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【第2回】広告会社で高まるデジタル人材需要、その背景と採用成功に向けた対策とは?─中途採用最新動向2022

 2022.07.06

  • 中途採用
【第2回】広告会社で高まるデジタル人材需要、その背景と採用成功に向けた対策とは?─中途採用最新動向2022
2022年の広告会社やデジタルエージェンシーの採用動向について、マスメディアンのコンサルタント・荒川が解説します。

広告会社の動向とデジタル人材の採用市場

2022年の採用は、広告業界においても活況です。新型コロナウイルス感染拡大の影響で採用をストップしていた企業も2020年末から募集を再開。2021年9月ごろには多くの企業が募集を再開し、厚生労働省が発表する「一般職業紹介状況」の有効求人倍率(季節調整値)を見ても、ほぼ右肩上がりで上昇しています。

コロナ禍以降、採用市場には大きな変化がありました。大手広告会社を中心に、採用の注力職種がデータアナリストやデータエンジニア、デジタルマーケティングプランナー、Webメディアプランナーなどのデジタル人材に移ったのです。

背景には、加速したDX(デジタルトランスフォーメーション)の波があります。ナショナルクライアントと呼ばれる大手広告主企業から中小規模の広告主企業まで、DXの推進が必須となりました。その支援を広告会社が担うことも増えたため、従来はコンサルティング会社やシステムインテグレーターで活躍していたデジタル人材の獲得が急務になりました。

また、広告関連企業と商社や小売企業などの事業会社が組み、DX支援事業を提供する合弁会社を立ち上げるケースも複数見られます。事業における競合は激化しており、デジタル・DX人材獲得は一層難しいものとなるでしょう。

こうした状況のなかで、広告業界各社は、デジタル人材の待遇や入社後の受け入れ体制の見直しを進めています。これまで、大手広告会社の中途採用は、ほとんどが契約社員採用でしたが、各社正社員採用に切り替えました。また、グループ会社にデジタルエージェンシーやシステムに強い企業を持つ場合は、グループ一丸となって採用をするケースも見受けられます。

募集職種の動向とその背景

先述の通り、デジタル人材の採用が急がれるなか、2022年の特徴としては、営業・プロデューサーの募集増加傾向があります。

広告会社では、業務領域の拡大に伴って、クライアントの事業戦略や成長のためにアウトプットにこだわらない提案ができるビジネスプロデューサーが求められています。システム開発やビジネスデザイン領域を含めるケースも多く、これもデジタル人材採用の一環といえます。広告・マーケティング領域に限定しても、オンライン・オフライン統合のマーケティングが実現できる人材のニーズが高いです。一方で、従来型の広告営業の募集は減少しています。

また、動画クリエイターの募集も増加傾向にあります。SNSの動画広告やコネクテッドテレビの普及によるオーバー・ザ・トップ広告(OTT広告)の需要増が大きな要因ですが、テレビCMの制作ができる人材の採用も増加しています。これは、経済の回復に伴いテレビCMの出稿が徐々に持ち直し始めたことと、テレビCMの広告効果が正確に測定できるようになり、価値の見直しや「運用型化」が起こっているためです。特に、運用型化においては、費用対効果の高いクリエイティブを検討・運用するため、多くの動画制作を必要とすることから、採用による体制強化が求められます。

さらに、スペシャリスト採用志向の現れとして、募集職種を細分化する企業も出てきました。例えば、Webプランナーと大枠で募集をするのではなく、「SNSプランナー」「オウンドメディアコンサルタント」に分割する、といったものです。

デジタルエージェンシーの動向

デジタルエージェンシーでは、営業・プロデューサー、広告運用担当などの募集が積極的に行われています。特に広告運用担当の採用は活発で、異業種・異職種からの転職実例も多数見られます。特に、デジタルマーケティングのスクールに通っていたり、統計学やデータ分析に関する基礎知識を持っていたりと意欲の高いポテンシャル人材を、育成前提で採用するケースも多く見られます。

今後の見通し

今後は、やはりデジタル人材の採用動向が注視されます。現在、広告業界内にデジタル人材は多くはいません。他業界(コンサルティング業界、IT業界など)から採用する必要がありますが、その競争率は高くなっています。そこで、採用の方策や入社後に活躍してもらうための制度・業務の設計が重要な課題となります。

一例として、すでに他業界で活躍している高スキルのデジタル人材採用においては、広告業界とは年収水準が合わず、入社意向が得られない場合が多いようです。その対策として、ある広告会社では、デジタル人材はクリエイティブディレクターと同列に位置づけ、なるべく年収を合わせる工夫をしています。また、リモートワークや副業・兼業を希望する人材も多いため、個別のニーズを聞いて柔軟な働き方を取り入れる企業もありました。

そのほか、新たなコミュニケーション手法の登場にあわせて、他業界・職種の人材獲得を目指す企業も出てきています。例えば、ブロックチェーン技術者の多い金融業界や製造業界。3DCGクリエイターやモーションデザイナーが活躍するゲーム業界などです。屋外広告枠のNFT化やメタバース空間への広告出稿、デジタルヒューマン活用に向けて、先端技術に関するスキルを持つ人材に目を向け、即戦力として採用する動きも広がると考えられます。

育成を前提としたポテンシャル採用もさらに広まるでしょう。未経験者の採用では、成長意欲やコミュニケーション力を重視して採用する傾向が見られます。これは、入社後に、周囲の助けを借りながらスキル・能力を身につけ成長するために必要な姿勢や性質で、コーチングにおいては「コーチャブルな資質」と呼ばれています。

ポテンシャル人材を受け入れる場合、広告・デジタルの知識を付けてもらうために研修制度の充実化が必要です。また、グループ内にデジタル関連会社を持つ場合は、職業能力開発のための出向や、合同での研修も実施されています。
【執筆者プロフィール】
荒川 直哉(あらかわ なおや)

荒川 直哉(あらかわ なおや)
株式会社マスメディアン キャリアコンサルティング部 部長
国家資格キャリアコンサルタント

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。年間600名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社のマーケティング・クリエイティブ部門や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。「転職を検討している人材」と「採用企業」の両方の動向を把握しているエキスパート。転職者の親身になるがモットー。

マスメディアンでは、クリエイティブ・マーケティングをはじめプロフェッショナル人材採用に関するさまざまなご相談に応えてきました。

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