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条件ではなく「思想」を伝える。知名度の壁を越え、自社に合う人材と出会う中途採用

条件ではなく「思想」を伝える。知名度の壁を越え、自社に合う人材と出会う中途採用
株式会社NineCraft

HR 吉尾友里さん
HR 金子恵梨菜さん

業種・業態
ブランドコンサルティング/ブランドマーケティング
採用職種
デザインプロデューサー、ブランドプロデューサー、アカウントプロデューサー、Webマーケター、シニアコンサルタント、SNSマーケターほか
採用の種類
中途
勤務地
東京
求人内容
  • セールス、クリエイティブディレクター、デジタル運用担当
採用課題
  • 創業4期目のベンチャーで知名度が低く、まず自社を知ってもらうこと自体が難しい
  • ありきたりな求人表現では自社に合う人材と出会えない一方、表現にこだわるほど応募が集まりにくい
  • 少人数の採用で、求める人物像も独自性が高いため、人材エージェントに要件や魅力が伝わりにくい
  • 仕事内容が理想的に映りやすく、入社後に現場とのギャップが生まれやすい
採用成功のポイント
  • 人材エージェントとのやりとりを条件面で終わらせず、募集の背景や会社の思いを繰り返し伝え続けた
  • 人材エージェント向けの会社説明会で自社の思想や価値観を表現し、推薦の精度を高めた(マスメディアン経由の書類選考通過率は約8割)
  • 面接官ごとに役割を分け、理想と現実の両面を伝える選考フローを設計した
  • 経営陣自らが面接に立ち、候補者のこれまでの経験や今後のキャリア展望について丁寧に対話している
  • 人材エージェントとの定例ミーティングで、選考における評価基準や確認事項について認識をそろえ、相互理解を深めている
知名度の低いベンチャーにとって、母集団形成と入社後のギャップは大きな課題です。企業の「ブランドの意志」に伴走するNineCraftは、人材エージェントにも候補者にも、自社の思想と現場のリアルを伝えきることで、2025年4月以降、20人を超える採用を実現しています。
──御社の事業内容を教えてください。

吉尾:当社は、「ブランドの意志」を起点に企業のブランドづくりを伴走支援する“ブランドパートナー”です。ブランドコンサルティングとブランドマーケティングを2つの柱に、戦略の設計からクリエイティブ、マーケティング施策の実行までを一貫して手がけています。

特徴は、外部から助言するだけでなく、クライアントのブランドチームの一員として、ともに考え、推進する立場をとっていることです。まず「なぜそのブランドを届けたいのか」という意志を言語化し、ブランドの強みや顧客にとっての価値を整理します。そのうえでコミュニケーション戦略や施策を設計・実行し、成果を測る指標づくりと改善まで伴走します。

SNS運用など一部の施策のみをご依頼いただいた場合も、必ずこの意志の整理から取り組んでいます。掲げるテーマは「100年続くブランドを育てるチームを創る」こと。最終的には、クライアント自身がブランドを育て続けられる状態を目指しています。
──直近の採用状況はいかがですか。

吉尾:2025年4月から2026年3月までの1年間で約15人、2026年4月から取材時点までに約10人を中途採用しました。デザインプロデューサー、ブランドプロデューサー、アカウントプロデューサーをはじめ、Webマーケティング部門の事業部長やシニアコンサルタント、SNSマーケターまで、採用した職種は多岐にわたります。

金子:採用活動は現在も続いており、セールス、クリエイティブディレクター、デジタル運用担当の3ポジションで、それぞれ1人ずつ募集しています。
──多様な職種で採用を進めている背景には、何があるのでしょうか。

金子:これまで当社が手がけてきたブランド支援の多くは、既存のクライアントや取引先からのご紹介をきっかけに始まったものでした。今後は、ご紹介を待つだけでなく、当社から積極的にプロジェクトやソリューションを提案していく方針です。新たにセールス職を設けたのも、そのための体制づくりの一環です。

吉尾:もう一つの狙いは、支援できる領域を広げることです。クライアントに長く伴走し、売上やブランド価値の最大化を目指すうえで、社内でできることが限られていては十分に力になれません。「実はこんなことに困っている」と相談を受けたとき、すぐに応えられる体制を整えておくことが、クライアントにとっても当社にとっても重要です。

