エグゼクティブ採用において、候補者の心を動かすアプローチ
マスメディアン 取締役副社長 仲崇 2026.05.13
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エグゼクティブ層が転職で求めるもの
前回の記事でもご紹介した通り、エグゼクティブ採用において、多くの候補者が最も重視するのは「自分の経験が企業課題の解決に貢献できるか」という点です。これとセットになるのが、「候補者が求めるものは何か」「候補者に自社が提供できるものは何か」という視点です。採用したい人材を獲得するためのシナリオを事前に描いておくことが重要です。給与や肩書きだけでは、魅力を伝えるには不十分です。候補者にも「この企業で自分の力を活かしたい」と感じてもらえるよう、一緒に成し遂げたいビジョンとそれに伴う責任、またそれに対する報酬を結びつけた提案が求められるのです。
エグゼクティブ採用は、企業にとっては会社の未来、候補者にとってはキャリアの集大成をかけた意思決定です。だからこそ、求める役割、期待するミッション、到達させたい目標をはっきりとさせておき、それをクリアした時の報酬体系も明確であることが求められます。採用側も候補者側も重い責任を担う決断が求められますから、ここがファジーなままでは、双方が二の足を踏むのは当然のことです。
候補者に魅力を伝えるアプローチ
では、どうすれば候補者にそれが伝わるのでしょうか。私が実践しているのは、課題の共有から始めるアプローチです。課題共有から始まる対話
候補者に企業を紹介するとき、私は必ず、採用の背景にある事業課題から話を始めます。例えば、「ある企業がマーケティングとセールスの連携に課題を抱えており、その解決が急務となっています」といった具体性のある課題から説明をします。そうすることで、候補者は『自分の経験が、その課題解決にどう活かせるか』と、自分のこととして考えてくれます。候補者によっては、「その課題は、残念ながら私の経験では解決できないと思う。」とお話しいただけることもあります。このプロセスを踏まえることで、選考に進む人材のフィット感も高まります。 一通り課題を説明し、実現したい世界観をお話しします。企業名やポジション名は、最後にご紹介します。「なぜあなたなのか」を伝える
候補者が「自分がこのポジションに本当に適しているのか」を納得できていないと、応募にはつながりません。そこで私は、候補者のどの経験が企業の課題解決にどのように役立つのかを見立て、伝えています。例えば、「100名規模のセールス組織と、30名規模のマーケティング組織の連携を改善できるのは、あなたのような近しい規模感における営業管理職経験と、営業からキャリアを広げげて、マーケティング領域にまで知見を広げていったセールス&マーケティングの知見を併せ持つ人材です。加えて、今回の企業は創業10年。次の10年をつくるフェーズであり、あなたの現職と非常に近しいフェーズなのですよ」と伝えることで、さらに候補者のイメージを具体的にします。
会社が提供できるものを明確にする
さらに、採用企業側は、責任への対価として、候補者に自社が提供できるものを明示する必要があります。例えば、以下のような要素が典型的です。・裁量:予算や組織改編を一任する、といった大きな権限。どこまで自分で決められるのか。
・キャリアパス:執行役員としてスタートし、取締役への昇進を視野に入れるといった、経営職も見据えることができるのかという向こう数年間の見通し。
・報酬:現年収を加味した年収や、ストックオプションの提供などの報酬条件。活躍した際、2年目以降どのように変化するのか。
また、提示する条件が採用市場(採用競合比)においてどう映るかにも留意する必要があるでしょう。
経営者自身が候補者と向き合う
企業の課題やビジョンを伝えるのは、経営者以上にふさわしい人はいません。エグゼクティブ層の候補者は特に、経営者がどれだけ真摯に自分の力を必要としているかを重視する傾向があります。経営者自身が候補者と直接対話して、悩みをオープンに共有する誠実さや、事業をこうしていきたいという熱意を伝えることは、採用成功には欠かせません。エグゼクティブや経営幹部級の採用がうまい会社は、例外なく社長が採用に熱心であり、カジュアル面談や休日面談、アトラクトのための会食など、社長自らが積極的に前に出た採用活動をされています。企業成長につながる採用支援のために
採用を企業成長につなげるために重要なのは、採用を「点」ではなく「線」として捉えることです。候補者へのお声がけをする時点で、会社の将来像を一緒に描けるような情報を揃えておくことが重要です。候補者とのお付き合いは、その瞬間の「点」の転職ではなく、長いキャリアプランを長期的に伴走する覚悟で真剣に向き合います。実は最近、数年前にある企業にマーケティング部長(将来の経営幹部候補)としてご紹介した方から、晴れて取締役に就任することになったという喜びと感謝のご連絡をいただきました。ご入社される前は現職に残るかを悩んでいた方でしたが、転職をして本当に良かったとのことでした。取締役への昇進は、企業内で大変にご活躍されたことの証。双方にとってよい紹介となり、私にとっても、とても嬉しい出来事でした。私たちマスメディアンは、そのような長期的な目線での採用成功をご支援したいと考えています。

