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働く女性の健康支援 6割超の企業で婦人科検診の補助や生理休暇制度進む【iCARE調べ】

マスメディアン編集部 2024.03.01

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iCAREは、3月1日~8日の「女性の健康週間」に向けて、企業の健康管理・健康経営の部門で働く206名に「働く女性の健康支援と健康経営の実態調査」を実施した。女性社員比率や雇用形態に関係なく、6割以上の企業がなんらかの女性の健康支援に取り組んでいた。一方で、組織全体の理解やコミュニケーションを改善する支援は進まず、社員や経営層の巻き込みに課題を抱えることが明らかになった。
iCAREは、3月1日~8日の「女性の健康週間」に向けて、企業の健康管理・健康経営の部門で働く206名に「働く女性の健康支援と健康経営の実態調査」を実施した。

調査の結果、女性社員比率や雇用形態に関係なく、6割以上の企業がなんらかの女性の健康支援に取り組んでいる一方で、企業の業種・規模別では取り組み状況にギャップが見られた。取り組み内容は「健診・検診補助」「生理休暇」など法令対応の範囲が主であり、経済産業省が提案する(※1)「リテラシー向上」などの、組織全体の理解やコミュニケーションを改善する支援は進んでいないこと、取り組む上で社員や経営層の巻き込みに課題意識を抱える割合が高いことが明らかになった。

■調査背景
政府が発表した「女性版骨太の方針」の中で、女性の健康支援について定期健診・検診の見直しや企業の産業保健活動の充実などの指針が明記されたことを受け、厚生労働省で健康診断の項目見直し検討が始まるなど、これまで以上に女性の健康について注目が集まっている。

経済産業省は女性特有の健康課題による経済損失額は3.4兆円に上ると新たに発表し、ジェンダー差に基づく多数の健康課題の中でも、規模が大きく、経済損失が短期で発生することから、特に職域での支援が期待される4項目「月経随伴症」「更年期症状」「婦人科がん」「不妊治療」について、パフォーマンス低下や休職・離職など就労への影響が大きいことが示されている。

毎年3月中旬に発表される、同省管轄の健康経営の顕彰制度「健康経営優良法人」認定の過程でも「女性の健康」支援が重点評価されるようになり、小手先の対応ではなく組織全体での取り組み推進が必要不可欠になっている。

iCAREでは、そうした社会背景から、実際に企業における働く女性の健康支援がどのように変化・進捗しているのかを明らかにするべく、企業の人事・健康管理部門や健康経営の推進部門を対象に調査を実施した。

■調査結果サマリー
1.女性の健康支援の取り組み状況
・取り組む企業は64.4%。女性社員比率や女性の雇用形態別による差異はなく、過半数以上が何らか取り組んでいると回答。
・業種別では、「宿泊・飲食・サービス」「製造」「運輸・物流」「小売・卸売」が取り組み割合が高く、「不動産」「官公庁・教育・団体」「医療・福祉」で低い。
・企業規模別では、1000名以上の企業で80%以上、50名未満、100~299名未満の企業で過半数以下の46.2%が取り組んでいる。
・取り組みの主体は人事労務または健康管理室などの健康管理部門が89.5%、企業規模別で見ると300名以上の企業では複数の部署で取り組んでいる(例:人事労務・健康管理室+ダイバーシティ推進室、人事労務・健康管理室+健康経営推進室)。

2.女性の健康支援の取り組み内容
・取り組みの上位(過半数超)は、「婦人科健診・検診への金銭補助」70.5%、「生理休暇などの健康のために取得しやすい休暇を整備している」65.9%、「女性特有の健康関連相談に対応可能な体制構築(産業医や婦人科医、外部窓口の設置) 49.2%が続く。
・経済産業省が提言している「ヘルスリテラシー向上」のための知識提供・教育などの施策は3割程度にとどまる。

3.女性の健康支援における課題
・課題認識の上位(過半数超)は、「社員の巻き込み」「経営層の理解」
・女性の健康支援と健康経営の取り組み状況は一致しておらず、女性の健康支援が健康経営に繋がる認識が十分に広がっていない。

