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人的資本調査2024 体制整備や取り組みは進むも、データ活用による戦略策定や開示に課題【HRテクノロジーコンソーシアム調べ】

マスメディアン編集部 2025.03.28

  • 人的資本
  • HRTech
HRテクノロジーコンソーシアムらは、人的資本経営と開示に関する企業・団体などの取り組み状況を大規模調査する「人的資本調査2024」を昨年8月から12月にかけて実施した。特に取り組みが進んでいるのは「職場環境への投資」、次いで「経営戦略と人材戦略の連動」「企業文化への定着のための取組」などで、一方、課題が見られた項目としては「As is - To beギャップを踏まえた計画の作成」「HRデータの収集と蓄積」などが挙がった。
HRテクノロジーコンソーシアムは、MS&ADインターリスク総研およびHR総研、人的資本と企業価値向上研究会と共同で、人的資本経営と開示に関する企業・団体などの取り組み状況を大規模調査する「人的資本調査2024」を昨年8月から12月にかけて実施した。

本調査は第3回目の実施である。今回調査への申込総数は380社を超え、206社から調査票の提出があった。 調査結果の要旨は以下の通り。

調査結果の要旨

本調査では「人的資本経営の推進」「人材戦略に基づく人的資本投資の実行」「データドリブンなPDCAサイクル」「戦略的開示と対話」の4つの大項目に分類し、各々の下に中項目・小項目を配し1〜4点(4点満点)でスコアリングし定量的に分析した。中項目ごとの平均スコアは下図の通りである。
図表:「人的資本調査2024」中項目毎の平均スコア
図表:「人的資本調査2024」中項目毎の平均スコア
特に取り組みが進んでいるのは「職場環境への投資」、次いで「経営戦略と人材戦略の連動」「企業文化への定着のための取組」「必要な人材の維持・獲得」「多様な人材が活躍できる仕組み」であり、人的資本経営の体制整備や各種取り組みが進んでいることが明らかとなった。

一方、課題が見られた項目としては「As is – To beギャップを踏まえた計画の作成」「HRデータの収集と蓄積」「主要指標のシステム上での統合的可視化」「独自性のある開示戦略の立案」が挙げられる。

これらの結果から、HRシステム整備が進まないことが定期的かつ定量的なKPIモニタリングによるAs is – To beギャップの把握を困難にし、結果として独自性のある開示戦略の立案を妨げていると推察される。

以下、関連する設問を分析し、取り組みが進んでいない内容について詳述する。

●「人的資本の取組と財務指標の関連データ分析」が進んでいない企業は約8割に上る
「人的資本の取組と財務指標の関連については検討できていない、あるいは検討を始めた段階である」という最も低い取り組み水準の回答割合が6割弱と、多くの企業が検討自体もできていない状況だった。また、「人的資本の取組と財務指標の関連について検討し、概ね整理ができているが、データを用いた分析は行っていない」とする企業の割合は20%強あり、これらを合計した「データを用いた分析ができていない」の割合は8割に上ることがわかった。
人的資本の取組と財務指標の関連データ分析を示す図表
●「人材ポートフォリオの充足に向けた目標設定や達成までの具体的計画」が進んでいない企業は半数以上
「人材の現状分析や必要とする人材ポートフォリオの明確化ができていない」という最も低い取り組み水準にある企業の割合が3割近くを占めた。また、「人材の現状分析はしたが、必要な人材ポートフォリオを実現するための目標設定や具体的計画は立てられていない」とする企業が25%強あり、これらを合計した「人材ポートフォリオの実現に向けた目標と具体的計画を設定できていない」とする企業が半数以上に上ることが明らかとなった。
人材ポートフォリオの充足に向けた目標設定や達成までの具体的計画の進行を示す図表
●「人的資本経営や開示で必要なKPIの可視化」を高頻度で実施している企業は25%弱に留まる
必要なKPIデータの可視化頻度について、「1年に1回程度」と回答した企業が3割程度、「2~6カ月に1回程度」と回答した企業が45%だった。リアルタイムまたは毎月という高頻度で可視化できている企業は25%弱であり、HRデータを収集するためのシステム整備の遅れが目立つ結果となった。
人的資本経営や開示で必要なKPIの可視化の取り組み状況を示す図表

調査概要
アンケート名称:人的資本調査2024
調査期間:2024年8月27日~12月13日
有効回答数:206件(うち上場企業が83%)