多様なケイパビリティや専門性を持つ人材がそろってこそ、どのような状況のクライアントにも向き合える。それが「100年続くブランドを育てる」ことにつながると考え、職種の幅を広げて採用を進めてきました。
──採用活動では、どのような点に苦労されましたか。

吉尾:事業内容には自信を持っていますが、当社は創業4期目のベンチャーで、まだ広く知られた存在ではありません。そのため、候補者の志望度を高める以前に、まず当社を知ってもらい、話を聞いてもらうこと自体に苦労しました。

母集団の集め方にも悩みました。採用市場には、マーケティングと同じように「この言葉を入れれば応募が集まる」という、いわば勝ちパターンがあります。目先の応募数を考えれば、それに乗るのが近道でしょう。

ただ、当社は「クラフトする喜びを目指し続ける」というパーパスを掲げ、手間を惜しまず丁寧につくり込むことを大切にしている会社です。クライアントのブランドと同じように、自社の採用でも一つひとつの言葉まで考え抜いて伝えたい。ありきたりな表現で応募を集めても、当社に合う方とは出会えないと考えていました。一方で、採用につなげるには一定の母集団も欠かせません。こだわりと成果をどう両立させるか、非常に苦戦しました。

人材エージェントへの依頼にも、当初は高いハードルを感じていました。私自身、前職で人材紹介に携わっていたので、人材エージェント側の事情はよく分かります。人材エージェントにとって、採用枠が多く、採用要件が明確な企業のほうが紹介しやすい場合もあると思います。その点、当社は「こだわりは強いものの、知名度は低く、採用枠も多くはない」企業。協力をお願いすること自体が、簡単ではありませんでした。

金子:人材エージェントの方々に当社への理解が広がってくると、次の課題が見えてきました。候補者の方に、当社の理想と現実の両方を理解したうえで、関心を持っていただくことです。

「意志を起点にブランディングを支援する」という当社のスタイルは、広告会社出身の方などにとって、とても魅力的に映ります。しかし実際の現場には、地道な仕事も数多くあります。理想だけに惹かれて入社すると、入社後にギャップを感じてしまいかねません。現実も理解し、納得したうえで入社していただくにはどう伝えればよいか。試行錯誤を重ねながら、一つひとつ乗り越えてきました。
──知名度の壁を、どのように乗り越えたのでしょうか。

吉尾:人材エージェントとのやりとりでは、条件面のすり合わせだけで終わらせないことを徹底してきました。なぜ今このポジションを募集するのか、当社がどのような思いで事業に取り組んでいるのか。手間のかかる企業だと思われても構わないので、機会があるたびに繰り返し伝え続けてきました。

なかでも転機となったのが、2025年11月に開催した人材エージェント向けの会社説明会です。HRチームの立ち上げから1年弱というタイミングで、日頃からお付き合いのある5〜6社の方々に当社のオフィスへお越しいただき、代表、CFO、私の3人でお迎えしました。

私の経験では、人材エージェント向け説明会では、事業概要に加えて募集要件や採用人数など、具体的な採用情報を伝えることが多いと感じています。ところが代表は、表現を尽くすことにこだわるタイプです。求人条件の説明はいったん脇に置き、クライアントに当社のサービスを紹介するときと同じ内容を、人材エージェントの方々にもそのまま伝えたいと主張しました。「企業の意志を起点にブランドをつくる」という当社の考え方を、抽象度の高いところから丁寧に語りたい、というのです。

私は日頃から人材エージェントの方々に「もっと具体的な情報がほしい」と言われており、彼らが求めている情報を把握していました。だからこそ「お願いですから具体的な話をしてください」と止めたのですが、代表は「一度、思いを話させてほしい」と譲りません。社内でも議論を重ねたうえでの開催となりました。

結果は、うれしい誤算でした。説明会のあと、人材エージェントの方々が当社について語る言葉が、明らかに具体的になったのです。代表が抽象度の高い話をしたからこそ、一人ひとりがご自身の経験と重ね合わせ、「NineCraftが大切にしているのはこういうことか」と、自分の言葉で解釈してくださったのだと思います。

その後、推薦いただく候補者にも変化が見られました。「御社に合うのはこういう方ですよね」と、当社に合う人物像を言葉にしてくださる人材エージェントが増えたのです。候補者の方の考えや転職の動機を聞いたうえで、「そういえばNineCraftが合うかもしれない」と思い出していただける場面も増えました。マスメディアンからご推薦いただく方は、約8割が書類選考を通過しています。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、表現を諦めずに伝え続けたことが、確かな成果につながったと感じています。
──入社後のギャップを少なくするために、選考ではどんな工夫をされていますか。

