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難しいインハウスクリエイター採用、成功に導くための極意を解説!

 2022.06.01

  • 採用ノウハウ
難しいインハウスクリエイター採用、成功に導くための極意を解説!
「初めてデザイナーを採用したいけど、どのようなデザイナーを採用すればよいのかわからない」「デザイナーを採用したが、ミスマッチで短期退職となってしまった。どうすれば防げたのだろう」……。そんな悩みにマスメディアンのコンサルタント・荒川がお答えします。2022年のクリエイティブ採用最新動向とともに、クリエイターの採用を成功に導くためのポイントを解説します。

「デザインを内製化する」って、実際どういうこと?

マーケティングやクリエイティブを専門とする社員を採用する会社が増加している理由は、大きく分けて2つあります。

【1】企業のブランドや価値観を表現するため
あらゆる分野でのコモディティ化が進み、また情報があふれる世の中においては、マーケティングやクリエイティブは単に商品を売るための活動ではなく、商品そのものの価値に代わるコア・コンピタンス(優位性)となり得るポテンシャルを秘めています。地球環境を配慮した「エシカル消費」への注目や、企業のSDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりも、この流れのなかにあります。そのため、企業の理念やブランドの世界観を「自分ごと」として捉えて理解し、表現できる社内クリエイターが必要であると考える企業が増えています。

【2】制作のコストダウンやスピードアップ
これまで外注先に支払っていた莫大な制作費を社員クリエイターが制作することでコストダウンを図る企業、社内からの急な制作依頼にも柔軟に対応できるように社内体制を整えるためにクリエイターを社員化する企業、売り上げなどの社内データをもとに制作物を日々改善するためにクリエイターを採用する企業も増えています。

このように、クリエイターを社員化する目的も会社によってまったく違います。初めてクリエイターを採用するにあたっては、まず採用の目的を明確にし、社内での合意をつくりましょう。採用成功するためには、任せたい業務と、候補者の経験・スキル・志向が一致していることが不可欠です。社内と、また候補者とコミュニケーションを取り、ギャップがないかを注意深く見極めましょう。

2022年のクリエイティブ採用動向

【1】インハウスクリエイティブ人材の採用は一層加速しています
SaaS系ベンチャー企業を中心に、創業初期の段階からデザインを重視し、内製化に取り組む企業が増加しています。また、リモート化・DXの進展で需要増となった企業が、今後のさらなる事業成長のためにデザインに注力すべくクリエイターを採用するケースも多く見られます。事業会社での就業を希望する候補者にとって、選択肢が広がっている状況と言えるでしょう。候補者が複数企業の選考を並行して受けていることを想定した選考の進行が重要となります。

【2】選考はスピードが重要です
オンライン面接が定着し、選考スピードは格段に上がっています。インハウスクリエイティブ人材の採用ニーズが一層増えていることからも、他社選考状況を意識しながら、合否の連絡や次回面接調整のスピードとタイミングを見定めることが重要です。

【3】企業のビジョンも発信しましょう
クリエイティブ人材にとっても、企業のSDGsやダイバーシティ&インクルージョンへの姿勢や取り組みは、着目するポイントのひとつです。社会に対してどのような存在意義を掲げ、行動しているか。いかに多様性を尊重し、個の強みを活かしているか。候補者とビジョン・考え方を開示し合うことで、より深いカルチャーマッチを図ることができます。

採用成功のポイント

企業の魅力を感じてもらいながら、入社後のギャップを防ぐためのポイントをご紹介します。

【1】任せたい仕事内容と配属部門は明確にしましょう
これまでにない新しい職域で社員を採用する際には、会社のトップと、関係部門のトップが採用の意義を理解し、そのポジションの役割を社内に周知する必要があります。「自社ブランドのリブランディングを任せたい」「営業部がクライアントに持っていく提案資料をきれいにつくってほしい」「新しく立ち上げるWebメディアのディレクションをしてほしい」……など、できる限り具体的に定めましょう。

