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経営者・人事1060人を調査、理想の勤務形態はハイブリッド型が圧倒的多数【HR研究所調べ】

マスメディアン編集部 2025.06.13

  • 人事
  • 働き方改革
HR研究所は、在宅勤務と出社勤務の両立が可能な業界に属する企業の経営者・人事担当者を対象に、働き方に関する制度運用の意図や文化の違いによる考え方の根本を調査した。すべての働き方で8割超が自社の制度運用は適当であると回答し、中でもフルリモート運用は9割を超え、高い適合意識が見られた。
HR研究所は、在宅勤務と出社勤務の両立が可能な業界に属する企業の経営者・人事担当者を対象に、働き方に関する制度運用の意図や文化の違いによる考え方の根本を調査した。

コロナパンデミックにより、2020年から急速に進んだリモートワークだが、ここ最近は出社回帰の会社も散見されるようになった。従業員の業務パフォーマンス向上は企業の業績拡大と密接に関係しており、企業の経営者および人事担当者は働き方における制度運用をどのように捉えているか。自社の勤務形態の適合度・改善点・理想を経営者・人事に聞いた。

調査結果のサマリーと詳細はそれぞれ以下の通り。

調査結果のサマリー

・すべての働き方で8割超が自社の制度運用は適当であると回答、中でもフルリモート運用は9割を超え、高い適合意識が見られる
・フルリモート制度の運用は、「コスト面」と「採用面」における利点が上位
・完全出社の制度運用では、従業員視点でのメリットが上位を占める
・ハイブリッド型運用は、リモート勤務によって得られるメリットを依拠する結果に
・フルリモート運用の改善点トップは「成長実感」と「業務支障の可能性」
・完全出社の制度運用における改善点トップは「コスト面」
・ハイブリッド型運用の改善点トップはリモート時の「業務支障の可能性」
・完全出社運用企業の経営者/人事は理想の制度とギャップがあり、ハイブリッド型運用を支持
・経営者/人事が働き方の制度運用について思うこと

調査結果の詳細

■すべての働き方で8割超が自社の制度運用は適当であると回答、中でもフルリモート運用は9割を超え、高い適合意識が見られる
まず、勤務形態について、現在の制度は自社にとって適当であるかを聞いた。フルリモート運用企業は「最適である(50.1%)」が最多で、次いで「ある程度適している(42.0%)」「適していない(5.6%)」「まったく適していない(2.3%)」という結果になった。

完全出社運用企業のトップは「ある程度適している(62.2%)」で全体通して唯一の6割台となり、「最適である(18.2%)」「適していない(15.1%)」「まったく適していない(4.6%)」となった。

ハイブリッド型運用企業は「ある程度適している(55.0%)」が最も多く、次いで「最適である(32.9%)」「適していない(7.4%)」「まったく適していない(4.8%)」と続いた。

「最適である」と「ある程度適している」を足した制度適合の意識を見ると、フルリモート運用が92.1%、完全出社運用が80.4%、ハイブリッド型運用が87.9%であり、総じて働き方に関する自社の制度は適していると考える経営者・人事が多いことがわかった。当然、培ってきた企業文化や事業特性を鑑みて、自信を持って運用していることがうかがえる。

中でも、フルリモート運用企業の制度については、制度運用の適合意識は9割を超え、さらに「最適である」の回答が半数に至るなど、経営者・人事の納得のいく運用になっているようである。
勤務形態について現在の制度は自社にとって適当であるかを調査した図表
さて、ここからは3つの制度運用それぞれにフォーカスし、《適していると思う理由》と《適していない場合の改善点》を調査した。

■フルリモート制度の運用は、「コスト面」と「採用面」における利点が上位
フルリモート運用企業で、自社の制度運用を「最適である」「ある程度適している」と回答した経営者・人事を対象に、制度が適当であると思う理由を聞いた。

最も多い回答は「オフィスの縮小や通勤コストの削減ができる(45.6%)」であり、次いで「通勤時間が削減できる(35.8%)」「採用面で有利に作用する(34.3%)」「業務パフォーマンスが向上する(25.4%)」と続いた。

リモートワークが急速に浸透したのは、コロナの感染対策が背景にあるのは周知の事実だが、現在はその他の病気も含めて「感染リスクを軽減できる(11.9%)」点はフルリモート導入理由の上位には挙げられていない。制度運用における重要指標が大きく転換されたことが、数値で明確に示された。

現在のフルリモート制度からは、コスト面と採用面での利点を享受していることがわかった。また、従業員の働き方に対する満足度向上にも大いに寄与していることがうかがえる。
フルリモートの勤務形態が自社に適当であると思う理由を示す図表

