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広告業界の新卒採用ニューノーマル─新卒採用最新動向2022

 2022.08.03

  • 新卒採用
広告業界の新卒採用ニューノーマル─新卒採用最新動向2022
新型コロナウイルス感染症拡大以降、就職活動・採用活動のオンライン形式が定着し、様変わりした新卒採用市場。2023年4月採用および2024年4月採用の新卒採用の現状を、マスメディアンのコンサルタント・荒川が解説します。

就活生の動向

2022年8月現在、大手企業では2024年度(2024年4月入社)採用の準備が本格化しはじめ、中小企業では引き続き2023年度(2023年4月入社)採用が続いています。厚生労働省の調査によると、2022年4月に大学等を卒業する方の就職率は96.1%で、前年同月比0.2ポイント上昇となりました。

就職活動は早期化の一途を辿っており、それは、マスメディアンが運営する広告・マーケティング・クリエイティブ業界を目指す学生のための就職・就活応援サイト『マスナビ』の登録学生数の推移にも表れています。登録総数がピークを迎えた時期は、2022年度は2021年6月初旬でしたが、2023年度では2022年5月中旬でした。この推移から、内定獲得率も昨年と比べて速いペースで増えていると予想されます。

しかし、早い段階で内定を獲得しながらも、就職活動を継続する学生は多い傾向にあります。それに伴い、学生1人あたりの内定獲得数も増加しています。この背景として、就職活動・選考がオンライン化したため、内定を獲得した企業の社風や職場の雰囲気がわからず、入社を決意できない学生が増えている点が挙げられます。

情報不足に悩む学生たちは、説明会や選考の場、OB訪問といった従来の手段に加え、さまざまなメディアで情報収集をしています。例えば、採用オウンドメディアやSNSに加えて、在籍企業を明記している広告クリエイター・マーケターの個人SNSアカウントを閲覧する学生もいます。さらに、実際に働く人たちの意見を求めて、転職クチコミサイトをチェックする学生も見られます。社風や働き方を見定めるため、「働いている人のリアルな声」を求める動きが顕著となっています。

企業の動向

■2023年4月採用に見られる変化
広告・クリエイティブ業界の採用動向のトレンドの一つとして、「通年採用」の増加があります。入社予定年で区切らずに、優秀な学生と出会う機会が得られることをメリットとして導入を検討する会社が増加しているようです。

また、もう一つの傾向として「内定辞退の増加」があります。2022年度から顕著となった傾向で、マスナビにも想定以上の内定辞退による追加採用を検討したいとの相談が多数寄せられました。コロナ禍における社会情勢の不安定さから、特定業界や企業のみを志望する学生は減少。優秀層を中心に、複数企業・業界からの内定を獲得し、比較検討の上で1社に決める学生が増加しています。

ある企業では6月までに順調に選考を進め、20名弱に内定を出したものの、7月末までの時点で3分の1が内定辞退となりました。想定以上の数の内定辞退を受けて採用計画を見直さざるを得ず、年内を目処に追加での内定出しを目指すといった動きが見られます。

■採用活動の状況
コロナ禍によって採用活動にもオンライン対応が定着。しかし、2021年末から2022年5月頃にかけては新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向にあったことから、最終面接に限り対面での面接を再開する企業が増えていました。8月現在は、新型コロナウイルス感染が再拡大するなど不安定な状況は続いており、引き続きオンライン対応の継続や柔軟な選考対応が必要となります。

選考のオンライン化に伴い、美術・芸術系大学生からのデザイナー採用では、作品集の提出はデータ送付が定着。しかし、前述の通り、最終面接は対面で行う企業も増えたことから、大学の就職支援にてデータ版ポートフォリオと同時に、装丁も考慮した実物のポートフォリオの準備を推奨する動きも見られます。学生の準備状況に合わせて、データ提出と実物の持参を提示することでクリエイティブスキルやセンスを正確に把握しやすくなるでしょう。

■採用成功に向けた施策
就活生の多くが情報収集に苦心している状況を受け、採用オウンドメディアでの情報発信に注力する企業が増加しています。メディアの運営を得意とする広告・クリエイティブ業界はもちろんのこと、事業会社も注力、工夫を凝らしています。一例として、ソニーグループも2021年6月採用オウンドメディアを立ち上げました。そして、ターゲット読者である学生の視点でのコンテンツ作成をすべく、ライターの長期インターンシップ採用を実施したのです。採用メディアの強化とともに、学生との接点づくりにも成功した例と言えるでしょう。

■今後の見通し
今後の採用活動においては、従来通りの採用施策・スケジュールからの見直しが重要です。内定辞退率が今後も増加していく可能性が高いことを念頭に置き、まずは情報発信不足からの内定辞退を避けるため、学生とのリレーション構築や情報発信強化が必須となるでしょう。また、現在の広告・マーケティング・クリエイティブ業界を目指す学生のなかでも「副業・兼業」「リモートワーク」といった働き方や働く上での価値観への注目が広がっているため、柔軟な働き方を推進する企業は、その点を発信することも有効です。

また、6月までに内定を出した学生がいる企業では、想定以上の内定辞退者が出てしまった場合の対応を事前に検討しておく必要があります。媒体掲載、採用オウンドメディアでの通年採用など、状況に応じた試みが求められるでしょう。採用目標に1〜3名ほど足らずとなった場合は、成果報酬型の新卒紹介を利用するケースも見られます。採用担当者の工数を削減しつつ、求める人物像とマッチした学生のみと出会うことができる点から、少数の採用人数獲得の場合は紹介の利用がおすすめできます。マスナビにも、夏に入ってから新卒紹介を利用したいという相談をいただいています。
【執筆者プロフィール】
荒川 直哉(あらかわ なおや)

荒川 直哉(あらかわ なおや)
株式会社マスメディアン キャリアコンサルティング部 部長
国家資格キャリアコンサルタント

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。年間600名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社のマーケティング・クリエイティブ部門や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。「転職を検討している人材」と「採用企業」の両方の動向を把握しているエキスパート。転職者の親身になるがモットー。

マスメディアンでは、新卒採用・中途採用の双方で、広告業界やクリエイティブ・マーケティング人材の採用に関するさまざまなご相談に応えてきました。

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