また、部門責任者を採用したい場合は、社長や経営層直下に部門を新設しての採用やCDOなど経営レベルとしての採用も視野に入れましょう。入社後に並走し、ともに責任を担い、評価するのは誰かを明確にしておくことも必要です。

【2】 「採用市場」ではなく、目の前の候補者を大切に
「売り手市場」「買い手市場」という言葉がありますが、採用は一期一会。また、デジタル人材は採用市場の傾向によらず、採用したい企業が多い職域です。他候補者との比較ではなく、「この候補者が入社したら、どのような新しい価値が生まれるか?」を基準に採用するか・しないかを検討しましょう。

【3】 お互いに入社後のイメージができるまで、とことん話し合いましょう
受託制作側(広告会社や制作会社)から事業会社(広告クリエイティブの受託制作以外の事業を行う企業)へ転職すると、クリエイティブ職種の働き方や役割は大きく変わります。受託制作側では、「広告をつくること」が事業ドメインのため、クリエイターは会社の中心的な立ち位置にいます。一方、事業会社では、自社サービス・商品の売り上げに直結する部門が会社の中心になり、クリエイターは事業ドメインをサポートする立場に変わります。場合によっては、広告をつくる「クリエイター」から、広告が広告主の意図通りに制作されるよう調整業務を行う「プロデューサー」に近い働き方になることもあります。

また、事業会社では、制作物が会社の売り上げにどうつながるのかを常に問われます。クリエイターの志向によっては、会社の方針や求められる業務内容に沿った制作が難しい場合もあります。選考を通して自社が「何をしてほしいのか」を伝えるとともに、候補者が「何がしたいのか」を聞き出し、相互理解を深めましょう。

【4】迷ったら、専門家への相談も
個々のクリエイターの資質や得意領域を正確に見定めるには、プロの目を通すのが一番です。判断に悩んでしまった際に相談できるクリエイターや採用コンサルタントが社内外にいると、よいアドバイスをもらえるでしょう。相談役を確保しておくのも、採用成功への手段のひとつです。人事、事業責任者や部門長、専門家などの相談役、それぞれの視点を交えて採用の方向性を判断しましょう。

書類選考、どこを見る?

【1】ポートフォリオ(作品集)はキャプションまで読み込みましょう
クリエイターは専門職です。そのため、応募の段階で、履歴書と職務経歴書とともに、これまで担当した作品(制作物)をまとめたポートフォリオを提出してもらいます。初めてポートフォリオを見る際には、わからない内容があって当然です。疑問点や不明点は面接で質問して確認しましょう。また、社内にデザイナーやクリエイティブに知見のある社員がいる場合は、目を通してもらうのもよいでしょう。
ポートフォリオの例
ポートフォリオ(例)
キャプションもチェックしましょう。キャプションとは作品や制作の過程の説明書きのことです。それを読めば、ビジネスパーソンとしての視点を持っているかもわかります。例えば、「クライアントの課題→課題解決のためのアイデア→それを作品に落とし込んだ方法」という記載があれば、自社でも同じように課題解決志向で制作をしてくれるだろう、と期待ができます。

【2】広告業界経験者の転職回数は3~5社で普通です
広告業界では、スキルアップのための転職が通例化しています。会社ごとに「Web制作が得意」「マス広告が得意」「ダイレクトマーケティングが得意」などさまざまな得意分野があり、その領域をやりきったと思えたら、新しい挑戦をするために転職をするのが当たり前だからです。経験社数ではなく、転職した理由や、転職して得られたスキル・経験を面接で聞いて判断しましょう。

面接、ここに注意しよう

【1】まずは自社を説明しましょう
採用成功の一番のポイントは、相互理解です。畑違いの会社のビジネスモデルは、思っている以上にイメージがつきにくいもの。面接では、自社を説明する時間もつくり、企業理解を深めてもらいましょう。会社説明のスライドをつくるのもおすすめです。

また、早い段階で自社の就業環境についても説明しましょう。「在宅・リモート勤務が可能」などの就業環境・勤務体制を重視する候補者も増えました。「コロナ感染症対策として、緊急事態宣言が出ている間は在宅・リモート勤務可」などの条件があるケースでは、その基準も明確にしておきましょう。

