企業価値向上に向けてCFOを配置する企業は約4割、人的資本戦略を重視する企業は約6割 【タナベコンサルティング調べ】
マスメディアン編集部 2024.08.30
- 組織開発
タナベコンサルティングは、全国の企業経営者、役員、経営幹部、経営企画部責任者・担当者などを対象に実施した「2024年度 企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート」の結果を発表した。
調査結果の詳細
■半数以上が中期的(3年~5年)経営戦略・経営計画を策定
52.7%が「中期的(3年~5年)な経営戦略や経営計画を策定し、社外に公表している」と回答した。中期的な経営戦略および計画策定は経営の不確実性を下げるとともに、透明性の向上に繋がり、企業価値向上に寄与すると考えられる。
また、33.9%の企業は「策定しているが社外には公開していない」と回答しているが、策定は内部での戦略実行に効果的であるものの、外部への情報発信も重要だと考えられる。「策定していない」「今後も策定する予定はない」と回答した企業は合計で13.5%に。持続的成長のために戦略立案が急務だと、同社は見ている。
52.7%が「中期的(3年~5年)な経営戦略や経営計画を策定し、社外に公表している」と回答した。中期的な経営戦略および計画策定は経営の不確実性を下げるとともに、透明性の向上に繋がり、企業価値向上に寄与すると考えられる。
また、33.9%の企業は「策定しているが社外には公開していない」と回答しているが、策定は内部での戦略実行に効果的であるものの、外部への情報発信も重要だと考えられる。「策定していない」「今後も策定する予定はない」と回答した企業は合計で13.5%に。持続的成長のために戦略立案が急務だと、同社は見ている。

■中期経営戦略を策定・公表する企業の半数以上は「長期的な経営戦略」も策定・公表
「中期的な経営戦略を策定し、社外に公表している」企業のうち、54.1%が「長期的な経営戦略も策定し、社外に公表している」と回答した。一方で、「中期的な経営戦略を策定しているが社外には公開していない」企業では、長期計画を策定・公表している企業は1.6%に留まった。
中期的な経営戦略を公表している企業ほど、長期的な計画を公表している割合が多く、ステークホルダーとの情報の非対称性の解消を目指した透明性を高める努力を行っていることが窺える。
「中期的な経営戦略を策定し、社外に公表している」企業のうち、54.1%が「長期的な経営戦略も策定し、社外に公表している」と回答した。一方で、「中期的な経営戦略を策定しているが社外には公開していない」企業では、長期計画を策定・公表している企業は1.6%に留まった。
中期的な経営戦略を公表している企業ほど、長期的な計画を公表している割合が多く、ステークホルダーとの情報の非対称性の解消を目指した透明性を高める努力を行っていることが窺える。

■約4割の企業がCFOを配置している一方で、約4割は「当面採用する予定はない」と回答
財務戦略を主管するCFOが社内に存在する企業は、全体の40.3%であることがわかった。一方で、11.3%の企業はCFOがいるものの十分に機能していないと回答した。また、38.7%の企業は「いない/CFOを当面採用(育成)する予定はない」と回答した。
財務戦略を主管するCFOが社内に存在する企業は、全体の40.3%であることがわかった。一方で、11.3%の企業はCFOがいるものの十分に機能していないと回答した。また、38.7%の企業は「いない/CFOを当面採用(育成)する予定はない」と回答した。