金子:当社の選考は、ステップを多めに設けています。選考過程では役員全員が面接に参加し、適性検査やリファレンスチェックも実施します。人材エージェントの方から何度も選考短縮のご相談をいただくほどで、「中途採用でここまでするのか」と驚かれることもあります。

ステップが多い分、面接ごとに役割を分け、理想と現実の両面をお伝えしています。1次面接では、人事の私がNineCraftの事業や組織の全体像をお伝えします。

2次面接では副社長が、現場の実態を具体的にお話しします。日々どのような業務があるのか、クライアントからどのような声をいただくのか。理想の裏側にある地道な仕事も含め、当社のありのままの姿を知っていただく場です。

その後の面接では代表とCFOが、当社が目指す姿を語るとともに、入社後に直面し得る壁やリスクも率直にお伝えします。「まだ小さなベンチャーだからこそ、こういう場面で苦労するかもしれない」といった話です。未熟な部分も伸びしろも理解したうえで、ともに理想を目指してくださる方に入社してほしいと考えています。

また、どの面接官も共通して大切にしているのが、候補者の方のキャリアや将来の展望に真摯に向き合うことです。これまでの経験や今後実現したいこと、今回の転職で大切にしたいことなどを伺いながら、当社で働くことが双方にとってよい選択になるか、丁寧に対話しています。例え採用に至らなかったとしても、その候補者さんと私たちが出会えたことはお互いに意味があると思っているので、「面接」という形式で終わるのではなく、この期間がその人の今後の人生において何かの気づきや刺激になってもらえると嬉しいなという思いも大事にしています。

選考期間は決して短くありません。それでも入社したメンバーからは、「経営陣と直接話せたからこそ、会社への信頼が深まった」という声が届いています。
──現在、活用している採用手法について教えてください。

金子:ダイレクトリクルーティングの採用プラットフォーム、社員からのリファラル、人材エージェントという3つのルートを中心に、採用活動を行っています。

吉尾:採用実績で見ると、ダイレクトリクルーティングやリファラルなどの独自チャネルが約6割、人材エージェント経由が約4割です。人材エージェントは20〜30社に登録していますが、継続的にご紹介をいただいているのは5社前後。当社への理解が深い会社に、自然と絞られてきました。
──マスメディアンとの取り組みで、印象に残っているエピソードはありますか。

金子:まず、当社への理解の深さと業界知識の幅広さに、大きな信頼を寄せています。新しいポジションを設ける際は、最初にマスメディアンのKさんに相談するようにしています。どのような人物像を想定すべきか、同業他社が今どのような採用や事業展開をしているか。そうした生きた情報をいただきながら、要件をすり合わせています。採用を考えるとき、真っ先にKさんの顔が浮かぶほど頼りにしています。

こうした目線合わせを重ねてきた結果、今では、Kさんからご推薦いただく方は当社の求める人物像との一致度が高く、早い段階で面接に進んでいただくこともあるほど、信頼しています。Kさんが「ぜひ面接に進めていただきたい」という温度感で推薦してくださる方は、実際にお会いすると、本当にその言葉どおりの方なんです。

提案の幅も、募集中のポジションにとどまりません。「この方の強みは、別のポジションのほうが生きるかもしれません」「募集はしていなくても、オープンポジションとして検討していただけませんか」といった提案もいただけます。こちらの依頼を上回る提案が返ってくるので、まるで社内のメンバーと話しているような感覚です。

吉尾:私には、忘れられないエピソードが2つあります。

1つ目は、2025年の秋ごろのことです。スキルも実績も申し分ない候補者の方について、当社が大切にする仕事の進め方や、入社後に期待する役割との相性という点で判断に迷っていました。候補者の方と当社とのマッチングについてKさんに率直に相談したところ、「実は私も同じことをお伝えしようと思っていました。今回は無理に進めなくてもよいと思います」と返ってきたんです。紹介実績にとらわれず、当社と候補者の方の双方にとって最善の選択を考えてくれる。この方は信頼できると確信しました。ちょうどKさんから定例ミーティングを提案していただいた時期でもあり、それ以来、小さな懸念まで率直に共有できる関係が続いています。

