100億企業創出の加速に向けた政策
岩本 隆 2025.09.29
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中小企業庁は、2022年6月22日の第35回中小企業政策審議会において、世界・日本が構造変化の局面を迎える中、「成長と分配の好循環」を実現するためにも、生産性向上や売上・利潤の拡大を目指し、賃上げや新事業展開等の次の挑戦に投資する意欲を持った「成長志向の中小企業」を一者でも多く創出するという政策の方向性を打ち出した(※1)。
この政策の方向性を受け、2023年2月15日より「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」が実施されており、2023年6月22日に中間報告書(※2)が、2024年6月28日に第2次中間報告書が公表されている(※3)。これらの中間報告書では、中小企業政策の新たな方向性として、中小企業の「100億企業」への成長を目指すことが打ち出された。図表1に示す日本の中小企業の売上高規模に占める従業員数規模の分布をみると、売上高1~100億円の企業は、中小企業規模の従業者数6~300人である企業と概ねボリュームゾーンが一致しており、中小企業が100億企業へと成長していくことは、従業員数300名を超える中堅企業クラスへのステップアップを表す。
この政策の方向性を受け、2023年2月15日より「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」が実施されており、2023年6月22日に中間報告書(※2)が、2024年6月28日に第2次中間報告書が公表されている(※3)。これらの中間報告書では、中小企業政策の新たな方向性として、中小企業の「100億企業」への成長を目指すことが打ち出された。図表1に示す日本の中小企業の売上高規模に占める従業員数規模の分布をみると、売上高1~100億円の企業は、中小企業規模の従業者数6~300人である企業と概ねボリュームゾーンが一致しており、中小企業が100億企業へと成長していくことは、従業員数300名を超える中堅企業クラスへのステップアップを表す。

第2次中間報告書では100億企業創出の加速に向けた政策の方向性として以下が示された。
(1) より多くの経営者が100億企業を目指しやすくなる仕掛けづくり
(2) 成長を後押しする資金調達手段としての資本性資金に対するイメージ転換・活用促進の先導
(3) 組織の総合的な能力向上に向けた人材確保・育成、組織体制構築への支援
第2次中間報告を受け、2025年2月21日に、中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構は、売上高100億円という高い目標を目指し、それに向けて挑戦を行う企業・経営者を応援するプロジェクトの第一弾として、「100億宣言」を開始し、2025年4月11日に「100億企業成長ポータル」のWebサイト(※4)が公開された。
100億宣言には売上高10億円以上100億円未満の中小企業が申請できる。売上高の成長を実現するには、人材の確保・育成に加え、従業員数300人を超える組織を効果的にマネジメントする経営力が求められる。具体的には以下のような手を打つことが必要となる。
・ 全社的な視野をもつ人材によるマネジメント体制の確立
・ 高賃金による採用
・ 人材マッチングサービスも活用し、DX含め高度な人材の確保・中核人材への育成
・ 副業・兼業人材の活用
・ M&Aによる人材の獲得
※1:中小企業庁「激変する世界・日本における今後の中小企業政策の方向性-成長に向けた自己変革に挑戦し、地域を支える中小企業が「成長と分配の好循環」をリードする-」中小企業庁Webサイト(2022年/https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/soukai/2022/220622HS/01_1.pdf)
※2:中小企業の成長経営の実現に向けた研究会「中小企業の飛躍的成長に向けた政策の方向性-「100億企業」への成長に向けて―(中小企業の成長経営の実現に向けた研究会 中間報告書」(2023年/https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/seichoken/report/20230622report.pdf)
※3:中小企業の成長経営の実現に向けた研究会「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会 第2次中間報告書」(2024年/https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/seichoken/240628_report.pdf)
※4:https://growth-100-oku.smrj.go.jp/
(1) より多くの経営者が100億企業を目指しやすくなる仕掛けづくり
(2) 成長を後押しする資金調達手段としての資本性資金に対するイメージ転換・活用促進の先導
(3) 組織の総合的な能力向上に向けた人材確保・育成、組織体制構築への支援
第2次中間報告を受け、2025年2月21日に、中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構は、売上高100億円という高い目標を目指し、それに向けて挑戦を行う企業・経営者を応援するプロジェクトの第一弾として、「100億宣言」を開始し、2025年4月11日に「100億企業成長ポータル」のWebサイト(※4)が公開された。
100億宣言には売上高10億円以上100億円未満の中小企業が申請できる。売上高の成長を実現するには、人材の確保・育成に加え、従業員数300人を超える組織を効果的にマネジメントする経営力が求められる。具体的には以下のような手を打つことが必要となる。
・ 全社的な視野をもつ人材によるマネジメント体制の確立
・ 高賃金による採用
・ 人材マッチングサービスも活用し、DX含め高度な人材の確保・中核人材への育成
・ 副業・兼業人材の活用
・ M&Aによる人材の獲得
※1:中小企業庁「激変する世界・日本における今後の中小企業政策の方向性-成長に向けた自己変革に挑戦し、地域を支える中小企業が「成長と分配の好循環」をリードする-」中小企業庁Webサイト(2022年/https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/soukai/2022/220622HS/01_1.pdf)
※2:中小企業の成長経営の実現に向けた研究会「中小企業の飛躍的成長に向けた政策の方向性-「100億企業」への成長に向けて―(中小企業の成長経営の実現に向けた研究会 中間報告書」(2023年/https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/seichoken/report/20230622report.pdf)
※3:中小企業の成長経営の実現に向けた研究会「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会 第2次中間報告書」(2024年/https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/seichoken/240628_report.pdf)
※4:https://growth-100-oku.smrj.go.jp/
- 【執筆者プロフィール】
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岩本 隆(いわもと たかし)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授
東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。日本モトローラ、日本ルーセント・テクノロジー、ノキア・ジャパン、ドリームインキュベータを経て、2012年6月より2022年3月まで慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授。2018年9月より2023年3月まで山形大学学術研究院産学連携教授、2022年12月より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。ICT CONNECT 21理事、日本CHRO協会理事、日本パブリックアフェアーズ協会理事、SDGs Innovation HUB理事、デジタル田園都市国家構想応援団理事、オープンバッジ・ネットワーク理事、ISO/TC 260国内審議委員会副委員長などを兼任。