■企業価値向上には、CFOの存在とその適切な機能が不可欠
CFOが存在し機能している企業は、CFOが存在しない企業と比べて「投資回収期間法」(42.7%)や「投下資本利益率(ROIC)」(32.0%)、「内部収益率(IRR)」(24.0%)を重視しているという結果になった。このことから、CFOが存在する企業では、資本効率や収益性を重視した投資判断が行われており、財務戦略の整備が進んでいることがわかる。
一方で、CFOが存在しない企業は「投資判断基準が存在しない」(32.2%)という回答が多く、統一された投資判断基準が欠如していることで、投資判断の一貫性や精度に課題があると考えられる。したがって、企業価値向上にはCFOの存在とその適切な機能が不可欠であると同社は見ている。
CFOが存在し機能している企業は、CFOが存在しない企業と比べて「投資回収期間法」(42.7%)や「投下資本利益率(ROIC)」(32.0%)、「内部収益率(IRR)」(24.0%)を重視しているという結果になった。このことから、CFOが存在する企業では、資本効率や収益性を重視した投資判断が行われており、財務戦略の整備が進んでいることがわかる。
一方で、CFOが存在しない企業は「投資判断基準が存在しない」(32.2%)という回答が多く、統一された投資判断基準が欠如していることで、投資判断の一貫性や精度に課題があると考えられる。したがって、企業価値向上にはCFOの存在とその適切な機能が不可欠であると同社は見ている。

■企業価値向上に向けての経営戦略として、6割以上が「人的資本の充実」を重視
「企業価値向上に向けての経営戦略」として、「人的資本戦略の充実」(60.8%)が最も重視されていることがわかった。これは、優れた人材の確保と育成が企業価値向上に直結すると考えられているためであると推察できる。次に多かったのは「事業ポートフォリオの見直し」(47.8%)であり、これは経営資源の最適配置と成長分野への集中が求められていることを示している。
「価値創造ストーリーの策定」(46.8%)も重要視されており、企業のビジョンや使命を明確にすることで、ステークホルダーとの信頼関係を強化する狙いがあるといえる。また、23.1%の企業が「M&A戦略」を重要と考えており、これも成長戦略の一環として注目されている。これらの結果より、人的資本の充実と戦略的な資源配分が企業価値向上において重要な要素であることが示唆されている。
「企業価値向上に向けての経営戦略」として、「人的資本戦略の充実」(60.8%)が最も重視されていることがわかった。これは、優れた人材の確保と育成が企業価値向上に直結すると考えられているためであると推察できる。次に多かったのは「事業ポートフォリオの見直し」(47.8%)であり、これは経営資源の最適配置と成長分野への集中が求められていることを示している。
「価値創造ストーリーの策定」(46.8%)も重要視されており、企業のビジョンや使命を明確にすることで、ステークホルダーとの信頼関係を強化する狙いがあるといえる。また、23.1%の企業が「M&A戦略」を重要と考えており、これも成長戦略の一環として注目されている。これらの結果より、人的資本の充実と戦略的な資源配分が企業価値向上において重要な要素であることが示唆されている。

■売上高が大きい企業ほど「人的資本」と「気候変動対策」に注力
売上高1000億円以上の企業は「人的資本(ダイバーシティー含む)」(27.8%)や「気候変動(TCFD、カーボンニュートラル)」(22.2%)を重視していることがわかった。これらの企業は、多様性と持続可能な環境対策に注力し、高い企業価値を維持していることが示唆される。
一方、売上高が50億円未満の企業では、「人的資本」(22.8%)や「従業員の健康と安全」(22.8%)を重視している。これらの企業は、人材の多様性と働き方の見直しに力を入れているものの、気候変動対策への取り組みは相対的に低い。売上高が500億円~1000億円未満の企業も、「人的資本」(27.9%)や「気候変動」(21.3%)を重視しており、大企業と同様の傾向が見られる。以上より、売上高が大きい企業ほど、人的資本と気候変動対策に注力していることが窺える。
売上高1000億円以上の企業は「人的資本(ダイバーシティー含む)」(27.8%)や「気候変動(TCFD、カーボンニュートラル)」(22.2%)を重視していることがわかった。これらの企業は、多様性と持続可能な環境対策に注力し、高い企業価値を維持していることが示唆される。
一方、売上高が50億円未満の企業では、「人的資本」(22.8%)や「従業員の健康と安全」(22.8%)を重視している。これらの企業は、人材の多様性と働き方の見直しに力を入れているものの、気候変動対策への取り組みは相対的に低い。売上高が500億円~1000億円未満の企業も、「人的資本」(27.9%)や「気候変動」(21.3%)を重視しており、大企業と同様の傾向が見られる。以上より、売上高が大きい企業ほど、人的資本と気候変動対策に注力していることが窺える。

