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エグゼクティブ採用成功の鍵は課題の整理

マスメディアン 取締役副社長 仲崇 2026.04.15

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エグゼクティブ採用成功の鍵は課題の整理
「候補者が見つからない」「面接をしても決めきれない」……。大きな決断が求められるエグゼクティブ採用では、しばしばお聞きする悩みです。多くのエグゼクティブ採用を支援してきたマスメディアンの取締役副社長・仲崇は、その背景には、共通の原因として「課題の整理が不十分であること」が多いといいます。その重要性と実践法をお伝えします。(マスメディアン編集部)

エグゼクティブ採用の壁に直面したら

採用を通じて解決したい課題は何か

エグゼクティブ採用は、企業の未来を大きく左右する重要な意思決定です。それだけに、「なかなか候補者が見つからない」「面接を重ねても決め手がない」といった悩みを抱える経営者の方も少なくありません。

私もこれまで数多くの経営者の相談を受けてきましたが、こうした問題の多くは「採用を通じて解決したい課題が曖昧であること」に起因していると感じています。たとえば、「売上を伸ばしたい」「マーケティングを強化したい」といった大まかな目標は明確でも、それをどう実現するのか、そのためにどのような人材が必要なのかが具体化されていないケースが少なくありません。この状態では、どんなに優秀な候補者がいても、採用の成功に結びつけるのは難しいです。なぜなら、エグゼクティブ採用においては多くの場合、候補者が最も重視するのは「自分の経験が課題解決に直結するか。そして企業成長にどう貢献できるか」という点だからです。
 

エグゼクティブが求めるものとは

スキルを活かしたい、という志向は、メンバークラス~部長クラスの転職希望者も変わりありません。異なる点はその比重と背景にある考え方です。

転職理由は千差万別ではありますが、キャリアを着実に重ねてきたエグゼクティブ層に特有なのが、「キャリア人生の集大成において、何を残したいか」という視点です。特に40代後半~50代になると、定年退職なども迫ってくるので、引退も意識しだします。また、お子さんがいる場合は、子どもが社会に出るタイミングとも重なることもあり、働く価値観も若い世代の時とは変化しています。そのため、「これまでの経験を、社会や次世代に還元したい」という社会貢献意欲が強まる方が多いようです。

したがって、会社を見る目も、「自分の経験が課題解決に直結するのか、会社の成長につながるか」「その先には、社会にどんな影響が与えられるか」という見方になります。その判断軸として、そもそも解決したい事業課題が明確であることが重要になります。
 

「課題整理」で採用の方向性を明確に

私が採用支援を始める際には、必ず経営者との「壁打ち」からスタートします。

壁打ちの目的は、経営者の頭の中にある漠然としたビジョンや課題を引き出し、明確にすることです。たとえば、ある企業から「CMO(チーフマーケティングオフィサー)を採用したい」という相談をいただいた際、私は以下のような質問を重ねました。
 
  • 「なぜ今、CMOが必要だと思ったのですか?」
  • 「マーケティング部長ではなく、CMOでなければならない理由は何ですか?」
  • 「マーケティング部長とCMOの違いは何だとお考えですか?」
  • 「現在の組織や社内の人材からは輩出できないのですか? 既存社員や組織には何が不足していると感じていますか?」
  • 「今回採用する人材に期待していることや、解決してほしい課題の優先順位は?」
  • 「採用がうまく進んだ先に、どのような会社を目指しているのですか?」

これらの問いを通じて整理をした結果、「実際の課題は、単なる人材不足ではなく、マーケティングとセールスの連携が取れておらず、組織全体で売り上げを伸ばす仕組みが整っていないことだ」という気づきがありました。

そこから、採用ターゲットも、当初社長が描いていた「マーケティング組織における部長以上の経験者」というものから、「営業経験をベースにキャリアを形成、その後マーケティング領域にまでキャリアの幅を広げてきた、セールス&マーケティングを管掌できる人材」とより具体的に設定することができました。

こうした課題整理には時間がかかります。初回のヒアリングは1~1.5時間かかりますし、複数回お時間をいただくこともあります。ただ、候補者へのお声がけ開始前に本当に必要な人材像を明確にできれば、候補者へのアプローチが具体的になりますし、マッチしているかどうかの判断もしやすくなります。その結果、選考段階でのミスマッチが減り、採用活動全体がスムーズに進むのです。

私自身の実感でもありますが、多くの経営者は強い孤独を抱えています。特に幹部採用や人事に関しては、誰にも相談できないままひとりで抱えている方も多くいらっしゃいます。これまで私がお話を伺ってきた経営者の方々のなかにも、こうした課題整理をおひとりでできている方は多くはありませんでした。だからこそ、きちんと事業課題の整理・設定ができると、候補者にとっては差別化のポイントとなり、採用成功に近づきます。

課題設定により求める人物像が明確になったら、次にやることはターゲット人材へのアプローチです。魅力的なアプローチの方法は、また今度のコラムでお届けします。

執筆・編集

株式会社マスメディアン 取締役副社長 仲崇
人材紹介業で20年以上の実績を持つ。パーソルキャリア(当時:インテリジェンス)でエリア拠点立ち上げを経験し、人材紹介事業部のゼネラルマネージャーを務めた後、ハイレイヤー向け人材紹介サービスを運営するユニコーンパートナーズ日本法人の責任者として事業構築・拡大を担う。2026年1月より現職。企業の採用を課題解決の武器と捉え、人材と企業をつなぐプロフェッショナル。