【第1回】WorkTechの今とこれから─WorkTechとニューノーマル
岩本 隆 2021.03.16
- 働き方改革
- HRテクノロジー

2017年3月28日に「働き方改革実行計画」が働き方改革実現会議で決定されて以降、日本の企業は働き方(ワークスタイル)の改革を加速させてきた。それに加え、2019年に発生したCOVID-19(coronavirus disease 2019)によって、ワークプレイス(働く場)やワークスペース(働くスペース)のデジタル化を迫られ、デジタルワークプレイスやデジタルワークスペースを支え、かつ、ワークスタイルを改革するWorkTech(ワークテック)の市場が急成長している。WorkTechは、HRTech(人的資源(Human Resources)×テクノロジー、OfficeTech(オフィス×テクノロジー)、AccountTech(経理(Accounting)×テクノロジー)、FinTech(ファイナンス(Finance)×テクノロジー)、LegalTech(法務(Legal)×テクノロジー)など企業の中で間接部門が事業部門をサポートするテクノロジーを包含したものといえる。また、「COVID-19によって間接部門同士の連携の必要性が高まった」という声を多くの企業から聞くが、WorkTechとしてさまざまなX-Techを連携するニーズも高まっている。
WorkTechのイベントも世界で急増しており、2020年6月~7月に、英語、日本語で2回にわたって開催され、筆者も企画協力した「Grooves Work Technology Summit」(*1)には世界57カ国から2000名を超える参加者があり、大きな盛り上がりを見せた。また、英国のUnwired Ventures社が、さまざまな場所でWorkTechのイベントを開催しており、WorkTechイベントの2020年版である「WORKTECH™20」(「WORKTECH」はUnwire Venturesの登録商標)は、インド(ベンガルール)、スペイン(マドリード)、ニュージーランド、デンマーク(コペンハーゲン)、オーストラリア(シドニー)、日本(東京)、米国(ロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ)、イタリア(ミラノ)、メキシコ(メキシコシティ)、ドイツ(ミュンヘン)、エクアドル(キト)、シンガポール、スイス、コロンビア(ボゴタ)、ペルー(リマ)、フランス(パリ)、アルゼンチン(ブエノスアイレス)、チリ(サンティアゴ)、カナダ(トロント)、英国(ロンドン)、香港などで開催された。
WorkTechを活用してワークプレイスやワークスペースがデジタル化することで、働き方改革が異なる次元で進み、一時的なものではなく恒久的な「ニューノーマルな働き方」の構築に取り組む企業も増加してきた。例えば、日立製作所は、日立グループ30万人の従業員に対してWorkTechを用いたニューノーマルな働き方に取り組んでおり、その取り組みで培ったノウハウやテクノロジーの外部への販売を開始することを2020年11月25日に発表した(*2)。図表1に日立製作所の「ニューノーマルな働き方を支援するサービス」の概念図を示す。従業員の職種やペルソナに応じて選択可能なサブスクリプションサービスであり、ワークスペースについては、自宅やオフィスなど場所に依存せずストレスなく快適に働けるIT(Information Technology:情報技術)環境を提供し、ワークプレイスについては、データ活用によりオフィス空間の再設計と価値の最大化を提案し、従業員の生産性の最大化を目指す。
WorkTechのイベントも世界で急増しており、2020年6月~7月に、英語、日本語で2回にわたって開催され、筆者も企画協力した「Grooves Work Technology Summit」(*1)には世界57カ国から2000名を超える参加者があり、大きな盛り上がりを見せた。また、英国のUnwired Ventures社が、さまざまな場所でWorkTechのイベントを開催しており、WorkTechイベントの2020年版である「WORKTECH™20」(「WORKTECH」はUnwire Venturesの登録商標)は、インド(ベンガルール)、スペイン(マドリード)、ニュージーランド、デンマーク(コペンハーゲン)、オーストラリア(シドニー)、日本(東京)、米国(ロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ)、イタリア(ミラノ)、メキシコ(メキシコシティ)、ドイツ(ミュンヘン)、エクアドル(キト)、シンガポール、スイス、コロンビア(ボゴタ)、ペルー(リマ)、フランス(パリ)、アルゼンチン(ブエノスアイレス)、チリ(サンティアゴ)、カナダ(トロント)、英国(ロンドン)、香港などで開催された。
WorkTechを活用してワークプレイスやワークスペースがデジタル化することで、働き方改革が異なる次元で進み、一時的なものではなく恒久的な「ニューノーマルな働き方」の構築に取り組む企業も増加してきた。例えば、日立製作所は、日立グループ30万人の従業員に対してWorkTechを用いたニューノーマルな働き方に取り組んでおり、その取り組みで培ったノウハウやテクノロジーの外部への販売を開始することを2020年11月25日に発表した(*2)。図表1に日立製作所の「ニューノーマルな働き方を支援するサービス」の概念図を示す。従業員の職種やペルソナに応じて選択可能なサブスクリプションサービスであり、ワークスペースについては、自宅やオフィスなど場所に依存せずストレスなく快適に働けるIT(Information Technology:情報技術)環境を提供し、ワークプレイスについては、データ活用によりオフィス空間の再設計と価値の最大化を提案し、従業員の生産性の最大化を目指す。

本サービスは、さまざまなテクノロジーを連携したWorkTechとして提供されており、具体的には、「セキュリティPC2.0サービス」、「Microsoft Teams®活用シナリオ作成支援サービス/Microsoft Teams®向けアプリケーション活用サービス」(「Microsoft Teams」はMicrosoftの登録商標)、「1on1 PoC(Proof of Concept)向け日立人財データ分析ソリューション」、「商談先レコメンドサービス(AI活用)」などを連携している。
WorkTechは新卒社員研修でも活用されている。2020年に開催された筆者が審査委員長を務める「第5回 HRテクノロジー大賞」では、楽天が「新卒社員の成長を止めない、垂直立上を実現した教育プラットフォーム」で特別賞を受賞した。楽天は、約1カ月という短期間に最大750名が参加する新卒社員研修のオンライン・リモート化を実現するなど、困難な状況にさまざまなテクノロジーを活用して柔軟・迅速に対応した。受講者の理解習熟度やエンゲージメントデータの収集・解析などもオンラインで行い、受講管理もリモート環境下で行う体制を構築することで、時間・場所の制限を超えたニューノーマルな研修の仕組みを構築した。
*1:https://worktechsummit.com/
*2:https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2020/11/1125.html
WorkTechは新卒社員研修でも活用されている。2020年に開催された筆者が審査委員長を務める「第5回 HRテクノロジー大賞」では、楽天が「新卒社員の成長を止めない、垂直立上を実現した教育プラットフォーム」で特別賞を受賞した。楽天は、約1カ月という短期間に最大750名が参加する新卒社員研修のオンライン・リモート化を実現するなど、困難な状況にさまざまなテクノロジーを活用して柔軟・迅速に対応した。受講者の理解習熟度やエンゲージメントデータの収集・解析などもオンラインで行い、受講管理もリモート環境下で行う体制を構築することで、時間・場所の制限を超えたニューノーマルな研修の仕組みを構築した。
*1:https://worktechsummit.com/
*2:https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2020/11/1125.html
- 【執筆者プロフィール】
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岩本 隆(いわもと たかし)
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授
東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。日本モトローラ、日本ルーセント・テクノロジー、ノキア・ジャパン、ドリームインキュベータを経て、2012年6月より、慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授。ICT CONNECT 21理事、日本CHRO協会理事、日本パブリックアフェアーズ協会理事、SDGs Innovation HUB理事、「HRテクノロジー大賞」審査委員長などを兼任。