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【第3回】人材戦略に取り入れるべき「3つの視点と5つの共通要素」─「人材版伊藤レポート」

マスメディアン編集部 2022.05.16

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【第3回】人材戦略に取り入れるべき「3つの視点と5つの共通要素」─「人材版伊藤レポート」
「中長期的な事業成長を実現するには、経営戦略と連動した人材戦略の策定・実行が必要」と「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~人材版伊藤レポート~」は提言します。同レポートでは、人材戦略は各企業のビジネスモデルを反映した個別的なものですが、各社が共通して取り入れるべき「3つの視点と5つの共通要素」も存在するとしています。共通する視点・要素について、ダイジェストでお届けします。(マスメディアン編集部)

第2回より:人的資本経営を実現するための経営陣の役割とは?

・企業理念、目標を明確化する
・経営戦略と連動した人材戦略を策定・実行する
・CHROを設置・専任し、経営トップは密接に連携をとる
・従業員・投資家に対し、積極的に発信・対話する
 

あらゆる企業の人材戦略に取り入れるべき共通要素

■人材戦略に求められる3つの視点と5つの共通要素
・人材戦略には、ビジネスモデル・経営戦略に左右されない、どんな企業にも共通する指標や要素がある
・それらは「3つの視点(Perspectives)」「5つの共通要素(Common Factors)」=「3P・5Fモデル」として整理できる

■3つの視点(Perspectives)
(1) 経営戦略と人材戦略の連動
(2) As is-To beギャップの定量把握
(3)企業文化への定着

■5つの共通要素(Common Factors)
(1) 動的な人材ポートフォリオ、個人・組織の活性化
(2) 知・経験のダイバーシティ&インクルージョン
(3) リスキル・学び直し
(4) 従業員エンゲージメント
(5) 時間や場所にとらわれない働き方
 

3P・5Fと人材戦略・ビジネスモデルとの関係

経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~人材版伊藤レポート~」より抜粋

「3つの視点(Perspective)」から、自社の人材戦略を俯瞰する

(1)経営戦略と人材戦略の連動
・経営戦略、ビジネスモデル、人材戦略がすべて連動し、持続的な企業価値の向上に資するものになっているか
・自社の経営戦略・ビジネスモデルと人材戦略がマッチしているか
・上記に基づき、具体的な戦略・アクション・KPIを考えているか

(2)As is-To beギャップの定量把握
・人材アジェンダごとにAs is-To beギャップ(現在の姿と将来像のギャップ)を定量的に把握しているか
・ステークホルダーに対して、人的資本や人材戦略について、定量的に把握・開示・発信しているか
・PDCAサイクルを通じ、人材戦略も不断に見直しをしているか

(3)企業文化への定着
・持続的な企業価値の向上につながる企業文化を定義し、定着に取り組んでいるか
・企業文化は、人材戦略の実行プロセスを通じて醸成されるという認識があるか
・企業文化の定着化に向けて、経営トップ自ら粘り強く発信しているか

■取り組みの事例
エーザイ
・企業理念の浸透度・エンゲージメントについてグローバルの全社員1万人を対象にサーベイを実施
 

あらゆる企業に必要な「5つの共通要素(Common Factors)」を踏まえて、人材戦略を策定・実行する

(1)動的な人材ポートフォリオ
・目指すべきビジネスモデルや経営戦略の実現に向けて、多様な個人が活躍できる人材ポートフォリオを構築する
・経営環境の変化に応じ、人材ポートフォリオの理想像とのギャップを迅速に埋めることが、競争力に直結する
・適所適材:経営戦略の実現という目標からバックキャストした人材要件を定義し、獲得・育成する
・適時適量:人材ポートフォリオが経営戦略と連動している状態を中長期的に保ち続けるために、経営戦略上重要な人材のパイプラインを構築する

(2)知・経験のダイバーシティ&インクルージョン
・非連続的なイノベーションの原動力となる、多様な個人が持つ経験、感性、価値観、専門性などの知と経験のダイバーシティを積極的に取り込み、具現化する
・多様な個人とは、属性(ジェンダー、国籍、…)、キャリアパス(他業界・他職種での経験)、専門分野などが多様であること
・多様性を取り込み、具現化するプロセスにもKPIを設定する

■KPI設定の事例
国内食料品メーカーD社
・グループ内外での人材交流による社員一人ひとりの視点の多様化を進める
・採用においては豊富な知見や高い専門性を有する人材をキャリア採用で獲得することを目的に、KPIを「キャリア採用者に占める割合を30%以上にする」と設定

小林製薬
・新市場創造という目標に向けたKPIとして、全売上高に占める新製品の売り上げの割合(直近1年に発売した商品で10%、直近4年に発売した商品で25%)、新製品の市場への定着(1年間に4品、市場に定着)を設定
・また、これを実現する取り組みとして、従業員の誰もがアイデアを出すことができる新製品アイデア提案制度を実施

(3)リスキル・学び直し
・個人が自律的なキャリア構築を見据えてリスキル・スキルシフト、専門性の向上に取り組めるように、企業も支援する
・特に、ITリテラシー・スキルの向上は必須。同時に、ITに代替されない人間らしさや創造性、デザインなどのスキルも一層重要になる
・経営陣も組織変革を実現するため、学び直しのカルチャーを社内に構築するとともに、自ら率先して学び直しに取り組むべき

■リスキル支援と人材採用
・リスキルを支援すると離職につながると心配する企業も多い
・しかし、汎用性の高いスキルや専門性獲得が支援される環境は、社員や社外の個人(=将来採用する可能性がある人)にとって魅力となる
・会社と個人が対等な関係を構築・維持すること、人材の流動性があることは、企業にとって生産性向上や人材ポートフォリオの充足に必要であり、中長期的な企業価値向上に貢献する

■取り組みの事例
ソニー
・50歳以上の社員(ベテラン・シニア世代)が新たなスキル獲得のために自己投資をした際に、上限10万円までの費用を補助

(4)従業員エンゲージメント
・従業員がやりがいや働きがいを感じ、主体的に業務に取り組むことができる環境をつくる
・そのためには、企業と個人が対等な関係のもと、企業・組織・個人の成長の方向性を一致させることが重要
・企業は、企業理念や経営戦略について発信・対話し、従業員の共感を獲得する
・企業と個人の間での情報の非対称性をなくすことが個人の自発性の後押しになる
・社内外を含めた多様なキャリアパス、柔軟な働き方、教育・研修の充実などによって意欲ある個人に応える

(5)時間や場所にとらわれない働き方
・事業継続・レジリエンスの観点から、時間や場所にかかわらず、安全かつ安心して働ける環境を、平時から整える
・異なる時間・空間で働く多様な個人を束ねるためには、業務プロセスの変化に合わせたマネージャー層のリーダーシップ・マネジメントスキルの向上が不可欠。マネージャーの育成・支援が鍵となる
・リモートワークでも業務が完結できるよう、業務プロセスの見直し、コミュニケーションの在り方への対応が求められる
・特に、エッセンシャルワーカーの方への対応など、リモートワーク実施のなかで顕在化した課題に対して、試行錯誤しながら対応することが重要