AIエージェント
岩本 隆 2025.03.19
- AI
- 人的資本経営
- 採用

2025年は「AIエージェント元年」と呼ばれており、昨今、AIエージェントの話題が沸騰している。AIエージェントとは、自律的に判断・行動し、与えられた目標を達成する人工知能システムであり、コンテンツ生成・出力に特化した生成AIとは異なり、AIエージェントは生成AIの出力を利用して、さらなるアクションを行う。
AIエージェントを開発・活用することで1人当たり生産性を飛躍的に向上させることが可能だと言われており、2024年1月にOpenAIのCEOのサム・アルトマンが、今後は「1人ユニコーン(One-person unicorn)企業」が生まれると述べ大きな話題になっている。「ユニコーン企業」とは企業価値10億米ドル以上のスタートアップ企業であり、1人で10億米ドルの価値を生み出せるということである。
人的資本経営(HCM:Human Capital Management)のためのツールは「HCMアプリケーション」と呼ばれているが、HCMアプリケーションを展開する企業においても、続々とAIエージェントが開発されており、市場にリリースされ始めた。
「Oracle Fusion Cloud Human Capital Management (HCM)」を展開するオラクルは、2024年9月11日に、「Oracle Fusion Cloud Application Suite」内で提供する50以上の役割別のAIエージェントを発表した。Oracle Fusion Cloud Human Capital Management (HCM)には、以下のAIエージェントなどが実装される(※1)。
●シフト管理アシスタント
社員のシフト・スケジュールを作成、管理、最適化し、各社員の希望やコンプライアンス規制に対応できる。例えば、スケジュール管理担当の社員が過密シフトに関する方針を把握できるよう支援し、検討すべき規制を指摘する。
●社員採用アドバイザー
組織が最適化された募集により候補者にアプローチし、採用責任者や採用担当者が求人情報を作成できるよう支援し、採用に要する時間を短縮する。例えば、新たな採用枠の正式な要請、欠員の補充、企業の方針に沿った求人の作成などを支援する。
●福利厚生アナリスト
組織が社員による福利厚生の活用を促し、社員が個人のニーズに応じて福利厚生パッケージをより深く理解し最適化できるようにする。例えば、異なる福利厚生パッケージの内容を明確にし、さらにはオプションを比較して福利厚生に関する重要な判断について理解を深められるように支援する。
「Workday HCM」などを展開するワークデイは、2024年9月17日に、リクルーターエージェント、経費管理エージェント、後継者育成エージェント、Workday最適化エージェントを発表し(※2)、2025年2月27日には、次世代ワークフォースマネジメントとなる「Agent System of Record」を発表した(※3)。
Agent System of Recordは、AIエージェントの導入から、役割と責任の定義、効果の分析、コストの予算化と予測、コンプライアンス対応、継続的な改善の促進までを効率的かつ安全に行えるよう支援し、企業全体で利用されるAIエージェントを管理する単一のシステムを提供する。
オラクルやワークデイなどのグローバル企業だけでなく、日本企業各社も人材採用や人材マネジメントの領域でのAIエージェントの開発を進めており、これから続々とさまざまなAIエージェントが市場にリリースされていくことが予想される。この領域のテクノロジーの進化は激しいため、人材採用担当者もどのようなAIエージェントが今後人材採用の現場で活用されていくのか、常時ウォッチをしておくことが必要になる。
※1:日本オラクル「オラクル、AIエージェントにより、新たな水準で組織の生産性向上を支援」日本オラクルWebサイト(2024年/https://www.oracle.com/jp/news/announcement/ocw24-oracle-ai-agents-help-organizations-achieve-new-levels-of-productivity-2024-09-11/)
※2:ワークデイ「Workday、人事や財務に関する業務プロセスを変革する新しいAIエージェントを発表」ワークデイWebサイト(2024年/https://ja-jp.newsroom.workday.com/2024-09-17-workday-announces-new-ai-agents-to-transform-hr-and-finance-processes)
※3:ワークデイ「Workday、次世代ワークフォースマネジメントとなる Agent System of Record を発表」ワークデイWebサイト(2025年/https://ja-jp.newsroom.workday.com/2025-02-11-the-next-generation-of-workforce-management-is-here-workday-unveils-new-agent-system-of-record)
AIエージェントを開発・活用することで1人当たり生産性を飛躍的に向上させることが可能だと言われており、2024年1月にOpenAIのCEOのサム・アルトマンが、今後は「1人ユニコーン(One-person unicorn)企業」が生まれると述べ大きな話題になっている。「ユニコーン企業」とは企業価値10億米ドル以上のスタートアップ企業であり、1人で10億米ドルの価値を生み出せるということである。
