「日本企業の経営課題2023」人材の強化への課題意識が急激に高まる【日本能率協会調べ】
マスメディアン編集部 2024.04.12
- 組織開発
日本能率協会は、企業が抱える経営課題を明らかにし、これからの経営指針となるテーマや施策の方向性を探ることを目的に、1979年から、企業経営者を対象に、「当面する企業経営課題に関する調査」を実施。今回は2023年11月~12月に実施し、528社からの回答を得た。
その調査結果を基に、企業各社が考える自社の「現在」や「3年後」「5年後」の経営課題、また昨年・一昨年からの課題の変化について、発表した。
その調査結果を基に、企業各社が考える自社の「現在」や「3年後」「5年後」の経営課題、また昨年・一昨年からの課題の変化について、発表した。
1.企業が当面する経営課題は「現在」「3年後」「5年後」の全てで「人材の強化」が最多、約半数の企業が「現在」「3年後」の経営課題と認識
自社が当面する経営課題は、「現在」「3年後」「5年後」の全てで「人材の強化」が最も重視度の高い経営課題となった。
「人材の強化」は、約半数の企業が「現在」の経営課題と位置付けている。また、「3年後」でも同様に約半数の企業が、「5年後」でも約15%の企業が最重視課題と位置付けるなど、多くの企業において直近の課題であるだけでなく、長きにわたる課題になると捉えられている。
「人材の強化」は、約半数の企業が「現在」の経営課題と位置付けている。また、「3年後」でも同様に約半数の企業が、「5年後」でも約15%の企業が最重視課題と位置付けるなど、多くの企業において直近の課題であるだけでなく、長きにわたる課題になると捉えられている。

2.「現在の課題」は「人材の強化」が急激に高まった他、「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」も増加傾向
「現在」における経営課題のトップ3は、第1位「人材の強化」(48.9%)、第2位「収益性向上」(44.9%)、第3位「売り上げ・シェア拡大」(32.0%)となった。
過去3年間の推移を見ると、第1位から第3位までの項目に変わりはないものの、「人材の強化」が昨年から7.8ポイント増加したことで順位が入れ替わり、昨年の第2位から第1位となった。
他に、「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」「株主価値向上」は、昨年と比べそれぞれ2.3ポイント、3.0ポイント割合が増え、3年連続で増加している。「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」の重視度の増加は、人材への重要度が高まっていることのひとつの表れと見ることもできる。「株主価値向上」は、取り組みの有無が投資家の関心や企業の評価に直接的・間接的につながるため、経営層の中でも優先的に取り組むべき課題であるという認識が高まっていると考えられる。
過去3年間の推移を見ると、第1位から第3位までの項目に変わりはないものの、「人材の強化」が昨年から7.8ポイント増加したことで順位が入れ替わり、昨年の第2位から第1位となった。
他に、「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」「株主価値向上」は、昨年と比べそれぞれ2.3ポイント、3.0ポイント割合が増え、3年連続で増加している。「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」の重視度の増加は、人材への重要度が高まっていることのひとつの表れと見ることもできる。「株主価値向上」は、取り組みの有無が投資家の関心や企業の評価に直接的・間接的につながるため、経営層の中でも優先的に取り組むべき課題であるという認識が高まっていると考えられる。

3.「3年後の課題」は「人材の強化」が約半数、「デジタル技術の活用・戦略的投資」は減少傾向
「3年後」の課題については、第1位が「人材の強化」(46.4%)、第2位が「収益性向上」(30.1%)、第3位が「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」(28.0%)となった。
「人材の強化」は第2位と比べ15ポイント以上高く、圧倒的に多くの企業が課題と捉えていると分かった。また、過去3年間の推移を見ると、1年ごとに約5ポイントずつ増加しており、重要性が急激に高まっていることがうかがえる。他に、「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」(+2.7ポイント)、「技術力・研究開発力の強化」(+2.0ポイント)も昨年より割合が増加している。
反対に、「デジタル技術の活用・戦略的投資」は、一昨年・昨年に続けて割合が減少し、順位を下げている。すでに多くの企業で取り組みがなされていること、また技術の進化のスピードが速く企業側でも3年後にどのような状況を迎えているかを認識できず、課題と捉える企業が減少したと想像される。
「人材の強化」は第2位と比べ15ポイント以上高く、圧倒的に多くの企業が課題と捉えていると分かった。また、過去3年間の推移を見ると、1年ごとに約5ポイントずつ増加しており、重要性が急激に高まっていることがうかがえる。他に、「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」(+2.7ポイント)、「技術力・研究開発力の強化」(+2.0ポイント)も昨年より割合が増加している。
反対に、「デジタル技術の活用・戦略的投資」は、一昨年・昨年に続けて割合が減少し、順位を下げている。すでに多くの企業で取り組みがなされていること、また技術の進化のスピードが速く企業側でも3年後にどのような状況を迎えているかを認識できず、課題と捉える企業が減少したと想像される。