2つ目は、2026年の年明けに、最終面接まで進んでいた有力な候補者の方を、立て続けにお見送りしたときのことです。こうした場面では、人材エージェントの方から理由を問われることも少なくありません。Kさんも驚かれてはいましたが、こちらの判断の背景を丁寧に聞き、理解を示してくださいます。そして、その後は、より当社に合う方をご推薦いただけるようになったと感じています。

Kさん個人だけでなく、組織としての情報共有の質にも驚いています。マスメディアンは、企業を担当する方と、求職者を担当するキャリアアドバイザーとで役割を分けていると伺っています。分業体制では、担当者間の情報共有が重要になりますが、マスメディアンでは、その連携が非常にスムーズだと感じています。先日、マスメディアン経由で入社したメンバーに入社の決め手を聞いたところ、Kさんとは面談していないにもかかわらず、キャリアアドバイザーの方から、Kさんと同じ解像度で当社の説明を受けていたそうです。担当者間で細部まで情報が共有されていることに驚きました。
──同じような課題を抱える企業に、アドバイスをお願いします。

吉尾:僭越ながら、「表現を諦めない」ことだと思います。どのような会社で、どのような人と出会いたいのか。どの企業にも、譲れないこだわりがあるはずです。大切なのは、そのこだわりをありきたりな言葉で済ませず、妥協せずに自分たちの言葉で伝えきることです。

当社の場合、まず経営陣が熱量を持って語り、それが人事や社員に伝わり、人材エージェントの方へ、さらにその先にいる候補者の方へと届いていきました。会社の思いが途中で薄まることなく、候補者の方まで届く。そこまで伝えきることができれば、出会える人材は変わっていくと思います。当社もまだ課題は多いですが、これが一番のポイントだったと考えています。

金子:正直に申し上げると、当社は人材エージェントの方を困らせてしまうことが多い企業だと自覚しています。ブランディング会社でありながら、ホームページの情報が少なく、事業内容を一言で説明しにくい。採用でも、条件面だけでなく、仕事の進め方や大切にする価値観についても、候補者の方との相互理解を深めたいとお願いしています。決して効率的なやり方ではありません。それでも、こうしたこだわりを理解していただけたからこそ、人材エージェントの方との信頼関係が深まり、候補者の方の志望度も高まっていきました。

大切にしているのは、人材エージェントの方が当社のことを自分の言葉で語れる状態をつくることです。魅力だけでなく、まだ未熟な部分も含めたありのままの姿を伝えていただけるよう、「伝え方」を工夫し、「コミュニケーションの量と質」を高めることに力を入れています。
──最後に、今後マスメディアンに期待することをお聞かせください。

吉尾:当社はまだ伸びしろの大きいベンチャーで、事業も組織も変化し続けています。その中で、会社の成長を大きく左右するのが採用だと考えています。これからも厚い信頼のもと、当社の成長に伴走していただけるとうれしいです。

金子:Kさんは、第三者でありながら当社を深く理解してくださる、絶妙な立ち位置にいてくださる存在です。これからも忌憚のないフィードバックをいただきながら、ともに成長していくパートナーでいていただけたらうれしいです。温かな応援とともに、ときには厳しいご意見もいただきながら、一緒に採用を前に進めていきたいと思っています。
編集後記
創業4期目のベンチャーでありながら、短期間で20人を超える人材を採用しているNineCraft。その背景には、採用市場の定石を冷静に把握しつつも、それに流されることなく、自社のこだわりをぶれずに候補者へ伝え続ける姿勢がありました。

とりわけ印象的だったのは、経営陣自らが採用を事業成長の要と捉え、選考の場に立ち続けていることです。候補者を単に「選考する相手」としてではなく、一人ひとりのキャリアや将来の展望に向き合い、対話を通じて相互理解を深めていく。その誠実な向き合い方が、自社に合う人材との出会いにつながっているのだと感じました。

※2026年10月に取材した内容を掲載しています。

執筆・編集

マスメディアン マスメディアン編集部

広告・マーケティング・クリエイティブ領域に特化した採用支援・人材紹介サービス「マスメディアン」の編集チームです。営業職、マーケティング職、広報・PR職、クリエイティブ職などの中途採用に精通したリクルーティングアドバイザーへの取材や、企業の採用成功事例、公的機関・各種調査データなどをもとに、記事を制作・監修しています。企業の採用課題の解決に役立つ、正確性・客観性・実用性を重視した情報をお届けします。(厚生労働大臣許可番号:人材紹介 13-ユ-040475)