マーケティング・営業戦略・広報・宣伝・クリエイティブ職専門の採用支援はマスメディアン【宣伝会議グループ】

  • HOME
  • ナレッジ
  • GEO(Generative Engine Optimization:生成エンジン最適化)

GEO(Generative Engine Optimization:生成エンジン最適化)

岩本 隆 2025.05.07

  • マーケティング
  • AI
GEO(Generative Engine Optimization:生成エンジン最適化)
ChatGPTの登場以降、ユーザーの情報取得手段が検索エンジンから生成AIへと変化しつつあります。そこでSEOに代わり注目されているのが、生成AIに正しく参照されるための新たな対策「GEO(Generative Engine Optimization)」です。企業のマーケティング戦略にも影響を及ぼし始めるGEOについて、慶應義塾大学大学院 講師の岩本隆先生に解説いただきました。(マスメディアン編集部)
OpenAIが2022年11月にChatGPTを公開して以降、生成AIの活用が急速に進展している。図表に各種サービスにおける1億ユーザー達成までにかかった時間を示す。ChatGPTは公開からわずか5日で100万ユーザーを獲得し、さらに公開から2カ月後にはユーザー数が1億人を突破するという、それまでのオンラインサービスなどと比較しても驚異的なスピードでユーザー数を拡大させている(※1)。
各種サービスにおける1億ユーザー達成までにかかった時間を示す図表
図表.各種サービスにおける1億ユーザー達成までにかかった時間
(『令和6年版 情報通信白書』を基に作成)
生成AIが出現する以前は、マーケターの重要な役割のひとつにSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)対策があったが、生成AIの活用の急速な進展により、SEO対策よりもGEO(Generative Engine Optimization)対策が重要になってきた。GEOは、インド工科大学デリー校(Indian Institute of Technology Delhi)、プリンストン大学(Princeton University)らの研究グループが2023年11月に発表した論文「GEO: Generative Engine Optimization」で提唱された(※2)。

SEOは検索エンジンのランキングアルゴリズムを対象としてキーワードや被リンクの構築などの対策を行い、ユーザーを自サイトにクリック誘導することが目的であるのに対し、GEOは生成AIの回答生成プロセスを対象としてコンテンツの網羅性・詳細性・信頼性、検索意図への合致、構造化データなどで最適化を行い、自サイトの情報を参照させてユーザーに届けることを目指す。上記論文では、以下のGEO対策をすることで最大で40%の効果改善が可能であることが示されている。

【対策1】信頼できる情報源からの引用を追加する(目的:コンテンツの信頼性を高める)
【対策2】定量的な統計情報を追加する(目的:コンテンツの説得力を高める)
【対策3】可読性を改善する(目的:読み手にとってのわかりやすさを高める)
【対策4】ユニークな単語や技術用語を使用する(目的:コンテンツの専門性を高める)

ドイツでは、2025年2月18日にGEOに関する書籍も出版され、GEO対策の実践への関心が高まっている(※3)。また、GEO対策ツールも既に市場に出始めており、GEO対策ツールのトップベンダーの1社であるAI Monitor社が2025年4月10日に、自社のWebサイトでGEOツールトップ10について公表している(※4)。

GEO対策は始まったばかりであるが、重要性が急速に高まっている。海外ではGEO対策を先行することで大きくビジネスを伸ばしている事例も増えており、日本企業にも少しでも先行してGEO対策を自社のマーケティングに取り込むことが求められる。

※1:総務省「令和6年版 情報通信白書」総務省(2024年)
※2:Pranjal Aggarwal, Vishvak Murahari, Tanmay Rajpurohit, Ashwin Kalyan, Karthik Narasimhan, Ameet Deshpande「GEO: Generative Engine Optimization」Association for Computing Machinery(2023年)
※3:René Perty「GEO (Generative Engine Optimization) – Leitfaden für KI/AI Sichtbarkeit von Websites: LLMO, AI SEO (KI SEO)AIO, GAIO (German Edition)」Visible Online Marketing(2025年)
※4:Avinash Tripathi「Generative Engine Optimization (GEO) Tools Are a Scam...Except These 10(Especially #1)」AI Monitor Webサイト(2025年/https://getaimonitor.com/top-10-generative-engine-optimization-tools/)
【執筆者プロフィール】
岩本 隆先生お顔写真

岩本 隆(いわもと たかし)
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 講師
山形大学 客員教授
東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。日本モトローラ、日本ルーセント・テクノロジー、ノキア・ジャパン、ドリームインキュベータを経て、2012年6月より2022年3月まで慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授。2018年9月より2023年3月まで山形大学学術研究院産学連携教授、2022年12月より2025年3月まで慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。2023年4月より慶應義塾大学大学院経営管理研究科講師、山形大学客員教授。ICT CONNECT 21理事、日本CHRO協会理事、日本パブリックアフェアーズ協会理事、SDGs Innovation HUB理事、日本DX地域創生応援団理事、オープンバッジ・ネットワーク理事、ISO/TC 260国内審議委員会副委員長などを兼任。