女性活躍推進法改正の方針
岩本 隆 2024.12.04
- 人的資本
- 人事
- 働き方改革
2024年8月8日に厚生労働省から「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会 報告書」が公表された(※1)。日本は海外と比べて女性の管理職比率が低く、男女の賃金格差も大きいため、情報公表の義務化による企業のさらなる取り組みを促すことなど、女性活躍推進法改正の方針が示された。2024年秋以降、厚生労働省労働政策審議会で具体策を議論し、2025年の通常国会での関連法案提出を目指す予定である。
2024年3月に公表された「女性活躍に関する調査 報告書」によると、女性活躍に関する情報公表項目数の多さと企業全体への影響の関係は、図表1に示す項目で正の相関が確認された(※2)。女性活躍推進の取り組みが生産性や人材採用力の向上にも寄与することが示唆される。
2024年3月に公表された「女性活躍に関する調査 報告書」によると、女性活躍に関する情報公表項目数の多さと企業全体への影響の関係は、図表1に示す項目で正の相関が確認された(※2)。女性活躍推進の取り組みが生産性や人材採用力の向上にも寄与することが示唆される。
「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会 報告書」の女性活躍推進法についての主なポイントは以下である。
●女性の管理職比率の開示を必須にし、男女別の登用比率についても記載を促す。
●男女の賃金差異は従業員101人以上の企業にも公表を義務付ける。
●女性特有の健康課題に関し、企業が公表する行動計画に盛り込むことを検討する。
●2025年度末までの時限法である女性活躍推進法をさらに10年間延長し、取り組みを継続する。
現行の女性活躍推進法では、女性活躍に関する公表義務については図表2に示すルールになっている。男女の賃金差異については、従業員301人以上の企業に公表義務があるが、従業員101人~300人の企業には他の項目を公表することが可能である。女性の管理職比率については、従業員101人~300人、301人以上のいずれの企業でも公表する項目として他の項目を選ぶことが可能である。2025年の女性活躍推進法の改正においては、女性の管理職比率の公表を必須化し、男女の賃金格差については従業員101人~300人の企業にも義務化する方向である。
●女性の管理職比率の開示を必須にし、男女別の登用比率についても記載を促す。
●男女の賃金差異は従業員101人以上の企業にも公表を義務付ける。
●女性特有の健康課題に関し、企業が公表する行動計画に盛り込むことを検討する。
●2025年度末までの時限法である女性活躍推進法をさらに10年間延長し、取り組みを継続する。
現行の女性活躍推進法では、女性活躍に関する公表義務については図表2に示すルールになっている。男女の賃金差異については、従業員301人以上の企業に公表義務があるが、従業員101人~300人の企業には他の項目を公表することが可能である。女性の管理職比率については、従業員101人~300人、301人以上のいずれの企業でも公表する項目として他の項目を選ぶことが可能である。2025年の女性活躍推進法の改正においては、女性の管理職比率の公表を必須化し、男女の賃金格差については従業員101人~300人の企業にも義務化する方向である。
帝国データバンクが2024年8月23日に発表した「女性登用に対する企業の意識調査(2024年)」によると、有効回答企業数1万1282社に対する調査で、女性管理職割合の平均は10.9%で、政府目標の「女性管理職30%」を達成している企業の割合は11.4%であった(※3)。女性管理職割合の平均も、「女性管理職30%」を達成している企業の割合も、過去最高の数字ではあるが、88.6%の企業は政府目標を達成していないため、さらなる女性活躍推進活動の強化が求められる。2025年の女性活躍推進法の改正が効果を発揮することを期待する。
※1:厚生労働省「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会 報告書~女性をはじめとする全ての労働者が安心して活躍できる就業環境の整備に向けて~」厚生労働省Webサイト(2024年/https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/001285696.pdf)
※2:東京海上ディーアール「『女性活躍に関する調査』報告書」厚生労働省Webサイト(2024年/https://www.mhlw.go.jp/content/11910000/001256066.pdf)
※3:帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査(2024年)」帝国データバンクWebサイト(2024年/https://www.tdb.co.jp/report/economic/8yjpiuu2-po/)
※1:厚生労働省「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会 報告書~女性をはじめとする全ての労働者が安心して活躍できる就業環境の整備に向けて~」厚生労働省Webサイト(2024年/https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/001285696.pdf)
※2:東京海上ディーアール「『女性活躍に関する調査』報告書」厚生労働省Webサイト(2024年/https://www.mhlw.go.jp/content/11910000/001256066.pdf)
※3:帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査(2024年)」帝国データバンクWebサイト(2024年/https://www.tdb.co.jp/report/economic/8yjpiuu2-po/)
- 【執筆者プロフィール】
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岩本 隆(いわもと たかし)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授
東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。日本モトローラ、日本ルーセント・テクノロジー、ノキア・ジャパン、ドリームインキュベータを経て、2012年6月より2022年3月まで慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授。2018年9月より2023年3月まで山形大学学術研究院産学連携教授、2022年12月より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。ICT CONNECT 21理事、日本CHRO協会理事、日本パブリックアフェアーズ協会理事、SDGs Innovation HUB理事、デジタル田園都市国家構想応援団理事、オープンバッジ・ネットワーク理事、ISO/TC 260国内審議委員会副委員長などを兼任。