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社労士が見る時事ニュース―「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更について

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小宮弘子 2018年8月1日(水)

政府が推進する「働き方改革」によって【副業・兼業】や【テレワーク】などの導入が加速することが予想されます。広告・Web業界は比較的適応しやすい業界。AD・HRニュースの読者である経営者・人事担当の皆さまも注視しているテーマかと思われます。『働き方改革の教科書』の著者である社労士の小宮弘子氏に、時事ニュースを社労士目線で解説してもらいます。(マスメディアン編集部)

過労死等防止対策の大綱が変更、防止対策の数値目標を初めて設定

2014年より過労死等防止対策推進法が施行されています。2016年12月にはこの法律の取り組みとして「過労死等ゼロ緊急対策」が講じられ、長時間労働等に係る企業本社に対する指導強化などが行われてきました。これら過労死等の防止対策は「過労死等の防止のための対策に関する大綱」に策定され、約3年を目途に大綱の内容を見直すこととされていました。この大綱の変更が2018年7月24日に閣議決定され、勤務間インターバル制度の周知・導入に関する数値目標が初めて設定されるなど、今後の法令や行政施策に影響があるものと思われます。今回は、過労死等防止対策の大綱の概要ついて解説します。

過労死等防止対策推進法とは

過労死等が多発し大きな社会問題となったことから、過労死等に関する調査研究により防止対策を推進し、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的として、2014年11月に施行された法律です。この法律には、過労死等を防止するための対策を効果的に推進することを国の責務とすることが明記されています。また、過労死等防止対策の対象となる「過労死等」は、次のとおり定義されています。

・業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡
・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡 またはこれらの脳血管疾患もしくは心臓疾患もしくは精神障害

変更された新大綱のポイント

注目すべき大綱の内容についてご案内します。

1.過労死等防止対策の数値目標
・2020年までに週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下とする。
・2020年までに勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を20%未満とする。(労働者30人以上の企業)
・2020年までに勤務間インターバル制度を導入している企業割合を10%以上とする。(労働者30人以上の企業)

2.労働行政機関等における対策(国が取り組む重点施策)
(1)長時間労働の削減に向けた取り組みの徹底
(2)過重労働による健康障害の防止対策
(3)メンタルヘルス対策・ハラスメント防止対策

3.過労死等防止対策のための調査研究(国が取り組む重点施策)
過労死等が多く発生しているまたは長時間労働が多いと指摘がある職種・業種(重点業種等)に、近年の状況を踏まえ、メディア業界、建設業が追加。

重点業種等:自動者運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療、建設業、メディア業界

4.その他
勤務間インターバル制度の推進、ハラスメント全般の予防・解決、若年労働者・高年齢労働者・障害者などへの取り組み

重点業種にメディア業界を追加

過労死の発生や長時間労働が多い業種として取り上げられることで、人材確保や定着が懸念されます。経験則上、他業種に比べ、メディア業界はメディアの仕事そのものが好きな方が集り仕事をされているように感じます。つい時間を忘れて仕事に没頭していたといったお話もよくお聞きします。好きな事こと、若さ、体力といったことでカバーされているかもしれませんが、いつまでも続けることはできません。会社が社員に対して仕事の成果や生産性の向上を望むとすれば、疲労困憊の状態では不可能です。社員が健康で充実した生活を送り、そこからのアイデアを是非仕事に生かすために、会社として長時間労働の改善に本気で取り組みたいものです。

【執筆者プロフィール】
特定社会保険労務士 小宮弘子(こみやひろこ)氏
トムズ・コンサルタント株式会社 代表取締役社長
大手都市銀行本部および100%子会社で、人事総務部門を経験の後、平成15年にトムズ・コンサルタント株式会社へ入社。人事・労務問題のトラブルを解決、諸規定、賃金・評価制度の改定をはじめ、社内制度全般のコンサルティングを中心に行う。著書に『この1冊でポイントがわかる「働き方改革」の教科書』(共著)など。

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