■完全出社の制度運用では、従業員視点でのメリットが上位を占める
完全出社運用企業で、自社の制度運用を「最適である」「ある程度適している」と回答した経営者・人事を対象に、制度が適当であると思う理由を聞いた。

最多の回答は「業務パフォーマンスが向上する(40.3%)」で他を大きく凌ぐ回答結果になった。次いで、2割台で「エンゲージメントが高まる(29.0%)」「顧客対応や現場対応など出社が必要な業務が多い(27.6%)」「企業文化が浸透しやすく、一体感が生まれる(24.4%)」「直接的・物理的なサポートができ、管理職はマネジメントがしやすい(21.9%)」と続く。

フルリモート運用の導入理由では、従業員の業務に関する項目は上位に名を連ねていませんでしたが、完全出社運用の導入理由は業務パフォーマンスやエンゲージメントの向上といった従業員視点でのメリットが上位を占める結果となった。
完全出社の勤務形態が自社に適当であると思う理由を示す図表

■ハイブリッド型運用は、リモート勤務によって得られるメリットを依拠する結果に
ハイブリッド型運用企業で、自社の制度運用を「最適である」「ある程度適している」と回答した経営者・人事を対象に、制度が適当であると思う理由を聞いた。

「通勤時間が軽減できる(45.5%)」と「オフィスの縮小や通勤コストの軽減ができる(42.9%)」の2項目が4割超となり、他項目を圧倒して上位となった。次いで「採用面で有利に作用する(28.7%)」「柔軟な働き方を促進できる(25.8%)」「ITインフラ/セキュリティ面での安全性が確保される(22.6%)」と続く。

ハイブリッド型運用の上位3項目と、フルリモート運用の上位3項目は、同じになった。リモートと出社を組み合わせるハイブリッド型運用では、リモート勤務によって享受できるメリットが強調される結果となった。
ハイブリッド型の勤務形態が自社に適当であると思う理由を示す図表

■フルリモート運用の改善点トップは「成長実感」と「業務支障の可能性」
フルリモート運用企業で、自社の制度運用を「適していない」「まったく適していない」と回答した経営者・人事を対象に、制度の改善したい点を聞いた。

フルリモート制度運用の適合意識は9割と高いため、適していないと感じる経営者・人事の方限定の質問につき、少数かつ同数の回答が並ぶ結果となっている。

改善点のトップは「周囲からの刺激が減り、個人の成長実感が乏しくなる(21.4%)」と「緊急対応・現地対応が必要な業務に遅れが生じる(21.4%)」が並び、次いで「仕事とプライベートの境界が曖昧になる(17.9%)」と「アイデア共有や意見交換が減少する(17.9%)」が同数で並ぶ結果となった。
フルリモートの勤務体系で改善したい点を示す図表

■完全出社の制度運用における改善点トップは「コスト面」
完全出社運用企業で、自社の制度運用を「適していない」「まったく適していない」と回答した経営者・人事を対象に、制度の改善したい点を聞いた。

「オフィス代、通勤の諸費用(※)がかかる(27.5%)」が最多となり、次いで「ワークライフバランスが低下する(26.1%)」「通勤による時間的拘束や疲労感がある(20.3%)」「電子化・IT化が進まない(18.8%)」「集中できる環境(パーソナルスペース)を提供しにくい(18.8%)」と続く結果になった。
※通勤の諸費用:電車代・駐輪代・ガソリン代など
完全出社の勤務体系で改善したい点を示す図表

■ハイブリッド型運用の改善点トップはリモート時の「業務支障の可能性」
ハイブリッド型運用企業で、自社の制度運用を「適していない」「まったく適していない」と回答した経営者・人事を対象に、制度の改善したい点を聞いた。

最多の回答は「リモート時は緊急対応・現地対応が必要な業務に遅れが生じる(32.6%)」で唯一の3割台、次いで「出社時とリモート時の業務バランスがとりづらい(27.9%)」「定性的な評価の基準が曖昧になる(23.3%)」「コミュニケーションや人間関係が中途半端になる(18.6%)」と続く。

3つの制度運用それぞれにフォーカスした質問は以上である。続いて、全対象者に聞いた「理想の制度運用」に関する調査データを紹介する。
ハイブリッド型の勤務体系で改善したい点を示す図表

■完全出社運用企業の経営者・人事は理想の制度とギャップがあり、ハイブリッド型運用を支持
今後、理想とする勤務形態は何かを質問したところ、「フルリモート」「完全出社」「ハイブリッド *リモート比率:高」「ハイブリッド *出社比率:高」の4分類で下記の結果となった。

