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課題はキャリア形成と職場の一体感。小規模組織のストレスチェック結果から分析【ドクタートラスト調べ】

マスメディアン編集部 2025.09.12

  • 人事
ドクタートラストのストレスチェック研究所は、2024年度における約56万人のストレスチェック結果を組織規模別に分析した。受検率が最も高いのは従業員数50人未満の組織である一方、高ストレス者率も最も高いことが判明した。小規模組織の特徴として「身体的負担」「仕事のコントロール」「職場環境」に関する良好傾向が挙げられる一方、「キャリア形成」「職場の一体感」「安定報酬」などに課題が見られた。
ドクタートラストは、2024年度にストレスチェックを受検したおよそ56万人(1777組織)における集団分析データをもとに組織規模別の受検率やストレス状況を分析するとともに、2028年からストレスチェックの実施が義務付けられる見込みの「50人未満の組織」に着目した回答傾向の分析を行った。

調査結果のポイント
1. 受検率が最も高いのは従業員数50人未満の組織、300人以上の組織は全国平均を下回る
2. 高ストレス者率が最も高いのは従業員数50人未満の組織、最も低いのは1000人以上の組織
3. 従業員数50人未満の組織で他の組織規模よりも不良だった設問
(1) 意欲を引き出したり、キャリアに役立つ教育が行われている
(2) 私たちの職場では、お互いに理解し認め合っている
(3) 職を失う恐れがある
4. 従業員数50人未満の組織で他の組織規模よりも良好だった設問
(1) からだを大変よく使う仕事だ
(2) 自分で仕事の順番・やり方を決めることができる
(3) 私の職場の作業環境(騒音、照明、温度、換気など)はよくない

はじめに
ストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルス不調の予防を目的として、2015年以降従業員数50人以上の事業場で年1回の実施が義務づけられている。また、現在は「努力義務」である50人未満の事業場でも2028年の春には実施が義務づけられる見込みである。

規模別の受検率、ストレス状況
1. 受検率が最も高いのは従業員数50人未満の組織、300人以上の組織は全国平均を下回る
今回の組織規模別分析では、ドクタートラストでストレスチェックを実施した法人について次の4つに分類している。
(1) 従業員数1,000人以上
(2) 300~999人
(3) 50~299人
(4) 50人未満

図1は規模別の受検率を示している。2024年度にドクタートラストでストレスチェックを受検した組織の受検率の平均は88.7%(対象者626794人のうち555956人が受検)だった。
図1
受検率が最も高かったのは従業員数50人未満の組織で、受検対象者のうち92.8%がストレスチェックを受検していた。現段階での従業員数50人未満の組織でのストレスチェックの実施は努力義務である。そうしたなかで受検率を高く保っているのは、企業も従業員側もストレスチェック、およびストレスチェックの活用に前向きであるからではないかと考えられる。

2. 高ストレス者率が最も高いのは従業員数50人未満の組織、最も低いのは1,000人以上の組織
高ストレス者率とは、実際に受検をした人のなかで、高ストレス者と判定された人がどれくらいいるかを示した割合である。

<高ストレス者とは>
・ストレスの自覚症状が強い人
・ストレスの自覚症状が一定程度あり、かつ仕事の負担と周囲のサポート状況が著しく悪いと判定された人
図2
図2は高ストレス者率を組織規模別に示している。従業員数50人未満の組織の高ストレス者率は15.7%で、1000人以上の12.4%にくらべて3.3ポイント高いことが判明した。また、従業員数50人未満と50~299人、300~999人の規模での高ストレス者率に大きな差は見られなかった。

しかし10人規模の15%は約1~2人であり、1人の不調で業務が止まったり、全体の士気が落ちたりするなど組織全体に与える影響は大きいだろう。さらに厚生労働省が公表した「労働災害動向調査」(※)によると組織規模が小さくなるほど労働災害の発生頻度、損失日数が多い傾向にあることがわかっている。

一方で、小規模の組織では従業員同士の距離が近く、日々のコミュニケーションの中でちょっとしたストレスの予兆に気づきやすいなどの利点がある。そのため従業員の体調や勤務状況など日々の変化への気づきを見逃さないことが大切だろう。

※厚生労働省「令和6年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況」

「50人未満の組織」に着目した回答傾向の分析
図3~8は、従業員数50人未満の組織が他の規模にくらべて不良だった設問と良好だった設問を示している。

1. 50人未満の組織は「キャリア形成」、「職場の一体感」、「安定報酬」が不良傾向
図3~5は従業員数50人未満の組織が他の規模にくらべて不良だった設問である。
図3
図4
図5
図3~5のとおり、従業員数50人未満の組織は他の規模にくらべて、「キャリア形成」、「職場の一体感」、「安定報酬」に関する項目において不良傾向にあることが明らかになった。また、従業員数50人未満と1,000人以上の組織において「意欲を引き出したり、キャリアに役立つ教育が行われている」の設問では12.7ポイントの差がみられた。

2. 50人未満の組織は「身体的負担」、「仕事のコントロール」、「職場環境」が良好傾向
図6~8は従業員数50人未満の組織が他の規模にくらべて良好だった設問である。
図6
図7
図8
図6~8のとおり、従業員数50人未満の組織は他の規模にくらべて、「身体的負担」、「仕事のコントロール」、「職場環境」など身体的な業務負荷や仕事の質、作業環境に関する項目において良好傾向が見られた。

調査対象
調査対象:ドクタートラスト・ストレスチェック実施サービス 2019年度~2024年度受検者
対象受検者数:
2024年度 555956人(1777の企業・団体)
2023年度 479612人(1390の企業・団体)
2022年度 410352人(1162の企業・団体)
2021年度 324642人(940の企業・団体)
2020年度 240275人(685の企業・団体)
2019年度 199290人(575の企業・団体)