主な調査結果は以下の通り。

1.女性の健康課題の認識と支援の取り組み状況

【女性の健康課題の認識】
女性の健康課題の認識状況を問う設問では、「月経関連の症状や疾病(月経不順・月経痛など)」が60.2%、次に「メンタルヘルス」58.7%、「更年期障害」53.4%が続き、「女性のがん・女性に多いがん」「PMS(月経前症候群)」も過半数近い回答があった。「何が健康課題かわからない・特定できていない」という回答も13.6%見られた。 
【取り組み状況(全体)】
女性の健康支援に取り組む企業は全体で64.4%、女性社員の比率の違いによる取り組み差異はほとんどなく、雇用形態別では「正社員」と「パート・アルバイト」で約9%の差はあるものの、全体としてはほぼ差がなく、取り組んでいると言える。

企業規模別では、従業員1000名以上で82.7%、1万名以上で90%となっており、特に299名以下の企業と平均30%以上の差が出ている。
【取り組み状況(業種別)】
業種別に見ると、「宿泊・飲食・サービス」「製造」「運輸・物流」の順で多く、いずれも70%以上が回答。最も回答が少なかったのは「不動産」、続いて「官公庁・教育・団体」「医療・福祉」。
【取り組み体制】
女性の健康支援の取り組み体制について問う設問では、「人事労務または健康管理室など健康管理部門およびその担当」が89.5%で最も多く、次に「健康経営推進室および同義の部門およびその担当」が続く。

2.女性の健康支援の取り組み内容

【女性の健康支援の取り組み内容】
取り組み内容を具体的に問う設問では、「婦人科健診・検診への金銭補助」が70.5%と最も多く、「生理休暇などの健康のために取得しやすい休暇の整備」が65.9%で過半数を超えている。女性の健康課題に関する研修や、女性向けヘルスリテラシー向上のための教育などの取り組みは3割程度にとどまり、女性特有の健康課題の治療と仕事の両立支援制度やツール提供はほとんど進んでいない。
【女性の健康支援の施策数】
「取り組み状況」の設問において、全体の64.4%が女性の健康支援において何らかの取り組みを行っていると回答したが、施策の充実度を見ると、全体の30.8%が施策数1~2つと回答し、従業員299名以下の企業では全体の過半数以上の回答が見られた。施策数7つ以上と回答した企業は300名以上の企業のみで、1万名以上の企業では44.4%が回答している。

3.女性の健康支援に取り組む上での課題

【女性の健康支援に取り組む上での課題】
女性の健康支援に取り組む上での課題を問う設問の回答は「社員の巻き込み」56.4%、「経営層の理解」53.4%が上位、「取り組む体制・人員不足」、「女性社員の意識醸成」の回答が続く。「社員の巻き込み」「経営層の理解」「女性社員の意識醸成」の回答数は全体の71%あり、そのうち社員・経営層双方の巻き込みに課題意識がある回答者は、職位別では産業保健スタッフ(産業医、産業保健師・看護師)が最も高く、男女別に見ると女性の方が高い。「女性社員の意識醸成」に課題意識がある回答者は、職位別では課長・部長クラスが最も高く、男女別に見ると男性の方が高いことがわかった。
【健康経営における女性の健康支援の取り組み状況】
「女性の健康支援」に取り組んでいる企業のうち、健康経営に取り組んでいる企業は74.4%、取り組んでいない企業は34.2%あり、「女性の健康支援」と「健康経営」の取り組み状況は一致していない。女性の健康支援が健康経営に繋がっている認識が十分に広まっていないと言える。
※1:平成31年3月経済産業省ヘルスケア産業課「健康経営における女性の健康の取り組みについて」より
※2:2023年6月内閣府 男女共同参画会議「女性版骨太の方針2023」より
※3:2024年2月経済産業省ヘルスケア産業課「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」より

調査概要
調査時期:2月2日~2月13日
調査対象:従業員規模50名~1万名以上の一般企業の人事労務部門・健康経営部門
調査実施機関:iCARE
サンプル数:206名(経営層・部長クラス、部門管理者・担当者、産業看護職・専門職)
調査方法:インターネットによるアンケート調査