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手法の多様化と早期化が進む新卒採用、成功のカギは?―新卒採用最新動向2023

 2023.07.19

  • 新卒採用
手法の多様化と早期化が進む新卒採用、成功のカギは?―新卒採用最新動向2023
就職活動・採用活動のオンライン化や本格的なインターンシップ実施企業の増加など、変化の続く新卒採用市場。2024年度採用の状況とともに、2025年度採用の現状と見通しを、マスメディアンの新卒採用コンサルタント・加藤が解説します。

前回記事の振り返り:学生の企業選びのポイント

2024年度(2024年4月入社)採用以降、企業選びにおいて、「自分に合った仕事や社風の会社で働きたい、そのために慎重に企業を選びたい」と考える学生が増加傾向にあります。こうした学生は、コロナ禍の影響により先輩や同期とのつながりが薄く、情報収集に苦労しています。また、各種サイトやSNSに情報があふれているからこそ、企業規模や売上金額といった客観的な数字よりも、「入社後に自分がどんな仕事や働き方ができるか」がわかる情報を求めています。

>詳細は前回の記事をご覧ください。

企業の動向

2023年7月現在、広告業界の新卒採用活動は活況です。2021年度、2022年度の採用活動は、コロナ禍の影響を受け、多くの企業で採用活動が縮小・停滞しました。しかし、2023年度からは再開し、2024年度採用は、売り手市場に転じています。

厚生労働省が公表した、2023年5月の「労働経済動向調査(※1)」では、2024年度の採用計画において、大学卒(文系・理系)採用者数を「増やす」と回答した企業の割合が前年同月を上回りました。その理由としては、「基幹業務を担う人材の確保」に加え、「前年の新卒採用で十分な人数を採用できなかった」ことが挙げられています。

2025年も同様に活況が見込まれる中で、広告業界各社は、採用活動を早期化させています。優秀な学生と接点を持ち、採用につなげるためです。

政府の要請による就活ルールでは、2024年度の新卒採用活動は、以下のようなスケジュールでした。2025年度も同様であると見込まれています。
・エントリー受付開始:卒業・終了年度に入る直前の3月1日以降
・面接などの選考実施:卒業・終了年度の5月1日以降
・正式な内定通知の開始:卒業・終了年度の10月1日以降

一方、これまでの広告業界の実態としては、以下のようなスケジュールが中心でした。
・エントリー受付開始:卒業・終了年度に入る直前の1月~2月
・面接などの選考開始:卒業・終了年度の3~4月
・内々定通知の開始:卒業・終了年度の5月頃

そして、2024年度採用以降は、さらにスケジュールが早まっています。大手~中堅広告会社を中心に、学生が3年生の9~12月に選考・内々定通知をする早期選考が増加しています。この場合、内々定を辞退する学生がいることを見込んで、3年生の1月以降に二次募集を行う企業も多いです。

中小企業の場合は、内定辞退者の数を抑え、採用工数を最小限にするために、従来どおり3月以降に採用選考を実施することも多いようです。その場合でも、応募受付の開始時期を2~3週間前倒しにし、少しでも早く学生との接点を持とうとする動きが見られます。

2025年度採用で注目すべき変化

(1)早期化を後押しする「インターンシップの新ルール」
2025年度の新卒採用における最大の変化は、採用直結型のインターンシップが公認されたことです。一定の条件を満たせば、インターンシップを通じて得られた学生の情報を採用選考活動に使用することが可能になりました。
インターンシップの類型(※2)
広告業界でも、電通など大手広告会社は、夏季インターンシップに参加した学生からの選考実施を公にしています。夏季インターンシップの時期は、まだ志望業界を固めていない学生も多くいます。学生にとっては自分のアイデアや発想力を試す機会、企業にとっては学生に広告業界の魅力を伝え、自社への関心を高める機会です。そのため、第一線で活躍するクリエイターやプランナーを講師としてアサインするなど、各社工夫を凝らしたカリキュラムを準備しています。

また、中堅企業・中小企業からも、新たにインターンシップを開始したり、募集人数や回数を増やしたりする企業が出てきています。内容は1日完結の仕事体験から長期インターンシップ、選考直結型などさまざまです。

(2)採用手法の多様化
コロナ禍以降、採用活動がオンラインにシフトしました。2021年度・2022年度採用では、説明会から面接まで完全にオンライン化した企業も多かったものの、2023年7月現在は、シーン・目的に応じて、オンラインとオフラインが併用されるようになっています。たとえば、説明会はより多くの学生に参加してもらえるようオンラインで実施、面接は学生の雰囲気を知るためにオフライン(対面)で実施する、という形です。

オンライン化の影響で、さまざまな採用手法が新たに取り入れられ始めています。最近、普及した手法としては、ダイレクトリクルーティング、オウンドメディアリクルーティング、新卒紹介などがあります。広告業界各社も、これらの手法から自社に合うものを模索しています。

中でもよく活用されているのがダイレクトリクルーティング。学生が登録しているプロフィールや自己アピールなどの情報を採用担当者が閲覧し、直接スカウトメッセージを送ることができるサービスです。

メリットは、採用要件に合った学生にピンポイントでアプローチできること。また、成功報酬型が多いため、費用コスト削減も期待できます。特に、「データサイエンスやテクノロジーに強く、広告に興味を持っている理系学生」「ものづくりが好きで、広告クリエイティブに興味がある美大生」など、採用ターゲットが具体的になっている場合は、効率よくアプローチができます。また、スカウトメールの開封率を高めるには試行錯誤が必要ですが、社内にノウハウが貯まれば、より効果を得やすくなります。

