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社労士が見る時事ニュース―企業の全面禁煙施策について

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小宮弘子 2018年7月4日(水)

政府が推進する「働き方改革」によって【副業・兼業】や【テレワーク】などの導入が加速することが予想されます。広告・Web業界は比較的適応しやすい業界。AD・HRニュースの読者である経営者・人事担当の皆さまも注視しているテーマかと思われます。『働き方改革の教科書』の著者である社労士の小宮弘子氏に、時事ニュースを社労士目線で解説してもらいます。(マスメディアン編集部)

2020年の東京オリンピック開催にあたり、受動喫煙の対応が話題になっています。この喫煙問題は、働き方改革が目指すところの「生産性」と「健康であること」「就業時間中の喫煙時間」が関係するとあって、企業経営においても新たな取り組みが始まっています。今回は、働き方改革と喫煙問題という観点で、企業経営における課題と取り組みについて解説します。

職場における禁煙状況

昔は、執務室はもちろんのこと、会議室にも灰皿が設置されていました。これが2003年に施行された健康増進法により、学校や病院、民間施設でも多数の人が利用する施設では、受動喫煙を防止するための措置が努力義務とされたことを受け、分煙化が一気に進みました。このときからオフィスでも喫煙室等が別途設けられ、受動喫煙対策が進んだようです。そして現在では、オフィス全体が全面禁煙とされ、喫煙場所はオフィス外に設けるといった光景もよく見られるまでになりました。

職場におけるよくある喫煙問題と全面禁煙施策

厚生労働省の2016年国民生活意識調査によると喫煙している人の割合は、19.8%(男性31.1%、女性9.5%)となっています。職場における喫煙者は少数派であることがわかります。こうなると職場では禁煙者が多いわけですから、禁煙者は喫煙者の「喫煙休憩」が気になります。自分たちが仕事をしている時間に、喫煙者は度々離席して喫煙していることは不公平であるといった不満につながるわけです。最近では、オフィス内に喫煙場所がない場合も多く、喫煙するための移動時間や頻度を考慮すると喫煙休憩の時間は見過ごせないレベルまできているようです。また、働き方改革が注目されてから労働時間の生産性が意識されるようになったことも一因としてあるようです。このような職場の不協和音や公平性への対応として、就業時間中は全面禁煙とする企業もあります。

星野リゾートでは、社員の禁煙が現場の生産性を高めるとして、喫煙者は採用しないことを宣言し、喫煙者ゼロを目指しています。応募者に対しては、「作業効率」「施設効率」「職場環境」といった観点で全面禁煙を進める理由を明確に示したうえで、応募の意思確認をする仕組みとしています。また、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命では、喫煙室を休憩スペースに変え、全社を終日禁煙とする一方、禁煙治療費の一部を補助しています。

喫煙問題は個人的な問題ではない

施設整備としての受動喫煙対策は別として、社員の喫煙問題は、個人的な問題と扱い、根本的な対策に取り組むことができなかった企業が多かったのではないでしょうか。上述の事例のほかにも、喫煙者は採用しない宣言をしている企業はあります。社会情勢の変化やこれから続く人手不足問題を考えると、これまで以上に企業間競争が厳しくなることが予想されます。このような環境で事業を継続して発展させるためには、ヒト・モノ・カネ・情報を駆使して生産性を高めることが必要です。社員一人一人の生産性を上げる施策に取り組みながら、一方で喫煙できないと集中力が持たない、考えがまとまらないといったことでは効果は半減してしまいます。疾病に罹患せず、健康な状態を保つことが社員の能力発揮につながるはずです。また、社員が健康であることは、社員の家族の願いでもあります。

【執筆者プロフィール】
特定社会保険労務士 小宮弘子(こみやひろこ)氏
トムズ・コンサルタント株式会社 代表取締役社長
大手都市銀行本部および100%子会社で、人事総務部門を経験の後、平成15年にトムズ・コンサルタント株式会社へ入社。人事・労務問題のトラブルを解決、諸規定、賃金・評価制度の改定をはじめ、社内制度全般のコンサルティングを中心に行う。著書に『この1冊でポイントがわかる「働き方改革」の教科書』(共著)など。

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