4.「5年後の課題」は「人材の強化」が最多、「ブランド力の向上」の重視度も増加
「5年後」の課題は、第1位「人材の強化」(15.3%)、第2位「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」(11.7%)、第3位「CSR、CSV、事業を通じた社会課題の解決」(8.3%)となった。
昨年からの変化としては、「人材の強化」が4.6ポイント増加し最重視課題となったこと、また「ブランド力の向上」(+3.2ポイント)が増加したことが挙げられる。
「ブランド力の向上」は、コーポレートブランディングの必要性が浸透する中で、全ての事業推進に関わることとなる企業価値向上を、5年後の課題として想定する企業が増加していると考えられる。
昨年からの変化としては、「人材の強化」が4.6ポイント増加し最重視課題となったこと、また「ブランド力の向上」(+3.2ポイント)が増加したことが挙げられる。
「ブランド力の向上」は、コーポレートブランディングの必要性が浸透する中で、全ての事業推進に関わることとなる企業価値向上を、5年後の課題として想定する企業が増加していると考えられる。

本調査は毎年実施されている調査で、「現在」「3年後」「5年後」の全てで「人材の強化」が最重視課題であり、企業の「人材の強化」への課題感が浮き彫りになった。
要因のひとつとしては、コロナ禍の採用抑制や育成機会の減少が挙げられる。新型コロナウイルス5類移行を契機に、多くの企業で経済活動は平時に戻ったと考えられるが、事業活動を継続・発展、また新しい価値や事業を創造していくための人材の不足に直面している企業が多い。
また、労働力人口の減少や雇用の流動化により、人材確保の難易度が高まっていることも要因と考えられる。「現在」の課題として、「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」が昨年より増加していることもその表れと捉えることができる。
他に、生成AIの登場をはじめとしたテクノロジーの進化により、社会で必要とされる能力・スキルが急激に変化してきていることも要因と考えられる。リスキリングの重要性が叫ばれて久しいが、その必要性は今後も高まっていく。人材への課題感の高まりの背景としては、さまざまな要因が考えられる。人材の強化は長きにわたり企業を悩ませ続ける課題となるとうかがえる。
調査概要
「2023年度(第44回)当面する企業経営課題に関する調査」
調査時期:2023年11月13日~12月8日
調査対象:JMAの法人会員ならびにサンプル抽出した全国主要企業の経営者(計5004社)
調査方法:郵送調査法(質問票を郵送配布し、郵送およびインターネットにより回答)
回答数:528社(回答率10.6%)
要因のひとつとしては、コロナ禍の採用抑制や育成機会の減少が挙げられる。新型コロナウイルス5類移行を契機に、多くの企業で経済活動は平時に戻ったと考えられるが、事業活動を継続・発展、また新しい価値や事業を創造していくための人材の不足に直面している企業が多い。
また、労働力人口の減少や雇用の流動化により、人材確保の難易度が高まっていることも要因と考えられる。「現在」の課題として、「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」が昨年より増加していることもその表れと捉えることができる。
他に、生成AIの登場をはじめとしたテクノロジーの進化により、社会で必要とされる能力・スキルが急激に変化してきていることも要因と考えられる。リスキリングの重要性が叫ばれて久しいが、その必要性は今後も高まっていく。人材への課題感の高まりの背景としては、さまざまな要因が考えられる。人材の強化は長きにわたり企業を悩ませ続ける課題となるとうかがえる。
調査概要
「2023年度(第44回)当面する企業経営課題に関する調査」
調査時期:2023年11月13日~12月8日
調査対象:JMAの法人会員ならびにサンプル抽出した全国主要企業の経営者(計5004社)
調査方法:郵送調査法(質問票を郵送配布し、郵送およびインターネットにより回答)
回答数:528社(回答率10.6%)