【2】採用意図をしっかりと伝えましょう
どれほどすぐれた人材を採用できても、任せる業務内容と、本人のスキルや志向が食い違えば、短期離職につながってしまいます。「ブランドの価値観を伝える」「セミナーに集客する」「セール情報を発信する」……など、クリエイティブの目的は多岐にわたります。任せたい業務内容は詳しく伝えましょう。そうすることで、候補者から業務に活かせるスキルや経験を聞き出せます。候補者が採用の目的を理解し、共感できるかどうか、またその課題解決にどのように貢献できるかを確認しましょう。

【3】ポートフォリオをプレゼンする時間を取りましょう
自己紹介や経歴の説明と併せて、ポートフォリオを説明するプレゼンテーションの時間も設けましょう。制作の経緯や過程は、出来栄えと同じくらい大切です。また、広告制作には大人数が関わるため、候補者が担当した範囲を見極める必要があります。「この作品のコンセプトを教えてください」「この作品はどのような手順で制作したのですか?」「この作品で関わったところはどこですか?」などと質問をしてみるのも効果的です。

【4】候補者が話しやすい環境をつくりましょう
候補者が話しやすい環境をつくることも、スキルや経験の見極めに役立ちます。例えば、対面での面接の場合、面接官と候補者の座る位置が離れすぎないようにしましょう。感染症対策など必要な対策は取りつつ、一つのポートフォリオを一緒に見ながら話せる距離感が理想です。

【5】対面・オンラインをうまく使い分けましょう
画面共有機能を用いて会社説明・ポートフォリオの説明ができるなど、オンライン面接のメリットは多くあります。Webクリエイターの面接では、候補者の制作サイトを実際に見ながら、詳細な担当範囲やスキルを確認することも可能でしょう。また、カジュアル面談などの短時間かつ気軽な情報交換の場も設けやすくなりました。

一方で、オフィスの様子や環境、互いの細かな表情や雰囲気は、対面のほうが汲み取りやすくなります。採用スケジュールや候補者の他社選考状況を踏まえながら、対面とオンライン両方の特性を活かして柔軟に対応しましょう。

内定後から入社直前、どこに気をつける?

【1】一度は訪問してもらうことをおすすめします
先述の通り、オンライン面接で選考が完結する会社も増加しました。しかし、転職希望者は、これから働く会社を一度は足を運び、社風や社員のことを知りたいと思っているものです。内定を通知する際に、感染症対策は万全にした上で、条件提示面談やオフィスツアーも同時に実施するとよいでしょう。

【2】現場社員による面談を実施しましょう
一緒に働く予定の社員と話す機会をつくることをおすすめします。「働くイメージが具体的になった」と感じる候補者も多く、内定承諾の判断材料になることはもちろんですが、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。

【3】内定承諾後のフォローアップも大切です
優秀な人材ほど現職からの引き留めに遭いやすく、また他の企業から内定をもらうケースも多くなります。退職交渉の進捗を確認する、簡単な面談を実施する、社内報を送るなど、コミュニケーションを取り続けるよう心がけましょう。

まとめ

●採用の目的をしっかりと社内で練り、候補者にも伝えましょう。
●選考の際には、候補者の志向やスキル・経験とともに、自社の事業内容や任せたい業務についての理解・共感があるかどうかも見極めましょう。
●採用要件の策定から面接など選考フェーズに至るまで、あらゆるシーンで柔軟な対応を検討しましょう。
【執筆者プロフィール】
荒川 直哉(あらかわ なおや)

荒川 直哉(あらかわ なおや)
株式会社マスメディアン キャリアコンサルティング部 部長
国家資格キャリアコンサルタント

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。年間600名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社のマーケティング・クリエイティブ部門や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。「転職を検討している人材」と「採用企業」の両方の動向を把握しているエキスパート。転職者の親身になるがモットー。

マスメディアンでは、クリエイティブ・マーケティングをはじめプロフェッショナル人材採用に関するさまざまなご相談に応えてきました。

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