■約7割が「働き方改革」、約6割が「社員エンゲージメント調査」に取り組んでいる
人的資本に関する取り組みの設問では、「働き方改革(テレワークなど)」(68.3%)が最多であり、次いで「社員エンゲージメント調査」(57.5%)が続いた。これにより、柔軟な働き方と従業員の意識向上が重視されていることがわかる。一方で、「人的資本KPIの設定とマネジメント」(23.7%)や「人材ポートフォリオ計画の策定と運用」(9.7%)といった具体的な数値目標や計画の設定は、比較的少ない回答数になった。
総じて、企業は柔軟な働き方と従業員の意識向上に注力しているものの、数値目標や具体的な計画の設定にはさらなる取り組みが求められると考えられる。
人的資本に関する取り組みの設問では、「働き方改革(テレワークなど)」(68.3%)が最多であり、次いで「社員エンゲージメント調査」(57.5%)が続いた。これにより、柔軟な働き方と従業員の意識向上が重視されていることがわかる。一方で、「人的資本KPIの設定とマネジメント」(23.7%)や「人材ポートフォリオ計画の策定と運用」(9.7%)といった具体的な数値目標や計画の設定は、比較的少ない回答数になった。
総じて、企業は柔軟な働き方と従業員の意識向上に注力しているものの、数値目標や具体的な計画の設定にはさらなる取り組みが求められると考えられる。

総括
近年の上場企業における企業価値向上の取り組みは多岐にわたる。これは、従来の財務価値の向上に加えて、ESGの観点、つまり環境負荷の低減、社会貢献活動、ガバナンスの強化など、ステークホルダーから求められることが多様化しているためだと考えれる。このような背景から、持続可能な経営を推進する企業が増加しているといえる。
企業価値向上に向けた取り組みは、企業の持続可能な成長と競争力の強化に不可欠である。まず、財務戦略においては、CFOの存在が企業価値向上に大きく寄与していることが示されている。特に、株価純資産倍率(PBR)が高い企業ほどCFOの役割が明確であり、戦略的な財務管理が行われている。逆に、CFOが存在しない、または十分に機能していない企業は、財務戦略の欠如が企業価値の向上を妨げている可能性がある。
ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みも重要な要素である。企業は、人的資本(ダイバーシティーを含む)や気候変動、コーポレート・ガバナンスなど、幅広いESGテーマに取り組んでいる。特に、PBRの高い企業はこれらの取り組みを積極的に行っており、ESG情報も多様な媒体を通じて開示されている。これによって企業の透明性と信頼性を高め、投資家やステークホルダーとの関係強化につなげることができると同社は見ている。
調査概要
調査対象:全国の企業経営者、役員、経営幹部、経営企画部責任者・担当者など
調査期間:2024年5月13日~31日
調査エリア:全国
有効回答数:計186件
各図表の構成比(%)は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合がある。
企業価値向上に向けた取り組みは、企業の持続可能な成長と競争力の強化に不可欠である。まず、財務戦略においては、CFOの存在が企業価値向上に大きく寄与していることが示されている。特に、株価純資産倍率(PBR)が高い企業ほどCFOの役割が明確であり、戦略的な財務管理が行われている。逆に、CFOが存在しない、または十分に機能していない企業は、財務戦略の欠如が企業価値の向上を妨げている可能性がある。
ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みも重要な要素である。企業は、人的資本(ダイバーシティーを含む)や気候変動、コーポレート・ガバナンスなど、幅広いESGテーマに取り組んでいる。特に、PBRの高い企業はこれらの取り組みを積極的に行っており、ESG情報も多様な媒体を通じて開示されている。これによって企業の透明性と信頼性を高め、投資家やステークホルダーとの関係強化につなげることができると同社は見ている。
調査概要
調査対象:全国の企業経営者、役員、経営幹部、経営企画部責任者・担当者など
調査期間:2024年5月13日~31日
調査エリア:全国
有効回答数:計186件
各図表の構成比(%)は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合がある。