酬ミスマッチが発生しており、特に40代・50代は報酬が成果を上回る傾向が、30代・40代では逆に報酬が成果を下回る傾向が見られ、ジョブ型制度の導入が進む中でも年功的な運用が残ることで、人材の滞留や配置の硬直化を招いている実態が明らかになった。

■調査概要
・調査名: 企業内の人材ミスマッチ実態調査・調査期間: 2025年7月23日~7月25日
・調査方法: インターネット調査
・調査対象者: 国内企業の人事・経営企画部門に所属し、組織としての意思決定権を有する管理職
・回答者数: 500名
