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【第3回】多様な働き方の導入が採用成功のカギ、制作会社の採用動向と変化─中途採用最新動向2022

マスメディアン編集部 2022.07.20

  • 中途採用
【第3回】多様な働き方の導入が採用成功のカギ、制作会社の採用動向と変化─中途採用最新動向2022
2022年の広告制作会社の採用動向について、マスメディアンのコンサルタント・荒川が解説します。
電通が発表している「2021年 日本の広告費」(*1)に表れているように、コロナ禍からの市況の回復により、これまで差し控えられていたマス広告の出稿が増え始めています。一例として、在宅勤務や巣ごもり需要に伴い、テレビCMや折込広告の出稿が回復しました。また、徐々に外出自粛要請が緩和され、人流が回復したことから短期屋外広告の出稿も増えています。

回復した受注案件に対応すべく、積極的に採用活動を再開する広告制作会社が増えています。なかでも、総合制作会社では大幅に中途採用を強化。これまで採用優先度が下げられていたグラフィック案件に対応するチームへの増員・補強の動きも見られます。

募集職種の変化:「グラフィックデザイナー・アートディレクター」「営業・プロデューサー」求人が増加

2022年の募集職種の特徴として、「グラフィックデザイナー・アートディレクター」「営業・プロデューサー」の求人が増加傾向にあります。

「グラフィックデザイナー・アートディレクター」の求人が増加した理由は2つあります。1つは、マス広告需要の回復に伴うクリエイティブチームの体制強化です。もう1つは、コロナ禍を経験したことで現在の働き方に矛盾を感じ、転職・離職する方が職種を問わず増えたためです。制作会社もその影響を受け、離職・欠員が発生したことは、求人増加の一因と言えるでしょう。

「営業・プロデューサー」の求人が増加した要因は、新規クライアントや直接取引案件の獲得に乗り出す制作会社の増加です。受注が回復し、クリエイター採用などの体制補強が完了した制作会社によく見られる動きで、なかには新たに営業部署を立ち上げる会社も見られます。こうした採用においては、広告会社の営業職のように「ビジネスプロデューサー」「プロモーションプランナー」として募集するケースもあります。

このような変化とともに求人数が増えている一方で、採用が順調に進んでいる企業は決して多くありません。制作会社だけでなく、広告業界全体、他業界も含めて採用活動が活発化しており、即戦力採用の競合が激化したためです。

即戦力の採用:柔軟で多様な働き方の実現が採用成功の鍵

これまでの傾向として、特にクリエイティブ職、なかでもデザイナーは仕事内容を重視して転職先を選ぶ傾向が強くありました。しかし、コロナ禍による在宅勤務の定着などから、働き方を重視する人が増えています。若手では職種を問わず、在宅勤務・リモートワークは大前提と考え、副業・兼業が可能かを重視する人も増えました。そのため、インハウスクリエイティブ部門の人気が高まっています。

さらに、近年、働き方だけでなくデザインも重視して経営されているテックベンチャーやEC事業会社が増えました。そうした企業は情報発信も熱心に行っており、若手クリエイターに人気です。

こうした企業との人材争奪戦を勝ち抜くため、在宅勤務・リモートワークを継続する制作会社も見られます。柔軟で多様な働き方を取り入れることや求職者の個別ニーズに応えることが、採用成功の鍵と言えるでしょう。

実例として、コロナ禍以降フルリモート前提の採用にシフトした東京の総合制作会社が、家庭の事情により東京から東北エリアへ転居を予定しているプランナー経験者の採用に成功したケースがあります。クリエイターだけでなく、営業・プロデューサー・プランナーもフルリモート勤務が可能な体制を整えていたことで、即戦力人材の採用成功につながりました。

採用の変化:人材争奪戦の激化によりポテンシャル採用を視野に

激化する人材争奪戦のなか、第2回でお話した広告会社同様、制作会社でも一部職種でポテンシャル採用に舵を切り始めました。例えば、コピーライターや編集ディレクターのように、比較的育成のスキームが整っており、短期間で指導・育成しやすい職種でポテンシャル採用が行われる傾向にあります。

特に、コピーライターは、新卒での採用数自体が少ないため、若手~中堅人材の層が薄いです。経験者のみの採用からポテンシャル採用にシフトしたある大手広告制作会社では、意欲とセンスを見極めるため、選考過程に課題制作を追加。コピーライター養成講座に通うなど、コピーライティングへの熱量を持ったポテンシャル人材の採用に成功しました。

そのほか、営業職でも、制作進行業務をメインとするプロデューサーをポテンシャル採用するケースが増えています。特に法人営業経験者を業界問わず受け入れている印象です。この場合、クライアント開拓などの事業拡大を担う営業・プランナーとは異なるポジションとして採用しています。

今後の見通し

2022年7月現在、新型コロナウイルス感染は全国的に再拡大しています。しかし、各社積極採用の動きは緩めていません。採用競合の激化は今後も続いていくと予測します。前述した在宅勤務・リモートワークなどを活用して業務を遂行できる状態を整えたうえで、どのような人材を、どのような条件で採用していくのかが一層重要となるでしょう。

*1:電通「2021年 日本の広告費」(https://www.dentsu.co.jp/news/item-cms/2022003-0224.pdf)
【執筆者プロフィール】
荒川 直哉(あらかわ なおや)

荒川 直哉(あらかわ なおや)
株式会社マスメディアン キャリアコンサルティング部 部長
国家資格キャリアコンサルタント

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。年間600名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社のマーケティング・クリエイティブ部門や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。「転職を検討している人材」と「採用企業」の両方の動向を把握しているエキスパート。転職者の親身になるがモットー。

マスメディアンでは、クリエイティブ・マーケティングをはじめプロフェッショナル人材採用に関するさまざまなご相談に応えてきました。

ご支援の事例はこちら:
「初めてデザイナーを採用するので、選考時に何を確認すればよいのかわからない」 「専任の広報担当のポジションをつくりたいが、どのような経験の方がマッチするのか知りたい」 「面接方法へのアドバイスがほしい」 など、お悩みのことがありましたらお気軽にご相談ください。
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