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タレントアクイジション領域のHCMアプリケーション世界市場の最新動向

岩本 隆 2025.09.01

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タレントアクイジション領域のHCMアプリケーション世界市場の最新動向
人的資本管理のためのアプリケーションの世界市場規模が急拡大しています。その3大セグメントのうちの1つ、タレントアクイジション(人材獲得)領域の市場について、慶應義塾大学大学院 講師の岩本隆先生に解説いただきました。(マスメディアン編集部)
前稿では、Apps Run The World社の公開情報を元に、HCM(ヒューマンキャピタルマネジメント:人的資本管理)アプリケーションの世界市場の最新動向について記した。2024年のHCMアプリケーションの世界市場規模は587億800万米ドルであり、HCMアプリケーション市場を3つの大セグメントに分けると、コアHR/タレントマネジメント領域の世界市場規模が355億米ドル、タレントアクイジション領域の世界市場規模が145億米ドル、ワークフォースマネジメント領域の世界市場規模が87億米ドルであった(※1)。本稿では、3つの大セグメントの内、タレントアクイジションの市場セグメントのHCMアプリケーション世界市場の最新動向について記す。
 
Apps Run The World社では、タレントアクイジションの市場セグメントを更に6つに分けている。6つの市場セグメントと世界市場規模は以下になる。

1. リクルーティング:53億米ドル
2. 応募者追跡システム:25億米ドル
3. タレントソーシング:23億米ドル
4. オンボーディング:20億米ドル
5. 候補者関係マネジメント:14億米ドル
6. 臨時労働者マネジメント:10億米ドル

Apps Run The World社では、各市場セグメントの売上高上位10社を公表しており、タレントアクイジション領域の6つの市場セグメントで売上高上位10社に入っているHCMアプリケーションベンダーは合計41社あった。図表1に各市場セグメントでの売上高上位10社のHCMアプリケーションベンダーを示す。日本市場に進出していないHCMアプリケーションベンダーも多いので日本では馴染みのない企業も多いかもしれないが、世界のタレントアクイジション市場では有名な企業が多い。
タレントアクイジション領域の市場セグメント別2024年売上高上位10社
図表1.タレントアクイジション領域の市場セグメント別2024年売上高上位10社
(出所:Apps Run The World公表データより筆者作成)
図表2にリクルーティングの市場セグメントで売上高3位のFirst Advantage社の直近の業績推移を示す。First Advantage社は人材採用の際のバックグラウンドチェックのビジネスを展開しており、2021年6月にNASDAQ市場に株式上場している。
First Advantageの直近の業績推移
図表2.First Advantage社の直近の業績推移
(出所:yahoo!financeの公開データより筆者作成)
図表3に臨時雇用者マネジメントで売上高3位のUpwork社の直近の業績推移を示す。Upwork社はフリーランス等のプラットフォームを展開しており、2018年10月にNASDAQ市場に株式上場している。
Upwork社の直近の業績推移
図表3.Upwork社の直近の業績推移
(出所:yahoo!financeの公開データより筆者作成
First Advantage社も、Upwork社も1米ドル150円で換算すると、1,000億円を超える年間売上高を出しており、世界のタレントアクイジション領域の上位企業はこの売上高規模のビジネスを展開していることがわかる。
 
今後も、成長を続けると見込まれているタレントアクイジション領域の世界のHCMアプリケーションベンダーのトップ企業をウオッチしていきたい。
 
※1:Albert Pang、Misho Markovski and Aleksandra Markovska「Top 10 HCM Software Vendors, Market Size and Forecast 2024-2029」Apps Run The Worldウェブサイト(2025年/https://www.appsruntheworld.com/top-10-hcm-software-vendors-and-market-forecast/)
【執筆者プロフィール】
岩本 隆先生お顔写真

岩本 隆(いわもと たかし)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授
東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。日本モトローラ、日本ルーセント・テクノロジー、ノキア・ジャパン、ドリームインキュベータを経て、2012年6月より2022年3月まで慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授。2018年9月より2023年3月まで山形大学学術研究院産学連携教授、2022年12月より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。ICT CONNECT 21理事、日本CHRO協会理事、日本パブリックアフェアーズ協会理事、SDGs Innovation HUB理事、デジタル田園都市国家構想応援団理事、オープンバッジ・ネットワーク理事、ISO/TC 260国内審議委員会副委員長などを兼任。