マーケティング・営業戦略・広報・宣伝・クリエイティブ職専門の採用支援はマスメディアン【宣伝会議グループ】

  • HOME
  • ニュース
  • 戦略人事を実施中の企業に調査 課題は「リソース・権限」「経営や従業員の理解・協力」【Unipos調べ】

戦略人事を実施中の企業に調査 課題は「リソース・権限」「経営や従業員の理解・協力」【Unipos調べ】

マスメディアン編集部 2024.01.12

  • 人事
Uniposは、「勤務先において戦略人事が機能している」と回答した従業員1000名以上の企業の人事部マネジメント層を対象に、戦略人事に関する調査を実施した。戦略人事が人事・経営指標へ一定の効果を与えていることが判明した一方で、「人事のリソース・権限不足」「経営や従業員からの理解・協力不足」といった課題も明らかになった。 
Uniposは、「勤務先において戦略人事が機能している」と回答した従業員1000名以上の企業の人事部マネジメント層を対象に、戦略人事に関する調査を実施したので、その一部を公開する。

調査の背景
戦略人事とは、経営戦略の実現のために人事を最適化することを指す。給与管理などのオペレーション業務を中心とした人事とは異なり、戦略人事は経営戦略に合わせて人材の採用・育成などの人材戦略を実現する「攻め」を担う人事といえる。人的資本経営を重視するトレンドと相まって、近年クローズアップされることが増えてきた。 一方で、組織全体の構造・文化を抜本的に変える必要のある戦略人事の実行は、容易ではないと考えられる。そこで、戦略人事を実行している企業はどのように取り組み、どのような課題があるのかをリサーチするため、Uniposは本調査を実施している。

調査のサマリー

戦略人事の実行により約半数がエンゲージメント向上を実感

「あなたのお勤め先において、『戦略人事』を機能させることで社内にどのような影響がありましたか」という質問では、「エンゲージメントが向上した(44.2%)」「評価制度が標準化できた(41.3%)」「有力人材が増加した(38.5%)」の順に高い回答割合になり、人事指標の面で効果が高いことが見てとれる。次に「戦略実行度が向上した(28.8%)」「生産性が向上した(19.2%)」「売上が増加した(19.2%)」と、経営戦略実現に近い回答が続いている。

戦略人事の影響としては、人事指標>戦略実行指標>業績指標という傾向になっており、戦略人事が経営戦略の実現に至るまでのプロセスを見ることができる。

戦略人事の取り組みを経営戦略の実現に繋げるまでは時間を要するが、確実に組織に好影響を与えているといえる。

戦略人事における課題は「人事のリソース・権限不足」「経営や従業員からの理解・協力不足」

「あなたのお勤め先において、「戦略人事」を機能させている中での課題を教えてください」の質問において、最多は「人事部門のリソース不足(47.1%)」と、約半数が回答した。次に高い割合の回答は「人事部門の経営へ関わる権限不足(41.3%)」「従業員の戦略人事に対する理解・協力不足(35.6%)」だった。

戦略人事の実行にあたっては、オペレーションを中心とする業務から範囲が広がることから、人事部門により多くのリソースが必要となる。 戦略人事を実行する人事部門において、経営・人事双方に精通した人材の採用・育成が急がれそうだ。そして、戦略人事の実行にあたっての組織体制・プロセスを整備するとともに、経営陣・従業員からの理解を高め、全社的な取り組みとして推進することが求められるといえる。

戦略人事を機能させるまでに1年以上を要した企業が7割超

最後に、「あなたのお勤め先において、「戦略人事」を意識し始めた時期を教えてください」「『戦略人事』を機能させるまでにかかった期間を教えてください」の質問では、約半数の企業は4年以上前から戦略人事を意識し始め、約7割の企業は機能させるまでに1年以上を要したことがわかった。人事組織だけでなく全社を巻き込んだ変革を必要とする戦略人事の実行は、早期に結果が出るものではなく、腰を据えて中長期的な課題として取り組んでいく必要があるといえる。

経営戦略において人事のプライオリティを上げる必要性

今回の調査からは、エンゲージメント・心理的安全性・退職率などの人事指標から生産性や売上といった事業指標など多岐に渡る分野で、戦略人事の実行が多くの効果をもたらしていることが読みとれた。一方で、戦略人事の実行における最大の障壁となるのは、人事に対する「リソース不足」「理解協力不足」であることも判明した。

本調査でも「約7割の企業が戦略人事を機能させるまでに1年以上かかった」という結果が出ている通り、戦略人事は中長期の取り組みである。それにも関わらず、短期的な結果が出ていないとみられることが、「リソース不足」「理解協力不足」という課題の要因の1つである可能性がある。大きな成果の前には、現場の行動が変わるなどの小さな変容が必ず存在するため、こうした変容に着目していくことが、戦略人事の成果の計測となり、これら戦略人事の課題の打破につながるとUniposは考えている。

また、同社が約4000以上の人的情報開示を調査した結果、ほとんどの企業では中期経営計画に人手不足への対応について組み込まれていないことが明らかになった。来たるべき人口減少の時代に備えるためにも、今後企業は経営戦略における人事のプライオリティを上げ、戦略人事をはじめとした人的資本経営を全社で推進することが求められるとUniposは考えている。

調査概要
調査名:Unipos 戦略人事に関する調査2023
調査期間:2023年9月29日〜10月2日
調査対象:大企業(従業員数1000名以上)の人事部長・課長・係長・課長補佐相当
有効回答数:上記のうち、「戦略人事が機能していると回答した」と回答した104名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない。
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー(R)」の企画によるインターネット調査
調査機関(調査委託先):IDEATECH