フルリモート運用企業は「フルリモート(45.4%)」が最多で、「ハイブリッド *リモート比率:高(27.9%)」「完全出社(17.5%)」「ハイブリッド *出社比率:高(9.3%)」と続いた。

完全出社運用企業は「ハイブリッド *リモート比率:高(40.1%)」が最も多く、次いで「完全出社(36.1%)」が僅差で続く。以降は「ハイブリッド *出社比率:高(17.1%)」「フルリモート(6.8%)」という結果になった。

ハイブリッド型運用企業は「ハイブリッド *リモート比率:高(54.7%)」が最多、全体で唯一の過半数超えとなった。次いで「ハイブリッド *出社比率:高(21.3%)」「完全出社(12.8%)」「フルリモート(11.3%)」と続く。

フルリモート運用とハイブリッド型運用の2つは、現在の制度運用と理想の制度運用のトップが一致する結果になった。特にハイブリッド型運用は経営者・人事の制度における適合意識が高いことを再確認できるほど、現在と理想が一致している。

一方、完全出社運用は、現在の制度運用と理想の制度運用トップは一致せず、ハイブリッド型運用が理想の半数を超える結果となった。
今後理想とする勤務形態を示す図表

■経営者・人事が働き方の制度運用について思うこと
最後に、勤務形態における「意見」「持論」「発信したいこと」の自由記載を、「経営者・人事が働き方の制度運用について思うこと」として一部抜粋して紹介する。

経営者・人事の生の声であるため、同じ経営者・人事の方は共感や気づき、そして疑問、従業員が見れば共感や納得、中には反論もあるかもしれない。しかし同社は、「ビジネスパーソンが、経営者・人事といった制度運用する立場の人の考え方や思いを知る機会提供」として、それぞれの考え方や持論を以下に記載する。

【フルリモート運用企業の声】
・通勤時間がもったいない
・家にいて仕事した方が捗る
・急な差し込み業務も自分のペースで仕事ができる
・どんな場所からでも、いつでも働ける環境をつくることで、柔軟な人材が集まりやすい
・時短・業務の効率化につながる

【完全出社運用企業の声】
・個人情報の関係でリモート勤務は難しい
・業務性質上、出社で勤務しないと仕事にならない
・リモートは制度としては楽だが、業務パフォーマンスの向上は期待できない

【ハイブリッド型運用企業の声】
・従業員のライフスタイルに合わせた勤務形態がとれることが理想だと思う
・リモートが合わない業務があるので不公平感が出る
・出社した方がスムーズな仕事があり、在宅でできる集中業務もあり、両方ができる制度にしたい
・従業員の個人の時間を増やしてあげたい
・リモート勤務日を週1日だけでも取り入れることで、従業員の仕事に対する意欲が高まっていると感じている
・会社ごとに出社とリモートのベスト比率があり、難しい問題と感じる
今回の調査結果から、フルリモート運用、完全出社運用、ハイブリッド型運用の各制度において、それぞれの特性や利点、改善点が明確になった。全体としては、いずれの制度においても8割以上の経営者・人事が「自社に適している」と評価しており、企業文化や事業特性に基づいた制度運用への意識が伺える結果となった。

フルリモート運用では、制度に関する経営者・人事の高い適合意識が見られ、コスト削減や採用競争力の向上といった具体的な利点が支持されている一方で、成長実感の乏しさや業務支障の危惧といった課題も浮き彫りになった。一方、完全出社運用では業務パフォーマンスやエンゲージメント向上といった従業員視点のメリットが評価される一方で、コスト面やワークライフバランスの低下が課題として挙げられている。

ハイブリッド型運用はリモート勤務のメリットを多く享受しながら柔軟性のある働き方を実現しており、理想に近い制度運用であることが明らかになった。

調査概要
「在宅勤務」と「出社勤務」の働き方の制度運用に関する意識調査
調査期間:2025年4月11日~17日
調査方法:リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「PRIZMA」によるインターネット調査
調査人数(有効回答数):1060人(フルリモート運用企業所属:355人、完全出社運用企業所属:352人、ハイブリッド型運用企業所属:353人)
調査対象:在宅勤務と出社勤務の両立が可能な業界に属する企業の経営者/人事
対象業界:IT・情報通信、不動産、金融・保険、マスコミ・広告、コンサルティング、クリエイティブ・デザイン、開発、EC事業、その他
調査元:プロフェッショナルバンク