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ライフデザイン経営

岩本 隆 2026.02.02

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ライフデザイン経営
2025年、経済産業省が新たに打ち出した「ライフデザイン経営」は、社員のキャリアとライフの両立を支援し、企業価値向上を目指す新しい経営モデルです。その定義や背景、期待される効果について慶應義塾大学大学院 講師の岩本隆先生に解説いただきました。(マスメディアン編集部)
健康経営、ウェルビーイング経営、サステナビリティ経営、人的資本経営、パーパス経営など「〇〇経営」という言葉がさまざまな切り口で使われているが、経済産業省は新たに「ライフデザイン経営」という言葉を政策的に発信し、2025年8月18日にライフデザイン経営のホームページ(※1)を公開した。

「〇〇経営」は主に経済産業省によって推進されているが、それぞれ異なる部門によって推進されており、目的もそれぞれ異なる。図表1に「〇〇経営」を推進する日本政府の組織を示す。

サステナビリティ経営・人的資本経営を推進する経済産業政策局は、日本の経済産業全般に関わる政策を推進しており、サステナビリティ経営はファイナンスの観点、人的資本経営は人材の観点で、日本企業の競争力を高めるための政策である。

一方、健康経営・ライフデザイン経営を推進する商務情報政策局は、日本の第3次産業のための政策を推進しており、健康経営は日本のヘルスケア産業のための政策であり、本稿で述べるライフデザイン経営は日本のサービス産業のための政策である。
図表1.「〇〇経営」を推進する日本政府の組織
「ライフデザイン経営」は「社員がキャリアとライフを両立し、充実したライフデザインを実現できる環境を提供することで、人材の能力を最大限引き出し、企業価値向上につなげる経営のあり方」と定義されている。企業がライフデザイン支援を行うことで、社員は、働きがいと働きやすさを感じながらキャリアとライフの両立を図ることができ、個人のウェルビーイングの向上とともに、社員の活躍による生産性向上等により企業価値向上にもつながることが期待できる。更には、社員エンゲージメントが高まり、企業の価値向上と個人のウェルビーイングの向上の好循環も期待される。これを図示したものを図表2に示す(※2)。日本企業におけるライフデザイン経営の推進により、ライフデザインサービスと家事支援サービスの産業が成長することを目論む。
図表2.ライフデザイン経営による好循環のイメージ(出所:経済産業省)
令和5年度(2023年度)補正予算で「ライフステージを支えるサービス導入実証等事業」(キャリア形成に資するサービス導入環境の構築実証)が11団体によって実施された。令和7年度(2025年度)はこども家庭庁により「民間企業等と連携したライフデザイン支援事業」が実施される予定で、2025年12月から2026年1月にかけて採択された企業が発表された。また「ライフデザイン支援ポータルサイト(※3)」も公開されている。

今後、ライフデザイン経営が日本企業にどう広がっていくのか注目していきたい。

※1:https://lifestage-service.go.jp/
※2:経済産業省商務・サービスグループサービス政策課サービス産業室「ライフステージを支えるサービス活用による多様な人材活躍を推進するための情報発信を行うウェブサイトを開設しました~ライフデザイン経営で、社員のウェルビーイングをサポート~」経済産業省ウェブサイト(2025年/https://www.meti.go.jp/policy/servicepolicy/lifestage.html)
※3:https://lifedesign-pj.cfa.go.jp/

執筆・編集

岩本 隆(いわもと たかし)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授|東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。日本モトローラ、日本ルーセント・テクノロジー、ノキア・ジャパン、ドリームインキュベータを経て、2012年6月より2022年3月まで慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授。2018年9月より2023年3月まで山形大学学術研究院産学連携教授、2022年12月より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。ICT CONNECT 21理事、日本CHRO協会理事、日本パブリックアフェアーズ協会理事、SDGs Innovation HUB理事、デジタル田園都市国家構想応援団理事、オープンバッジ・ネットワーク理事、ISO/TC 260国内審議委員会副委員長などを兼任。