人的資本経営(HCM:Human Capital Management)のためのツールは「HCMアプリケーション」と呼ばれているが、HCMアプリケーションを展開する企業においても、続々とAIエージェントが開発されており、市場にリリースされ始めた。
「Oracle Fusion Cloud Human Capital Management (HCM)」を展開するオラクルは、2024年9月11日に、「Oracle Fusion Cloud Application Suite」内で提供する50以上の役割別のAIエージェントを発表した。Oracle Fusion Cloud Human Capital Management (HCM)には、以下のAIエージェントなどが実装される(※1)。
●シフト管理アシスタント
社員のシフト・スケジュールを作成、管理、最適化し、各社員の希望やコンプライアンス規制に対応できる。例えば、スケジュール管理担当の社員が過密シフトに関する方針を把握できるよう支援し、検討すべき規制を指摘する。
●社員採用アドバイザー
組織が最適化された募集により候補者にアプローチし、採用責任者や採用担当者が求人情報を作成できるよう支援し、採用に要する時間を短縮する。例えば、新たな採用枠の正式な要請、欠員の補充、企業の方針に沿った求人の作成などを支援する。
●福利厚生アナリスト
組織が社員による福利厚生の活用を促し、社員が個人のニーズに応じて福利厚生パッケージをより深く理解し最適化できるようにする。例えば、異なる福利厚生パッケージの内容を明確にし、さらにはオプションを比較して福利厚生に関する重要な判断について理解を深められるように支援する。
「Workday HCM」などを展開するワークデイは、2024年9月17日に、リクルーターエージェント、経費管理エージェント、後継者育成エージェント、Workday最適化エージェントを発表し(※2)、2025年2月27日には、次世代ワークフォースマネジメントとなる「Agent System of Record」を発表した(※3)。
Agent System of Recordは、AIエージェントの導入から、役割と責任の定義、効果の分析、コストの予算化と予測、コンプライアンス対応、継続的な改善の促進までを効率的かつ安全に行えるよう支援し、企業全体で利用されるAIエージェントを管理する単一のシステムを提供する。
オラクルやワークデイなどのグローバル企業だけでなく、日本企業各社も人材採用や人材マネジメントの領域でのAIエージェントの開発を進めており、これから続々とさまざまなAIエージェントが市場にリリースされていくことが予想される。この領域のテクノロジーの進化は激しいため、人材採用担当者もどのようなAIエージェントが今後人材採用の現場で活用されていくのか、常時ウォッチをしておくことが必要になる。
※1:日本オラクル「オラクル、AIエージェントにより、新たな水準で組織の生産性向上を支援」日本オラクルWebサイト(2024年/https://www.oracle.com/jp/news/announcement/ocw24-oracle-ai-agents-help-organizations-achieve-new-levels-of-productivity-2024-09-11/)
※2:ワークデイ「Workday、人事や財務に関する業務プロセスを変革する新しいAIエージェントを発表」ワークデイWebサイト(2024年/https://ja-jp.newsroom.workday.com/2024-09-17-workday-announces-new-ai-agents-to-transform-hr-and-finance-processes)
※3:ワークデイ「Workday、次世代ワークフォースマネジメントとなる Agent System of Record を発表」ワークデイWebサイト(2025年/https://ja-jp.newsroom.workday.com/2025-02-11-the-next-generation-of-workforce-management-is-here-workday-unveils-new-agent-system-of-record)
- 【執筆者プロフィール】
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岩本 隆(いわもと たかし)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授
東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。日本モトローラ、日本ルーセント・テクノロジー、ノキア・ジャパン、ドリームインキュベータを経て、2012年6月より2022年3月まで慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授。2018年9月より2023年3月まで山形大学学術研究院産学連携教授、2022年12月より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。ICT CONNECT 21理事、日本CHRO協会理事、日本パブリックアフェアーズ協会理事、SDGs Innovation HUB理事、デジタル田園都市国家構想応援団理事、オープンバッジ・ネットワーク理事、ISO/TC 260国内審議委員会副委員長などを兼任。