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「一緒に仕事をしている人に評価してほしい」社員の声に応える制作会社の人事制度─株式会社ステッチ

マスメディアン編集部 2022.04.20

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「一緒に仕事をしている人に評価してほしい」社員の声に応える制作会社の人事制度─株式会社ステッチ
広告・Web制作を手掛けるステッチでは、社員数の増加を契機として、2019年度に独自の人事評価制度を導入しました。プロデューサー・クリエイター・エンジニアなどさまざまな職種の社員が在籍する同社では、自社の業務を反映した人事評価シートを作成。シートに基づいて自己評価とチームリーダーによる評価を行い、それらを統合して評価を決定しています。導入の経緯や活用方法、現在の課題について、ステッチ 執行役員の高瀬 理恵さん、宮田 雄斗さんにお話を伺いました。

企業データ

【企業名】株式会社ステッチ
【代表者】細谷 洋平
【設立日】1997年6月
【社員数】48名(2022年2月時点)
【事業内容】
広告制作、Web制作・保守運用を中心に、プロモーションを企画からクリエイティブまで一貫して手掛ける制作会社。
AIを利用したサービス開発、地域活性化事業にも取り組む。

【組織構成】
・プロデューサー:20名程度
・制作チーム(グラフィックデザイナー・Webデザイナーなど):20名程度
・エンジニア:10名
・総務・バックオフィス:若干名
業務管理は、職種別のチーム単位(6~7名程度)で行う。
実務にあたっては、職種横断のプロジェクトチームをプロジェクトごとに組成。
 

人事評価制度について

──評価制度の概要
宮田:評価制度の概要は、以下の5点です。
(1) 評価のサイクル:年1回で実施。
(2) 自己評価:「人事面談シート」を記入し、自分の等級とミッション達成度を自己評価します。
(3) チームリーダーによる評価:1対1で評価面談を実施し、自己評価とチームリーダーの評価をすり合わせます。
(4) チームリーダー会議:等級はチームリーダーと社長の会議で最終決定され、それに基づいて次年度の給与が決まります。
(5) フィードバック:査定決定後は、各メンバーに1対1でフィードバックをします。

──評価制度を導入した理由
高瀬:評価の平等性を保つのが目的です。この評価制度を導入したのは2年前で、それ以前は全社員を社長が評価していました。しかし、社員数が増えるにつれて、職種や役割によって不平等に感じる社員の声を聞きました。

例えば、プロデューサーチームは業務において社長と話す機会が多くあり、社長も各メンバーの仕事を把握していたのですが、制作チームは接点があまりありません。そのため、「自分の仕事内容やスキルを知っている人に評価してほしい」、「評価に実際の仕事ぶりが反映されておらず、給与面談でのアピールが上手い人が評価されている」といった不満を抱える社員がいました。

宮田:こうした不公平感は離職の一因にもなっていたため、改善が必要でした。そのため、チームリーダーが評価担当者となり、日頃から仕事ぶりを知っているチームメンバーを評価するという体制をつくりました。

この制度の導入にあたっては、等級制度と評価シートを社長が用意。さらに、社長と私たち執行役員2名が中心となってブラッシュアップし、現在の形になりました。

「人事面談シート」と等級制度の詳細

──「人事面談シート」と等級制度について
宮田:人事面談シートは、大きく分けて、「数字的評価」「能力的評価」「総合評価」の3つに分かれています。

「数字的評価」には、1年間で担当したプロジェクトの金額の総額を記入します。貢献度や役割に関わらず、自分が関わった案件の売り上げや粗利をすべて記載します。また、貢献度についてはチームリーダーが判断し、評価に反映します。

「能力的評価」は、等級と連動しており、職種によらない能力や、1年間での会社への貢献度をはかるものです。指標は職種を問わず共通で、「チームワーク」「稼ぐ力」「想像する力」「コミュニケーション力」「きちんと働く力」という5つの能力に分けています。5つの能力は細かい要素に分解していますが、等級によって要素が異なります。

記入にあたっては、まず、自分がどの等級にあてはまるのか自己評価します。そのうえで、各指標についての達成度を記入します。そして、チームリーダーとの面談で、チームリーダーによる評価とすり合わせをします。

高瀬:等級は、「能力的評価」によって決定します。職種を問わず、アソシエイトからシニアディレクターまでの4段階に区分しています。一般社員は、自分の等級は知っていますが、自分以外の社員の等級は知りません。

「総合評価」では、上記2つの評価項目についての所感を書き、総合的評価をします。また、前年度に決めた「ミッション」の振り返りもします。ミッションとは、業務に関連して各自が自由に立てる目標のことです。合わせて、来期のミッションも決めます。

──チームリーダーによる評価
高瀬:チームリーダーは、自己評価をもとに、各チーム員の評価も行います。実際に評価を担当してみて、一人で担当できるのは現状の6~7名が限界だと感じています。

チームリーダーは、各メンバーが参加した各案件への貢献度を判断するとともに、チームリーダーの目から見た評価をメンバーの「人事面談シート」に記入します。そのシートに基づき、1対1の評価面談を実施。自己評価とチームリーダーからの評価をすり合わせます。来年の目標などの相談にも乗ります。

その後、チームリーダー全員と社長で会議を行い、社内でのバランスを調整。ここで社員全員の評価、つまり次年度の給与が決定します。

査定決定後は、各メンバーに1対1でフィードバックをします。これまでのところ、大きな不満は出ていないのですが、メンバーが査定に疑問を感じていたら、しっかりと時間を取って納得するまで話し合います。

──チームリーダーとしての課題
高瀬:チームリーダーはチームメンバーの業務量やその成果を把握していなければならないのですが、リモートワーク導入後、それが少し見えづらくなりました。その対策として、常日頃からコミュニケーション量を増やすよう努めています。

私のチームでは、月数回、雑談も含めたチーム会議を実施しています。今後も改善策を探っていきたいところです。

今後の改善

──スキルの評価
宮田:個人のスキルを評価に反映することです。これまでは全社で共通の指標である「数字的評価」と「能力的評価」だけを運用していたのですが、それでは職種ごとのスキルの伸びや努力が評価に反映されない場合も多く、課題に感じていたため、新たに「スキルマップ」を作成しました。2022年4月から運用する予定です。

「スキルマップ」は、社内での業務に必要なスキルを職種別に列挙したものです。チェック項目は職種により異なりますが、合計130項目ほどあります。例えば、「セールス」分野のスキルとしては「自社の説明ができる」「フロントエンド制作案件の見積作成ができる」といったものがあり、各自が「できない」から「指導ができる」の4段階でチェックします。

高瀬:また、スキル評価のため、「第二職種」の運用を始めます。「プロデューサー兼プランナー」のように、メインの職種に加えてもう1つ職種を持つものです。目的としては、社員の専門性を高めるとともに、各社員のスキルをより詳細に可視化して把握、評価に反映することです。

第二職種は、希望する職種を自由に選択してもらいます。現在のスキルの有無は問いません。先日、第二職種でのチームをつくり、顔合わせを行いました。来年度から、勉強会などの活動を各チームで実施していきます。

※2022年2月に取材した内容を掲載しています。