その反面、プロフィールの閲覧、スカウトメール作成、レスポンスがあった場合の学生対応など、採用担当者の工夫と労力を要する点は留意が必要です。ダイレクトリクルーティングのみで新卒採用活動をしたある企業では、1000通以上のスカウトメールを送ったものの反応率が1%程度に留まったといいます。このように、場合によっては、採用担当者の工数だけが掛かってしまい、ナビサイトの方が費用対効果が高くなることもあります。

多様な手法がありますが、目的(リーチしたい学生の属性、人数)と、採用にかけられるコストや工数から、どれを選択すべきか判断しましょう。

2025年度の採用成功に向けて

広告業界の大手企業に始まり、中堅企業でも、採用直結型インターンシップや早期選考を実施する企業が増えつつあります。それに伴って学生の動きにも変化があります。採用を成功させるためには、求める学生像を固め、その動きや志向を知ったうえで、どんな施策を取るべきか考えましょう。

(1)採用スケジュール
まずは、採用スケジュールの見直しをしましょう。優秀な学生とより多くの接点を持つためには、早期に動き出すことが重要です。秋季・冬季インターンシップを行っている企業は、夏季に前倒しすることで、母集団形成につながりやすくなります。

また、合同就活イベント・合同説明会に出展する場合は、選考またはインターン応募開始の1カ月前を目安に参加することをおすすめします。そのタイミングであれば、学生は、イベントで接点を持った企業への興味や応募意向を保ち、十分な企業研究をした上で選考に応募できます。

早期選考をしない場合も、ターゲットとなる学生が積極的に動く時期を見定め、採用活動の時期を決めることが重要です。大手企業が公開している選考スケジュールが、学生の動きの参考になります。

(2)施策・手法
認知獲得が課題・目的である場合は、就活ナビサイトや合同就活イベントを活用するのが良いでしょう。ナビサイトの選び方は、直近数年の内定者や新入社員に「就職活動時によく見ていたメディア」を聞いて、そこに出稿・掲載するのがおすすめです。マスナビでも、「優秀な新入社員に活用していたサイトを聞いたところ、マスナビと言っていた」という企業からの問い合わせがありました。

企業理解の促進が目的の場合は、新しい手を打つ前に、まずは既存の情報発信の内容・方法を学生目線で見直すことを勧めます。学生が気にしているポイントは、前回記事の通り、「入社後に自分がどんな仕事や働き方ができるか」です。また、学生にとって広告業界の仕事は、想像以上にイメージしづらいものです。業務内容は丁寧に伝えましょう。他にも伝え漏れているアピールポイントがないか、見直すことも大切です。

また、内定辞退者が出てしまった場合の対応も検討しておく必要があります。「比較検討して、自分に合う企業を選びたい」と考える学生が多いため、内定辞退は一定数発生します。再募集の際には、「新卒紹介」を利用するのもひとつです。採用担当者の工数を抑え、求める人物像とマッチした学生との面接をスピーディーに設定できます。

おわりに

新卒採用において、どのような採用手法があるのかを知り、スケジュールから逆算して施策を行うことが、求める人物像の学生を採用するための第一歩となります。マスナビでは、合同企業説明会の主催、単独企業説明会の運営代行をはじめ、さまざまな方法での新卒採用を支援してきたため、ノウハウを提供できます。募集方法から会社説明会の内容まで、ぜひご相談ください。

外部合同就活イベントの活用を考えている採用担当者さまへ

マスナビでは、早期選考・冬季インターンを予定する企業のために、2025年度採用の合同企業説明会を2023年11月にオンラインで開催します。

例年、広告・マスコミ・IT業界の企業の採用担当が一堂に集結する合同企業説明会を行っており、2024年度の学生向けには2023年2月に実施。2日間の開催で、予約数は約900件となりました。総合系の合同企業説明会と比較すると参加人数は少ないですが、広告・マスコミ・IT業界への志望度が高い学生が参加しているのが特徴です。

大手企業から中小企業まで幅広く参加しており、企業規模を問わず満足の声をいただいています。「広告業界内では有名だが、学生からの認知度は高くない」という課題を持つある中小企業が登壇した際には、社長が直々に自社のビジョンや仕事を説明したことで学生の心を捉え、想定以上の応募獲得につながったこともありました。

参加した学生へのアンケートからは、「マスコミ志望だったが、合説に参加して広告プロデューサーの面白さを学び、広告会社志望になった」「大手企業目当てで参加したが、SP会社の説明を聞き、仕事の面白さにひかれて応募を決めた」といった声が見られます。

ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせください。
 
新卒採用に関するご相談はこちら

※1:厚生労働省「労働経済動向調査(令和5年5月)の概況」(2023年6月23日発表)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2305/dl/1gaiyo.pdf
※2:採用と大学教育の未来に関する産学協議会「採用と大学教育の未来に関する産学協議会 2021年度報告書『産学協働による自律的なキャリア形成の推進』」(2022年4月18日)に基づきマスメディアンにて作成
https://www.janu.jp/wp/wp-content/uploads/2022/04/20220418-wnew-sangakukyogikai2.pdf
【執筆者プロフィール】
加藤 巧恭(かとう こうすけ)

加藤 巧恭(かとう こうすけ)
株式会社マスメディアン マスナビ事業責任者
国家資格キャリアコンサルタント

広告・マスコミ・IT業界を目指す学生向け就活支援サービス「マスナビ」の事業責任者。広告・マーケティング・クリエイティブ職種専門の採用コンサルタントでもあり、100社を超える企業の支援実績を持つ。採用担当の立場を理解した提案をモットーに、自社の新卒採用担当の経験も活かし、本当に採用企業のためになる提案をする。

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